スペースシャトルに乗っていた宇宙飛行士達が使うほど頑丈。操作性は抜群。独特の形状をした打ちやすいキーボードと、中央に赤いポッチと言えば旧IBMが生産するThinkpadの代名詞でしょう。
ちなみにあのポッチはトラックポイントといいます。
今回は、Lenovoと彼らの生み出す製品全般に関して記事にしました。
Lenovoとはどんな会社? ざっくり言うと
「パソコン発展の歴史はIBM(International Business Machines)と共にある」と言っていいほど古く、今あるパソコンの構造はIBMから派生したと言っても過言ではないでしょう。
同社は第二次世界大戦前からパンチカードによるデータ処理機器を開発、販売していました。
研究機関としての力量はずば抜けており、タイプライターから銀行のATMまで、実はパソコンに限らず、多くの電子機器がIBMから生み出されています。
陰謀論に詳しい方なら、ロズウェル事件の後に「提供元を公表しない」という条件で“未知の技術がIBMに提供された”という噂をご存知かもしれません。
そんなIBMですが、パソコン部門は買収され、2004年にLenovo(レノボ)と名前を変えます。
買い取ったのは中国資本です。
共産圏なので筆頭株主は中国科学院という中国政府の機関ですから、事実上の国営企業ということになります。
元々、PC事業は赤字産業でした。
ハードウェアは利益を取りづらく、名機を生み出してシェアを取っても企業としての決算は芳しいものではなかったようです。
部門の切り離し、統廃合、買収などは業界の常であり、当然ながら、IBMの技術力が足りなかったわけではありません。むしろ業界トップと言えます。
2011年にはNECもLenovoに買い取られているわけですから、これも世界の潮流なのでしょう。
IBMが買収された時点では世界シェア第3位でしたが、2019年末時点では世界の24%近いパソコンがLenovoから出荷され、PC業界のトップ企業となりました。
(ちなみに2位はHPで22%、3位はDELLの16%と続きます)
徹底した低価格ぶりはHPも同様ですが、ラインナップを比較していくと全体的にLenovoの方がわずかながらも安くなっている感があります。
安ければ企業も個人も大量に購入しますから、出荷台数でトップ争いに参入できるのはもちろんですが、安かろう悪かろうではなく、IBM時代の息吹を感じさせる名機をきっちり出し続けています。
そのため、古参のIBMファンも離れません。
幅の広い経営戦略を持った企業と言えます。
Lenovoパソコンの特徴
いいところ、やっぱり安いところとか
良くないところ、情報漏洩のリスクなど
Lenovo パソコンのラインナップ一覧
こちらではざっくりとしたラインナップをご紹介します。
面倒な解説は不要と思う方は読み飛ばして頂いて問題ありません。
ノートパソコン、6種
使いやすい独特の形状をしたキーボードと中央の赤いトラックポイント。
IBM時代の構造を引き継いだ頑丈かつ、修理分解もしやすいというハイエンド向けです。
そのため法人向けと要されることがあります。
無料サポートが一ヶ月間しかないのがネックですが、逆を言えばサポートに頼らなくても良い人には何の問題もない機種です。または延長保守とセットでどうぞ。
海外メーカーに共通する機体の重さはネックですが、それを補って余りある「X1 Carbon」や「X13」など、名機が幾つも出されているのもThinkPadシリーズの魅力です。
ThinkPadシリーズの弟分的な存在です。
ThinkPadの信頼性や思想を継承したビジネス向けノートPCで、2019年の夏に登場したばかりです。
赤いトラックポイントこそ取り外しているものの、ビジネス向けというだけあって、小インチに薄型軽量、スカイプのオンオフスイッチなど、働き手にとって使いやすい内容が盛り込まれています。
・IdeaPadシリーズ
Lenovoになってから出てきた後発の安価モデルです。
安く済ませたいなら、とにかくこれを選んでおけばいい、と言われるくらいに安いです。
安価モデルと言うと印象は悪いですが、一般のご家庭で使うには十分な性能と機能を備えています。
ご家庭用に普及するために出したシリーズと言っても差し支えない内容で、ThinkPadシリーズのようにサポートが一ヶ月ということはなく、ちゃんと一年間は無料です。
・Lenovoシリーズ(ノートPC)
コスト重視で造られており、デスクもノートもありますが種類としては少ないです。
ノートパソコンに関しては、キーボードはThinkpadに近い形状ですがトラックポイントはなくなり、ボディ自体はIdeaPadに近いという中間モデルです。
「トラックポイントなんて使わない。でも、外観はThinkPadがいい」という人はこれを選ぶこともあるのだとか。
・Yogaシリーズ
360度裏返るコンパーチブルモデルです。
裏返った状態でタブレットとして使えることから、タッチパネル搭載でもあります。
裏返った姿がヨガのポーズを連想しますから分かりやすいですね。
ちなみに、ThinkPadの中にもコンパーチブルモデルがあって、ThinkPadでありながらYogaの名を冠しているものもあります。
さらに言えばデスクトップにも画面角度が変形するのがあるので、すべからくYogaの名が付いています。
デスクトップもノートもある、グラフィック性能に特化したハイパワーモデルです。
いわゆるゲーミングマシンなのですが、ゲーマーだけでなく、画像、動画、音楽など、クリエイティブな方向で使いたい人全般にオススメと言えましょう。
ゲーミングパソコン独特のゴツい機体ですから、軽さとは無縁ですが、腰を据えて扱うなら使い勝手は非常に良いです。
デスクトップPC、4種
デスクトップは切り分け方が難しいのですが、まず以下の四つに分かれます。
アルミ合金製で高級感あるシリーズですが、色は黒を基調としたタワー型を中心としています。
超小型モデルから昔ながらのタワー型PCとしての風貌を残しているモデルまで。
種類は少ないものの、デザイン的に仕事場で使いやすいので、法人から買われることが多いです。
グラフィックボードがなくていいならという条件付きですが、CPUパワーがありながら安価モデルが多いので、事務的な職場で使うパソコンとして選ぶ企業も多いです。
といってもLenovoは全般的に安価なので、普通に他のラインナップを選んでも安いですから、あまり目立たない存在となっています。
ThinkCentreが黒に対して、こちらは白銀を基調にしており、ゲーマー御用達のゲーミングPCとしてはもちろん、クリエイター向けとしてもオススメできる幅の広いシリーズです。
タワーと一体型が均等に用意されていながら、一体型にも高い性能を入れるという、珍しいラインナップが用意されています。
先のノートパソコンにもありましたが、デスクトップもコテコテのゲーミングPCです。
特にデスクトップのタワー型になることで、拡張性が高まったモデルはゲームユーザーにとって長く愛用しやすい構造だと思います。
ゲーミングパソコンはどこもライティングにこだわっていますが、LEGIONも例に漏れず、独特の七色ライティングを放ちます。
他、省スペース設計のキューブタイプのLEGIONもありますが、あまり一般的ではありません。
ワークステーション
一般向けモデルとしては先のノートパソコンとデスクトップになりますが、それらでは対応できない使い方をする人にはこちらをオススメしています。一般的ではないので、読み飛ばしても大丈夫です。
・ThinkPad Pシリーズ:モバイル・ワークステーション
・ThinkStation:デスクトップ・ワークステーション
ワークステーションは3D CADやWEBデザイン、プロユースの動画作成など、専門的なソフトを稼働させる専用PCです。
20万円以上が基本の世界で、上は天井知らずです。
これでなければ仕事にならない人が多いので需要は尽きませんが、一般的に知られていない分野だけに、経済的な壁で躓く人が後を絶ちません。
工学系の専門学校生が量販店に下見に来て、ワークステーションの見積もりを出してもらうと愕然として帰っていくというのは春先のよくある風景です。
Lenovoはワークステーションも強いです。
もっとも、HPやDELLも良い勝負をしているので、どこがいいとは言えませんが、いずれにせよワークステーションで考えるなら、まずこの三社でしょう。
Lenovoの保証と保守について
Lenovoはグローバル企業らしく、幅の広い保証が用意されています。
およそ年単位で海外に持っていくならLenovoがオススメと言えるほど優れた内容です。
保守期間の延長について
先にも書いている通り、Lenovoは基本的に一年間の保証期間とサポートがあります(注:ThinkPadのサポートは一ヶ月間)。
これを2年から3年に延ばすこともできます。
※一部、5年まで伸ばせる選択肢が用意されているモデルもあります。
伸びた保証期間内でコールセンターに色々、訊けるので、「延長保証」という言い方ではなく「延長保守」になります。
修理が必要な際には「引き取り修理」で送料はかかりません。
追加保守サービスは、1年以内であれば後から申し込むことができます。
ですが、パソコン購入時の方がキャンペーンで安くなることが多く、最初でなければ申し込めない内容もあります。
さらに後で申し込もうとするとシリアル番号を含めたやりとりが面倒なので、最初の購入時に決断した方が良いでしょう。
アクシデント・ダメージ・プロテクションサービス(ADP)について
期間延長した分のサポートや自然故障対応期間が延長されるだけでなく、物損保証まで入るのが「アクシデントダメージプロテクションサービス」です。
ぶつけた、落とした、飲み物をこぼした、などの外的要因の故障でも一回につき15万円(税別)までなら一通り対応してくれます。
15万円を超えると、超過分だけ払うと直してくれます。
自然現象の落雷、水害でも適応されます。
しかし、水害はOKでも津波には非対応。自然災害はOKでも噴火には非対応、というのも他社と同様です。
保証で対応してもらう方にしてみれば、「なんで?」と思うのですが、保証を設定する方にしてみれば一度の津波で何百台もの修理機体が送られてきたらパンクしてしまいますから、当然と言えば当然です。噴火も然り。
盗難や紛失にも対応しています。
盗まれた場合、または修理できない全損だった場合は、一回限り5万円(税別)、Idea製品は2万円(税別)で代替機を用意してくれます。
代替機サービスは一回だけしか使えませんが、通常の修理対応には回数制限はありません。
内容はなかなか凄いですが、3年間「アクシデント・ダメージ・プロテクションサービス」に入ろうとすると3万円弱かかります。
他社と比較すると、延長保証の値段としては標準的ですが、内容は優れているな、と感じます。
ちなみに、他社同様ハードウェア向けの保証であって、データのサルベージやソフトウェアまでは修理対象に含まれていません。ウィルス破損が対応外なのも同様です。
くれぐれもデータのバックアップはご自身でちゃんと取っておくのをオススメします。
国際保証サービス(IWS)に関して
国内メーカーの国際保証というとDynaBookのILWが有名ですが、似たものとしてLenovoではIWS(International Warranty Service)が用意されています。
通常、メーカーの国際保証期間は固定されており、最初の一年間であることがほとんど。
Dynabookは二年保証の機種が一部ありますが、やはり固定された期間で終わります。
しかし、LenovoのIWSは延長できます。
先に書いている「保守期間の延長」をしていれば、その期間分だけ国際保証も伸びます。
国際保証の内容はというと、故障した海外現地から修理依頼して日本に送付する国際郵便の無料サービス…というのがDynaBookです。
対してLenovoの場合、対象国となる現地の修理センターでの修理が基本となります。
グローバル企業らしく、150ヶ国以上が対象となっているのは便利ですが、機種によって対象国がかなり絞られます。
ご自身でお持ちの機種(または、これから買おうとする機種)が、どの国で対象となっているのかは、渡航前に以下から調べておく必要があります。
例えばよく売れているS540というIdeaPad「81NH002WJP」で検索をかけてみると、27ヵ国が対象となっています。
また、これは海外メーカーの常ですが、現地で修理を依頼するには現地の言語で対応してもらわなければいけません。
アメリカなら米語。インドならヒンドゥ語です。
しかし、それはあくまでも現地修理での話。
ここからがLenovoの凄いところですが、実は「アクシデント・ダメージ・プロテクション」に加入していれば、日本の修理センターに引き取り修理してもらえるのです。
日本の窓口とのやり取りですから当然、日本語ですし、国際郵便の配送料もLenovoが負担してくれます。
つまり、物損保証を申し込んでおけば Dynabook の国際保証(ILW)と同様の内容になる…いえ、自然故障だけでなく物損も全て含めるので、それ以上になる、ということですね。
それでいて3年にも延長できるわけですから、お金がかかっても問題なければLenovoは海外向けとしては最も手厚いサービスを持ったメーカーと言えるでしょう。
日本から海外保守サービスを依頼する際には、下記webページからリクエストを出すことができます。
なお、日本では2016年夏から群馬県太田市のNECパーソナルコンピュータ群馬事業場にて、Lenovoの修理を行っていますので、サポート体制も拡充されてきています。
保証オプションに関して
大体は申し込む画面を見ると分かると思うのですが、「ここは間違いやすい」という点だけ以下に挙げておきます。
・内蔵バッテリー交換サービス
「内蔵バッテリー交換サービス」では、バッテリーの保ちが悪くなってきたから交換してほしい…と言っても交換してくれません。
Lenovo側でチェックしてエラーが出ないと交換には応じられないそうなので、修理に限りなく近いほど劣化しないと応じられないと言っているようなものです。
この辺りはSurfaceに対する延長保証「Surface Complete」とは真逆ですね。
Surfaceの場合はバッテリーの劣化を理由に丸ごと交換してくれますが、同じ感覚で申し込まないよう注意しましょう。
・ハードディスク返却不要サービス
通常、修理の際には、不具合のあったストレージは回収されてしまうのですが、そうならないようユーザーに返却してくれます。
セキュリティの面から不具合が出ても、データが残っていれば自分で処分したい、という人はいるでしょう。
なにより自分でデータをサルベージして、また活用したいという人もいるでしょう。
ところが名前からして勘違いしやすく、「返却不要? つまりこちらに返ってくるのではなく、そのまま処分してくれるのかな? じゃあ申し込んでおこう」とか思って申し込んでおくと、なぜかデータの入ったストレージが返ってきてしまいます。
破損したストレージの所有権はLenovoにあるため、返却という言い方はLenovo側に返すことになります。
Lenovoに返却不要=申し込めばエンドユーザーに返ってくる、という意味です。
説明を読めば分かるのですが、時間に追われている人が馴れていない買い物の際に、タイトルだけ見て判断すると間違いかねませんので、念のため記載しておきます。
補足:Lenovoを更に安くする「特別クーポン」や「学割」とは?
「特別クーポン」について
ただでさえ安いLenovoですが、
それが「Lenovoのメルマガ会員登録制度」。
これは時期と型によるので、必ずではありませんが、
この記事を書いている時点で、
一例を挙げると、人気の「X1 Carbon」で、一部の機種が通常19万1,
2万3,000円以上も値下がりする機種があるのです。
特別クーポンは常に出されているわけではありませんが、
なにしろLenovoの登録はメールアドレスを送るだけですから
学割(学生ストア)について
Lenovoでは学割用の「学生ストア」を用意しています。学生の方、教職員の方であれば、少しでもお安く買うチャンスです。対象の方はぜひ、ご活用下さい。
最後にまとめ・Lenovoブランドの考え方
パソコンを選ぶ時に、企業ブランドのイメージで検討する人は多いと思います。
特に日本人にはその傾向がありますが、中国企業を避けたいからLenovoは選ばない、という人は多いです。その気持ちは良く分かります。それはそれで間違った判断ではないと思っています。
スパイウェアの黒歴史を知らない人でも、その危険性を察知する勘は働いているのでしょう。
しかし、ThinkPadの完成度、操作のしやすさは別格です。
IBMの初代社長トーマス・J・ワトソンのモットーであった「THINK(考える)」という言葉は未だに、IBMの全建物、全ての部屋、付箋一つに至るまで印刷され企業文化として息づいています。
もっとも、そのIBMがLenovoに名前を変える遥か前、実はThinkPadを世に送り出す前からパソコン事業を売却することが既定路線で決まっており、そのThinkPadを生み出したのが他ならぬ日本人だったことは、あまり知られていない事実です。
「何を言っている。ThinkPadを生み出したのはIBMで米国企業だろう。記事の冒頭でお前自身がそう説明したろうが」
NECを未だに純粋な国産企業と思っている人が多いくらいなので敢えて書きますが、ThinkPadの発売は確かにIBMです。
ですが、造ったのはその中の日本IBM。それも「大和研究所」が発祥です。
ですから、たとえ身売りしようと外資の中にいようと、妥協せずに開発に挑んだ、日本のモノづくりの魂はIBMの初代社長トーマス・J・ワトソンの思想に通ずるものがあったのだと思っています。
ここに国境はありません。
パソコンマニアなら誰もが認める名機「X1 Carbon」を生み出した侍達は、今も研究所で開発を続けています。
参考までにリンクを貼っておきます。ご興味ある方はぜひどうぞ。
この記事をお読み頂いた方が「Lenovoは買わない、認めない」という人でも「ThinkPad は別だ」と思って頂ければ嬉しい限りです。
最後に、私も教え諭された偉人の言葉を掲載して締めにしようと思います。
「早く成功したいなら、失敗を二倍の速度で経験することだ。成功は失敗の向こう側にあるのだから。
私は天才ではない。なるべく、得意な分野を離れないようにしてきただけだ。
成功したいのなら、仕事に心を込め、心に仕事を据えなければならない。
個人であれ、企業であれ、成功したと思ってしまえば、そこで成長は止まる。
不満があったり、改善したいプランがあれば、直接私のところへ持ってきなさい。そして、一緒に考えよう。
IBMのセールスマンには、妻子から敬われる人物になってもらいたい。職業を尋ねられたとき、家族が言葉を濁さなければならないようでは困る。
すごい人間になるためにかかる時間は、わずか1分だ。今この瞬間から「すごくない」ことは絶対にしないと決意し、上司や周囲からどんなに圧力がかかっても、決して妥協しないことだ。
トーマス・J・ワトソン(IBM創業者、初代社長)
コメント