新型コロナが蔓延した昨今では、パソコンだけでなく新しく回線を整える方も増えてきています。
しかし、固定回線を引くには面倒な手続きと時間がかかります。賃貸住宅なら大家さんの許可を得ないといけません。
そんな時、工事不要ですぐ使えるWifiルータが役に立ちます。
今回は、据え置き式のUQ WiMAXのホームルータを「L01(旧型)」と「L02(新型)」を比較しながらご紹介します。
UQ WiMAX の基礎知識、ポケットWifiのススメ
UQ WiMAXとはそもそも何?
すでにご存じの方も多いと思いますが、「ポケットWifi」という言葉は持ち運べる小型のルータ全般のことを指します。この造語自体はUQ Wimaxとは別の会社が使い始めたものですが、言葉の響きが分かりやすいことから今では全メーカー通して「持ち運べる小型ルータ全般」を指す用語として浸透しています。以後、そのつもりでお読み下さい。
持ち運びできるポケットWifiの一形態として、KDDIの子会社が2007年から無線データ通信のサービス事業に乗り出しました。そのサービスが「UQ Wimax」です。
この「UQ Wimax」のサービスを提供するUQコミュニケーションズは、KDDIが100%出資した子会社ですから使っている電波もAU系です。その繋がりもあってAUのスマホを持っている人がWimax端末を契約すると、毎月1,000円も安くなるという嬉しいセット割価格も用意されています。
Speed Wi-Fi HOME L01 と L02 の速度比較
Speed Wi-Fi HOME L01 と L02 、計測場所など
ポケットWifiと違い、ホームルータは据え置き式です。「AUひかり」を引きたいけど工事ができない場所に住んでいる。または急いで使える環境を整えたい、などの人にはオススメ。
写真にあるような円筒形のもので、高さはいずれも18cm。「L02」になって角が少し丸まりました。
2017年2月に「L01」発売。
2019年1月に「L02」発売。
ポケットWifiでもパソコンでもそうですが、広い体積があればあるほど、アンテナを巡らせられるので、受信感度は良くなります。
例えば、ポケットWifi単体よりクレードルに挿して使っていた方が送受信が安定してスムーズにできるのはそのためで、同様の原理から、ホームルータの方が大きいですから、その分、持ち運びには適しませんが、安定した速度、動作が期待できます。
さて、本題に入ります。
今回、アルパカは速度比較として東京の西側と東側でそれぞれ速度を計測しました。
東側は葛飾区の亀有。あの漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で有名な場所ですね。
なぜ、この場所を選んだのかというと、実は都内中心部にほど近くありながら、最も遅くにWiMAXの受信エリアを満たした地域なのです。換言すれば、最も開発が遅れていた地域と言えましょう。
対して、西側の計測値としては練馬区を選びました。
マツコ・デラックス曰く「なあんにもないところよ、練馬区なんて!」と言ってたくらいですから、普通の人が一般住宅で使うことを想定するならちょうど良いと考えてのことです。
そもそも仕様ページに書いているようなベストエフォートの数値など出ることはありません。WiMAXのホームページには渋谷や新宿などの駅で計測した数値が出ていますが、それはあくまでもポケットWifiでの話です。
ホームルータは家や事務所などの固定された場所で使うことが基本です。そして実際の使い心地は、実機を使ってみないと分かりません。
そこで、今回の調査となりました。
結果は以下の通りです。
L01 と L02 での計測結果
計測は全て「speedtest.net」にて。
ThinkPad X1 carbon で繋げて、5回計測した平均値を取りました。
マクドナルド 亀有北口店にて
最初に見た時には、計測方法間違っていたのかと思いましたが、正しい数値です。
見ての通り、「L01」と「L02」は5.0Ghzでのハイスピードプラスで少し伸びましたが、極端な違いではありません。
比較参考までに、同じAU回線を使った「Xperia XZ1」でのデザリング結果も入れておきました。
「L01」と「L02」はさすがにデザリングより良い数値を出すものの、アップロードに関しては、大して違いはありません。
これは計測場所が駅前のマクドナルドだったからかもしれません。
では、場所を変えるとどうなるでしょうか。
マクドナルド 亀有アリオ店
時間がなかったので通常のハイスピードプラスの数値しか取れませんでしたが、驚きの結果となりました。
「L01」でダウンロード198.6Mhz。光回線だってなかなか出ない数値です。
通常、都内の「AUひかり」の1Ghzホームタイプでは、実測値は100Mbps前後と言われています。無線ルータでその倍。しかも「L01」「L02」の双方でほとんど違いなし。
駅から離れたので、てっきり速度は落ちるかと思いきや、とんでもないですね。
元々、電源を借りる都合からマクドナルドでの計測だったわけですが、ここのお店はショッピングモールの中なので、電波の通りが良いのかもしれません。
「speedtest.net」でメーター吹っ切るのってあまり見ませんが、以下のように、メーターは上限に付きっぱなしでした。
一方、東京の西側へ行ってみますと…。
マクドナルド 練馬田柄店
ダウンロードで35Mbps。普通です。
というより、思ったよりしょっぱい数値にしかなりませんでした。加えて「L02」の方がなぜか、やや低くなります。デザリングとほとんど同じ数値ですね。
ちなみに、このマクドナルドは駅から500メートルくらいは離れていますし、ショッピングモールも近くにはありません。
いわゆる住宅街の中にできたお店なので、そういう意味では、今回の計測で、最も現実的な数値と言えましょう。
L01 と L02 での速度差を比較してみたら
それぞれの数値の違いをグラフにすると以下の通り。明らかに亀有アリオが突出しているのが分かります。
数値を見慣れている人はこれだけでおおよそ把握できると思うのですが、その違いがどのような動きなるのか分かりづらいと思いますので、以下に簡単にまとめてみました。
例えば、亀有駅前で「L01」と「L02」でアップロード時間を比較した場合。
亀有駅前・ハイスピード+にて、アップロード時間比較 | ||
---|---|---|
L01 | L02 | |
10.5MB | 約 7秒 | 約 12秒 |
28.5MB | 約 18秒 | 約 13秒 |
1GB | 約 9分20秒 | 約 8分7秒 |
よく、会社で使われているオンラインシステムである「サイボウズ」で、データのアップロードにどれだけの時間がかかるかを計測したものです。
10.5MBはExcelファイル。28.5MBと1MBはそれぞれ動画のファイルです。
多くの人が、10MBから先は重たいファイルという認識があります。これはGmailを含む多くのプロバイダーメールの送受信上限が10MBまでと定められているからです。そのため、10MBを超えるデータは特殊なメール転送システム、またはクラウド。あるいはUSBメモリなどの外部ストレージに頼らざるをえません。
つまり多くの人がデータ移動の速度や時間を気にし始める容量、ということですね。
見て頂くと分かるのですが、10MBをちょっと超える程度だと実は「L02」の方が遅くなります。もっと小さいファイルでも如実にそうなります。しかし10MBを越えた、より重たいデータだと、どんどん時間は短縮されていくのです。
これは「speedtest.net」で計測した時にもそうだったのですが、どうも「L01」は初速が早くてあっという間に計測値が上がっていきますが、その後の伸びがいまいちでした。
逆に「L02」は初速こそ緩やかなものの、途中からの伸びが凄くてグイグイ速度が上がっていきます。
例えて言うなら短距離選手のスプリンタータイプか、より長距離が得意な持久走選手か、といった違いです。
一方でダウンロードはどうなのかというと、Youtubeの4K動画の再生で見比べてみたのですが、「L01」「L02」ともに、亀有駅前ではほとんど違いはありませんでした。双方ともに若干、カクつくな、という程度。
亀有アリオだとカクつきがほとんど感じられずスムーズに動画を見ることができます。
これは100MBの光回線で見た時にも同様のスムーズさでしたので、快適な高画質動画はデータの制限的にもやはり光回線(AU系の人は「AUひかり」がオススメの一択です)での活用が良い、という結論になります。もちろん亀有アリオのようなトンデモ数値を出せる場所に住んでいるなら別ですが、たぶん、そうした人は少ないかと。
最後にまとめ・結局どうなんだ「L02」は買いか、買いではないのか
速度制限がかかるまで色々と試しましたが、結果、思ったのは以下の三つです。
もう一つ。WiMAXに限らず他のポケットWifiでもそうですが、電波障害地域はどの地方にもあります。都心部でもあります。
例えば高層マンションに住んでいる場合、目安として7階層以上だと繋がりづらくなると言われています。もっとも、WiMAXの設備を導入しているマンションなら逆に高層階でも繋がりやすくなっているので、家賃の高いタワーマンションなどは例外です。
もちろん、エリア判定で調べることはできます。ですが、あれはあくまでも最初の目安です。計測場所によってここまでの差が出るのであれば、もはや実際に試すのをオススメせざるをえません。
契約をしたはいいものの遅くて使いづらかった。解約したら違約金がかかってしまう…なんて状況にハマらないよう気を付けましょう。
ちょっとだけ手間はかかりますが、お友達やご近所様でWimaxを先に使っている人がいるようならお尋ねしたりお借りしたり、「Try Wimax」の活用などが確実です。
オススメのWiMAX プロバイダーサービスについて
Wimaxの端末としては同じでも、その回線を繋げるプロバイダーは幾つも種類があります。こちらでは代表的な二種類のみ取り上げます。
「BIGLOBE WiMAX 2+」について
短期間の契約で面倒な手続きが嫌な人は、15,000円のキャッシュバックが簡単に貰えちゃう「BIGLOBE WiMAX 2+」をオススメします。一年間しか縛りがありませんし、その一年間に解約しても解約料1,000円しかかかりません。
毎月の使用料金がギガ放題プランで税抜き3,980円(税込 4,378円)データ端末を同時にお申し込みの場合に限り、ではありますが、サービス開始日の翌月に15,000円が戻ってくるのは大きいです。手続きも簡単なのがいいですね。
ただ「BIGLOBE WiMAX 2+」の場合は、端末代金がほどほど高額なので、初期経費がかかります。電気通信事業法の改正により、端末は買取となりましたから、現状、売っている代金引換一括払いで一律19,200円(税別)となります。キャッシュバックと相殺して4,000円強の支払いといったところ。
「BIGLOBE WiMAX 2+」について
もう一つのオススメは「GMOとくとくBB」です。時期により金額は変動しますが、27,000円(2020年7月は3万円)のキャッシュバックがあります。加えて、今のところ、こちらでは端末代金がかかりませんので、キャッシュバック分が丸々、お得になるようなもの。現状、契約できる中では一番安くてお得です。
※端末代金が買取になったら話は別ですが、今のところ、その気配はありません。
ただ、基本的に3年間の縛り期間があります。一年以上を使うと考えると、途中解約では以下のようにかかってきます。
「GMOとくとくBB」違約金
13ヶ月目~24ヶ月目 14,000円(税抜)
25ヶ月目以降、9,500円(税抜)
使い続ければもちろん、関係ない話ですが、強制オプションを外さないと結局、高い支払いが続きます。加えて、キャッシュバックは13か月目でなければ受け取れず、その受け取り方も複雑で面倒が尽きません。
オプションについて簡単に言うと「安心サポート、または安心サポートワイド」と「wifi接続オプション」の二つを解約しないと月額利用料が最大862円、年間にして一万円以上も高くなります。
特に忘れがちなのが「安心サポート、または安心サポートワイド」の解約です。こちらは契約してすぐには解約できないので、商品発送月の翌月以降に会員ページから解約を忘れないようにしましょう。
「そんな面倒なことやってられるか!」という人は、すぱっと契約、面倒さがない「BIGLOBE WiMAX 2+」でどうぞ。
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