2020年春の売れ筋であるRyzen5000シリーズ搭載機種ですが、まだそのラインナップは一部のメーーカーに絞られています。
今回は、その中でも特に人気の「Dell Inspiron 14(5415)シリーズ」をご紹介します。
※こちらの製品は完売しました。多くのご利用、ありがとうございました。
2022年2月から新しいRyzenシリーズを搭載した「Inspiron 14 AMD(5425)」が発売されています。同じ14インチでも、16:10比の広々とした液晶で、もちろんWifi 6対応です。もし、+100g(実質55gくらい)を許容できるという方は、ぜひ併せてご検討下さい。
「Inspiron 14(5415)」シリーズの特長
位置付けと特長
・アルミニウムの本体により質感が良い。指紋も付きづらい。
・Ryzen 5000シリーズを搭載しており、コストパフォーマンスに優れた14インチノートPC。記事アップ時点での最安は85,000円弱から(クーポンの割引率が良ければ6万円台)。
・基本的にメモリ8GB構成のみ。空きスロットはあるので裏蓋を外せる方なら増設は可能(あくまでも自己責任で)。
・一部の海外メーカー機種共通:初期設定はマルチメディアキーボード
・一部の海外メーカー機種共通:マルチメディアキーボード
国内メーカーのキーボードで慣れている人が、この機種を購入すると最初に戸惑うのがここだと思いますので特長として記載しておきます。カタカナ変換しようとF7キーを押すと明るさ調整が起動します。海外向けに設定されているため、FNキーとESCキーで通常の挙動に変更可能です(詳しくはキーボードの項目にて)。
アルミニウムの本体により質感が良い。指紋が付きづらい
筐体の全面がアルミニウム素材により質感が良いです。
通常、安いモデルですと強化プラスチック(樹脂製)が使われ気味ですが、そうならないところに人気モデルとなる理由があります。安価モデルでも安っぽくない、というのは重要な要素です(詳しくは外観の項目にて)。
Ryzen 5000シリーズを搭載しており、コストパフォーマンスに優れた14インチノートPC。記事アップ時点での最安は6万円円台から
ここも特筆すべき点です。
外観だけでなく、内部性能も優れています。
Ryzen 5000 シリーズの詳細は内部性能の項目で解説していますが、同じ価格帯のIntel製と比べるとその違いは一目瞭然です。ただ、気を付けないといけないのは、潜在的なパフォーマンスを数値化するベンチマークほど全てのアプリで動きが良くなるわけではありません。また、電力供給のない状態、電力設定が一つ落ちた状態で稼働させると著しくパフォーマンスが低下しやすい作業が多くあります。
14インチモデルは、その大きさと重さから内外とどちらでも使われますが、固定電源のある場所で、バッテリー駆動時でも最も高い電力設定での短時間駆動なら高いパフォーマンスを発揮します。
ネットには過度なキャッチコピーが過ぎる記事もありますが、派手に言われているほどではなく、あくまでも低価格帯の中では性能が良い、ということです。
基本的にメモリ8GB構成のみ。空きスロットはあるので裏蓋を外せる方なら増設できる
同じRyzen 5000シリーズを搭載したライバル機としてある Lenovo の IdeaPadシリーズ(例えば当記事で紹介している「Inspiron 14(5415)」に対する「IdeaPad Slim 550(14)」など)は、メモリ16GB構成が最初から用意されています。
このRyzen 5000シリーズの本来あるパフォーマンスを引き出すには16GB以上が必要で、実は8GBだけでは同格のIntel製8GBモデルと大して変わらない挙動です(ベンチの数値はすこぶる良いですが、この乖離が一部の実性能を知る方からRyzenを避けられる理由でもあります)。
ただ、それでもこの価格帯で手に入るところに意味があります。安い価格帯で手に入れておき、メモリはご自身で増設、換装を考えれば10万円そこそこで動きの快適なPCが手に入ります。この点、Lenovoの「IdeaPad Slim 550(14)」はメモリがオンボードですから増設、換装はできません。
ここが二社を選ぶ一つの分かれ目ですが、裏蓋を外すことが面倒だったりそういったスキルは持ち合わせていないけどパフォーマンスは落としたくない、というならLenovo。自分でメモリくらい入れられる、というならDell、という切り分け方になります。
ACアダプタのプラグがストレート型。ケーブル内断線にお気をつけを
「Dell Inspiron 14(5415)」のACアダプタと本体を接続するプラグはストレートの丸口になっています。Type-C全盛の時代にストレートの丸口は今時は珍しいので特長の一つとして追加しておきます。
詳しくはACアダプタの項目で記載していますが、このタイプのACアダプタを長く使用する場合、PC本体とACアダプタの置き場所に気を付けないとケーブル内断線が起きやすいです。どんなケーブルもそうですが、無理な方向に折り曲げながら使うと危険ということです。
「Dell Inspiron 14(5415)」の外観について
色合いは二色、プラチナシルバーとピーチダストがあります。
全ての性能で二色を選べるのではなく、基本色となっているのはプラチナシルバーで、ピーチダストは一部の機種にのみ絞られます。
デザイン的な特徴
こちらではプラチナシルバーの実機でデザインをご紹介します。
「Inspiron 14(5415)」プラチナシルバーのデザイン
全体的に明るいシルバーをしており、余計な装飾はなく、今時のスタイリッシュな印象を受けます。
先に書きましたが、指紋が付きづらいアルミニウム素材で肌触りも良いです。
シルバーの色合いは男女どちらにも好まれますし、仕事でも私用でも使える無難な色合いです。

Dell Inspiron 14(5415)・プラチナシルバー:天板
全体的にベゼルが細く、14インチノートPCのスタンダードなスタイルと言えます。
横幅は約32.1cm。重さは1.442 kg。
ベゼル内側と一部の部分のみ強化プラスチックですが、ほとんどがアルミニウムというのは強度の面で安心です。14インチですと内外兼用で使われる方が多いと思いますが、たまに外に持っていって多少の荒い使い方にも耐えてくれそうです。
また、このモデルにはプライバシーシャッターが付いています。
モニター上部のインカメラを物理的に開閉できますので、直観的に操作できますし、何より、普段から閉めておけば安心できます。ただ、操作するスライドバーやカメラアイが小さいので、目の悪い人は操作に難儀するかもしれません。右が閉め、左が開けです。
画像にある左右の写真までがヒンジの開く最大角度ですので、開きっぱなしにしたところに無理な圧力をかけてしまって、ヒンジをバキッとやってしまわないよう気をつけましょう。そうした経験のある人で不安な方は180度開くことのできる「Inspiron 14(7415)2 in 1」もオススメです。
廃熱口はモニター下部にあります。
手の置くパームレスト側まで熱くなることはないので、高回転させても問題はありません。
裏側もすっきりとしたデザインで余計な装飾はありません。
14インチはどのメーカーもA4サイズより一回り大きいくらいです。横幅はほとんど変わらないくらいですが縦に2cm弱ほど大きいです。ここが14インチの扱いの難しいところですが、毎日の持ち歩きには不便な重さと大きさですが、たまに持っていくくらいなら問題ない範囲です。
自宅や事務所内で使うにはテンキーがない分、事務作業には不向きなことも少なくありません。一台で内外兼用どちらでも済ませたいという方は必要になりそうであればテンキーとセットで買うのが良くある買い物のパターンです。
念のためお伝えしておきますと、同じDellでも兄弟機種の「Inspiron 14(7415)2 in 1」がタッチパネル付きになります。7415は天板が少し落ち着いた色合いのシルバーなのですが、パームレストがペブル グリーンという、うっすらと緑がかったシルバーです。色合いが渋い方が良いという方だと7415のペブル グリーンの方も併せてお考え頂くと良いかもしれません。

(左)Inspiron 14 7415 2in1、(右)Inspiron 14 5415:それぞれの天板

(左)Inspiron 14 7415 2in1、(右)Inspiron 14 5415:それぞれのパームレスト
接続口について
USB3.2のType-Aが左右にあるのが地味に嬉しいです。コスト優先だと基板の関係から左右どちらかに偏る傾向にありますが、このモデルは左右に散らしています。
Type-Cに関してはPD充電対応で、Display出力も対応です。念のため「エレコム製DST-C09BK」と「mreechan(Huawei)製ASIN:B07X659B4Z」で3枚モニターまで試しましたが、それぞれで安定したモニター出力を確認できました。ただ、Thunderbolt には非対応ですから、大容量データの高速転送はできません。
結論、大容量のデータ移動の必要がない方がモニターを増やして在宅で使う時などでは、コスパ良く活躍できる機種と言えます。

「Inspiron 14(5415)」をType-Cアダプタ経由で三枚出力テスト
HDMI + HDMI | HDMI & D-Sub15ピンmini | |
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エレコム製DST-C09BK | ||
mreechan(Huawei)製 |
キーボードについて
打鍵感は良いです。横のピッチが 19.05 mmと広めで、縦が18.05 mmと若干狭いですが気になるほどではありません。
今回の機種になってようやくEnterキーが日本語向けの逆「字の形状として横に広がりました。今までのDellのキーボードではここが細くてEnterキーを押そうとする度にイラッっとすることが多くありました。今回から広めになって本当に良かったと思います。
また、安価モデルではバックライトキーボードが削減されやすい部分ですが、バックライトキーボード付きです。「Inspiron 14(5415)」の場合、マルチメディアキーボードではF5キーにて(一般設定では FN + F5 にて)バックライトの強弱やオンオフを切り替えられます。

「Inspiron 14(5415)」のバックライトキーボード
以下、しばらく使って気になったところを挙げておきます。
①キーボード内右上に電源ボタンがある。
これはコスパ優先機としては仕方がない部分ですが、海外メーカー中心によくある造りです。慣れればどうということはありませんが、Shiftキー+ Deleteキーを同時押しで不要ファイルを完全削除しようとした時に、手元を見ないままだと電源ボタンを押しかねません。キーボード右上にDeleteキーがある仕様で慣れた人ほどここで電源ボタンを押してしまってスリープモードへ入るなどもよくあるパターンです。または右上にBackSpaceがあるのに慣れた人でも同様です。気になる方は電源ボタンを押した時の設定を変更しておきましょう。
※タップかクリックで開けます。
②矢印キーが逆T字になっていない
ここもコスパ優先機にはよくある造りです。
矢印キーの左右が広めになっているので、手元を見ないままショートカットでカーソル移動や画面遷移を行う人は場所が分かりづらいです。もっとも、ここも値段相応という部分があり、この価格帯で手に入るキー配列としては避けられません。Lenovoなどでも同様の造りです。また、そうしたショートカット移動をしない人には欠点たりえませんので、ご自身のお使いに合わせてお選び下さい。
③マルチメディアキーボードが標準設定
海外メーカーを扱うことに慣れている人にとっては特筆する部分ではないのですが、日本メーカーに慣れている方がこのモデルを買うと最初に調べる部分だと思いますので記載しておきます。
日本語のカナ変換はF7キーですが、F7キーを押した際にはモニター輝度が上がっていきます。
これは「マルチメディアキーボード」と言い、海外メーカーの一部の機種に見られる設定です(Lenovoだとこの設定になっていないことがほとんど。HPはまちまち。Dellはがっちりマルチメディアキーボードで出してます)。
キーボード上部にあるFNキーで行う特殊操作(音量やモニター輝度の調整など)が、FNキーとの組み合わせなしで反応します。そのためファンクション操作が多い人にとっては便利なのですが、日本語は全角入力にカナ変換があるので、日本人には不向きな設定といえます。
切替え方はこちらの公式ページに掲載されている通り簡単です。
BIOSから変更する方法もありますが、ESC + FN だけで気軽に切り替えられます。日本語入力しない時や、ネットコンテンツを楽しみたい時に切り替えると便利かもしれません。
非光沢のFHD液晶
液晶パネルは「CYHFW_140HCA」でしたが、これは「Inspiron 14(7415)2 in 1」で使われているのと同じ型でした。
全ての兄弟機種がこの型ではないと思いますが、14インチに多く採用しているようです。

Dell Inspiron 14(5415)の液晶パネル「CYHFW_140HCA」:Color ACの色度図、i1Display Proによる輝度測定、LUT表示
輝度は239cd/㎡と一般的な明るさで、色域はsRGBカバー率が63.8%。Adobeカバー率が48.2%。
広い色域ではないものの、この価格帯で手に入る一般的な範囲です。どこまでこだわるかの話ですが、日常使いで不便に感じることはないと思います。また、やや緑色が強めに出ていますが、これも気にならない程度です。
次にモニターの視野角の広さを確認します。

Dell Inspiron 14(5415)の視野角の確認:文字
写真でも確認できますが、かなり斜めから見ても文字を読むことができます。これならどの角度からでも見やすく、使いやすい液晶と言えます。
念のため画像でも確認しましたが、やはり斜めからでも鮮やかさは変わりません。見やすい液晶だと思います。

Dell Inspiron 14(5415)の視野角の確認:画像
Inspiron 5415 の裏蓋を外す、メモリ増設など
Inspiron 5415の裏蓋は長さ同一の7本のビスと、内側から噛んでいる小さな爪により閉まっています。

Dell Inspiron 14(5415)の裏蓋ビス×7本の位置
このモデルはメモリ交換できますし、慣れた人ならストレージ交換も容易です。
ただ、裏蓋を外すのが少し面倒で、内側から噛んでいる細かい爪がそこそこ固くて数が多いです。開ける際に無理に引っ張って爪を折らないようにお気をつけ下さい。小さい爪なので折れやすいです。
特にヒンジ近くの二本のビス(上図◎の)は完全に裏蓋から取れずにくっついたままですから、緩めては蓋を浮かせて、内側からフックしている爪を徐々に外し、また緩める、を繰り返して外してゆきます。
この辺りで苦戦する方は、「Inspiron 14 5415」のサービスマニュアルをご覧下さい。ここには裏蓋の外し方からパーツ毎にバラす手順まで全て書かれています。
外すことさえできれば、あとは容易です。
搭載されていたメモリはSK hynix(Hyundai)製の「HMAA 1GS6CI6CI6N-NX」でした。
ノートPC用の260pinで「DDR4 3200MHz PC4-25600」が適合する筈ですが、あくまでも自己責任でお願いします。もちろん、交換後はメーカー保証対象外になりますので、もし、調子がおかしくなって修理に出す時には増設したメモリを元に戻してからにしましょう。改造した車を車検に出すのと同様です。
アルパカではメモリ16GBまでしか試していませんが、どうも他の人の話では32GBまで認識するようです。今はSSDと共にこのクラスのメモリが手軽な値段で買えますので、ご予算が許されるようであれば、デュアルチャネル対応のもので二枚揃えて交換するのをオススメします。8GB買って挿すだけでももちろん大きな効果はあります。ただ、デュアルチャネルの機構は基本的に同じチャネル同士のメモリでないと効果がないのでパフォーマンスを重視するなら二枚とも揃えておいた方が良いです(もちろん例外はありますが、組み合わせを調べるのは難儀します。結果、同メーカーが安牌)。
なら最初から装着されていたSK hynix(Hyundai)製のメモリを8GB×1枚買えばいいと思うのですが、検索すると適合するものが一般販売されていないことに気づきます。
そのため、アルパカのオススメとしてはこの辺りです。Crucialは安定しており値段も安く、加えて永久保証付き。型として適合するとは思いますが、動作確認までは取れていませんので、挑戦されるようであれば、自己責任でどうぞ。
ACアダプタについて

「Inspiron 5415」に同梱されているACアダプター「LA65NS2-01」
ACアダプタの長さは170+80=250cm。重さは325g。
定格電力は65Wとなっており、メガネケーブルは国内向けの125V用です。
今時にしては珍しくソケットの形が丸口のストレートタイプです。
もう23年くらい前ですが、当時はストレートタイプのソケットを使用したPCが多く出回っていました。
このタイプは一方向に折り曲げられながら使い続ける人が多かったことから断線故障が多発し → L字型を採用するメーカーが多くなった、という経緯があります。L字を採用するとコストがかかりますから、販売メーカーのジレンマとなる箇所でもありました。
逆を言えば、この部分を無理な角度で使い続けることがなければ断線しません。それを把握された上で、ご心配な方は予備の互換アダプタ「LA65NS2-01」がAmazonから3,000円程度で買えます。

65Wに達しない充電器使用時の警告ポップアップ
「Inspiron 14 5415」の互換アダプタ |
|||
---|---|---|---|
使用 | PD対応 電力 |
メーカー | 商品型番 |
△ | 18W | cheero | CHE-324 |
△ | 20W | AUKEY | PA-F3S-WT(White)、PA-F3S-BK(Black) |
△ | 45W | Anker | PowerPort Atom III Slim (Four Ports) |
〇 | 65W | Dynabook | Type-CのDynabook共用ACアダプタ「PAACA048」 |
※ケーブル別売りの充電器は全て「Anker PowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブル (0.9m) 超高耐久 60W PD対応」を使用しました。
「Inspiron 14(5415)」シリーズの内部性能について

「Inspiron 14(5415)」搭載Ryzen 5500Uをメモリアップ後の差
Ryzen 5 5500Uの性能を調べて思ったこと
プロセッサーやメモリの素の能力やポテンシャルをそのまま計測するのは指標として大切だと思うのですが、使う人にとって分かりやすく説明するには、やはり実用性で目安となるPCMark10が良いと思っています。
そういう意味でまず、メモリ8GBの結果が以下の通りです。
PCMark10・Dell Inspiron 14(5415)、Ryzen 5 5500U + メモリ8GBにて

「Inspiron 14(5415)」搭載Ryzen 5 5500U、メモリ8GBのAC電源あり最も高いパフォーマンス時

「Inspiron 14(5415)」搭載Ryzen 5 5500U、メモリ8GBのバッテリー駆動時、高パフォーマンス時
ご覧頂くと分かるように、固定電源のある状態ではトータルスコアが4,603ですが、これはIntelのモバイル向け第11世代Core『TigerLake』最上位に匹敵する高いスコアです。「Ryzen凄いんですよ、Ryzen 5はCore i7くらいの性能あるんです」というよくある説明はここから来ています。この説明自体は間違っていません。

画面右下にある電力設定変更の図
しかしながら、これは電力設定が一番高い時に限ります。一つ下の高パフォーマンスモードになると極端に性能が下がります。3,000が快適さの分かれ目と言われるPCMark10で3,004というギリギリのスコアでは普通には使えますが良い動きは期待できません。これはメモリを16GBに増設しても変わりません。
PCMark10・Dell Inspiron 14(5415)、Ryzen 5 5500U + メモリ16GBにて

「Inspiron 14(5415)」搭載Ryzen 5 5500U、メモリ16GBのAC電源あり最も高いパフォーマンス時

「Inspiron 14(5415)」搭載Ryzen 5 5500U、メモリ16GBのバッテリー駆動時、高パフォーマンス時
兄弟機種の「Inspiron 14(7415)2 in 1」に同系統のメモリが入っていたので、付け替えて16GBにしてからの計測結果です。
メモリ16GBに換装した時には5,150をマークしました。この価格帯のPCは一通り見てきましたが、素晴らしいの一言に尽きます。5,000をクリアするモバイル機はあまり多くありません。それが10万円そこそこで手に入るとは。実に良いですね。

PCMark10のトータルスコア(AC電源あり時となし時の比較)
※PCMark10の最新情報はこちらにまとまっています。併せて見て頂けると分かりやすいと思います。
しかし、バッテリー駆動時、電力設定が一つ落ちると、途端にi5にも届かないスコアに変わります。上図の通り(白枠の二つは「Inspiron 14(5415)」で最初から選べる構成、緑枠の二つは「Inspiron 14(7415)2 in 1」で選べる構成)。
ここがIntel Coreとの大きな違いの一つです。Intel Core でも電源設定が一つ下になり、バッテリー駆動ともなればスコアが大きく下がります。ただ、下げ幅がRyzenの方が大きいようで、作業によっては速度が半分まで落ちます。実際の挙動を試してみても、ああ、電源設定違ってたかな、と気づくことはあっても、Coreだと面倒だからそのまま今の仕事を終わらせてしまおう程度に考えられます。しかしRyzenだと「仕事にならない。すぐに切り替えないと」と思うくらいに変わります。
じゃあモバイル向けの機体はIntelが最強なのか、というと実はそうでもありません。ここがまた面白いところなのですが、実はIntelも電力設定が下になると極端にパフォーマンスが落ちる動作を幾つか確認しています。しかし、それは特定のアプリで特定の動作をさせた時だけに限るので、範囲が狭いのです。
例えば、一般的なネットブラウジングは誰でも行う基本操作ですが、主要な三つのブラウザで見た時には以下のようになります。
WEBXPRT3・Dell Inspiron 14(5415)、Ryzen 5 5500U と Ryzen 7 5700Uメモリ8GBにて
これはブラウジングの速度を測るWEBXPRT3をグラフ化したものです。
「Inspiron 14(7415)2 in 1」搭載のRyzen 7 5700UではChromeやEdgeに比べればFirefoxが相性が良いことが分かりました。しかし、それよりも電力設定が一つ下がっただけで半減するパフォーマンスの悪さが目に止まる筈です。また、実際にネットサーフィンをしていても、電力設定が変わればすぐに分かるほど動きも変わります。
これはメモリ16GBにしたところであまり変わりません。
WEBXPRT3・Dell Inspiron 14(5415)、Ryzen 5 5500U と Ryzen 7 5700Uメモリ16GBにて
メモリ増設すると電力設定が一つ下の時の伸びより、最も高い電力モードの方が伸びています。つまり、苦手分野をカバーするより得意分野をより伸ばす作用の方が大きいのです。比較用として、同じモバイル機で同格のGZ/HPシリーズ(Core i5-1135G7搭載機)での計測を以下に挙げておきます。見比べて頂ければ分かりやすいと思います。
これを弱点と捉えるか、特長と考えるかでRyzenに対する評価は分かれます。モビリティに何を求めるのかと言う話にもなり、内外どちらでも使える14インチという製品では、最も評価が分かれる分岐点たりえます。
もし、これをお読みになっている方が「ほとんど外では使わない。基本的に家使用」と割り切るのであれば、当記事のRyzenシリーズはオススメになります。しかし、そうでないなら、他社も含めてIntel製をお考え頂く必要があるかもしれません。
全データはこちらの記事にてまとめてありますので、より詳細に知りたい方はご覧下さい。
「Inspiron 14(5415)」搭載Ryzen 5 5500Uの高負荷パフォーマンス推移、「2分間の壁」
次に高負荷パフォーマンス推移になります。

「Inspiron 14(5415)」Ryzen 5 5500U にOCCTで負荷100%をかけた時の推移(最も高いパフォーマンス時)

「Inspiron 14(5415)」Ryzen 5 5500U にOCCTで負荷100%をかけた時の推移(高パフォーマンス:バッテリー駆動時)
見て頂くとお分かりのように、最初に周波数がガツンと上がった後は二分弱のハイパフォーマンス状態を維持します。80度に達することはありませんが、二分を過ぎると高熱状態を避けるため電力量が絞られ、同時に周波数も低下します。逆を言えば2分以内の高負荷作業は得意です。
また、電力供給のないバッテリー駆動時に高パフォーマンスモードで駆動させた場合、実は最高周波数を維持できる時間帯が2分から3分に伸びます。その代わり、そこまでの電力上昇が緩やかになるため、瞬間的なレスポンスは大幅に低下します。短距離走の選手が中距離用になるイメージです。
最も高い電力設定時の2分間の壁を意識しておくなら、外出先でバッテリー駆動時に二分以内の短時間作業でサッと済ませてしまう、という手段も見えてきます。ただし、それを過ぎるようなら電力を取られる割にはパフォーマンスは低下するばかりなので、電力設定を一つ落とした方が良いです。
ちなみにRyzen 7をお考えの方は、兄弟機種の「Inspiron 14(7415)2 in 1」にてレビューしていますので、そちらも見た上でお選び頂ければと思います。
「Inspiron 14(5415)」のストレージ速度(CrystalDiskMark)
これはもう素直に早くて良いストレージを積んでいると思います。読み込みで3000超えるようならまとまったデータを扱うのも得意です。下2段のランダム系も良い数字ですから体感的な速度も快適な範囲と言えそうです。

「Inspiron 14(5415)」の本体ストレージ:CrystalDiskMark7.0にて計測
性能表・Windows11搭載モデル
Windows11搭載モデルが追加リリースされました。Windows10搭載モデルとして残している先の型番との平行販売になります(2021年12月確認にて)。
Windows11搭載モデルではOfficeは2021年度版となっています。
Wifi のバージョンについて
クーポンの適用について
Dellのパソコンを買う場合、各購入ページの入り口にあるクーポンコードをコピペして注文画面右上の適用欄に張り付け、クーポンを適用をクリックしましょう。これだけで大幅なお値引きが適用されます(割引率は時期により変動します)。
入り口でクーポンコードをコピペし忘れた方はこちらにて最新クーポン情報が掲載されています。または、下図のようにクーポン適用欄のある注文画面左下にある赤い矢印部分にもありますので、こちらからコピペをどうぞ。

クーポンコードの適用欄
また「プレミアムサポート(プラス)」や保証についてなど、Dell製品を選ぶ際に迷いやすい部分はこちらの記事を読むと分かりやすいと思います。
Win11 + Ryzen 5 5500Uシリーズ
Inspiron 14 (5415) Ryzen 5 5500U搭載モデルの基本構成 |
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---|---|---|
カラー | ■プラチナシルバー ■ピーチダスト | |
初期OS | Windows 11 Home | |
プロセッサー | Ryzen 5 5500U 2.1/4.0GHz<6C12T> PassMark 13,770 PCMark10 ACあり最高:4,603 バッテリー駆動時、高:3,004 |
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グラフィック | APU内蔵(AMD Radeon Graphics) | |
メモリ | 8GB(8×1) / 最大32GB PC4-25600(DDR4-3200) |
|
ストレージ | 256GB (M.2 2280, PCIe-NVMe) |
|
ディスプレイ | 14.0型 FHD 液晶 (1,920×1,080ドット) LEDバックライト 光沢なし WVA |
|
キーボード | 日本語 バックライトキーボード | |
セキュリティ | 指紋認証選択可 | |
無線通信 |
Wi-Fi 5 or 6 AX200 2×2 (Gig+) + Bluetooth 5
|
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質量 | 約 1.442 kg | |
バッテリー | Youtube再生実働時間 約10時間15分 | |
リリース | 2021/4/14 |
※バッテリーは「Youtube再生実働時間」にて表示していますが、構成内容により差異が出ます。アルパカが確認した範囲での大まかな目安とお考え下さい(輝度50%、音量40%、夜間モードオフ
※このシリーズには光学ドライブと有線LANが搭載していませんので、項目を割愛しています。
価格 | キャンペーン名 | プロセッサー | メモリ | ストレージ | Office | 無線 | カラー | 発注コード |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
64,434円 | 【即納】プレミアム | Ryzen 5 5500U | 8GB(8×1) | 256GB(PCIe) | なし | Wifi 5 | ■ | smi101fhlcaa08on3ojp |
品切れ中 |
※価格は全て税込表記です。
※2023年5月24日現在での価格にて表示しています。
※カスタム選択項目は割愛しています。Dellの場合、カスタマイズすればするほどコスパが悪くなると思った方が良く、カスタマイズしないと手に入らない内容でない限りは、こちらの初期構成のまま買うのがオススメになります。
軽くご家庭で使うことや大容量のデータを扱うことがなければ、Ryzen 5にメモリ8GBの組み合わせでも十分に役立ってくれます。ただ、アプリによる相性のありなしがありますので、一般的な用途では使わないようなものはパフォーマンスが落ちることもありえます。
Dellの場合、見ての通りキャンペーンや納期の長短により注文ページが分かれています。ですが基本的な本体構成は変わりません。納期や特典を気にするかどうかでお選び頂けると良いと思います。
それにしても、この性能でOffice抜きとはいえ、最安6万円台半ばから手に入るとは。激安すぎです。性能のことが良く分からずに迷われている方なら、まずこの辺りをオススメします。Office付きでも8~9万円です(2021年12月確認のお値段にて)。
Win11 + Ryzen 7 5700Uシリーズ
Inspiron 14 (5415) Ryzen 7 5700U搭載モデルの基本構成 |
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---|---|---|
カラー | ■プラチナシルバー ■ピーチダスト | |
初期OS | Windows 11 Home | |
プロセッサー | Ryzen 7 5700U 1.8/4.3GHz<8C16T> PassMark 12,633 PCMark10 ACあり最高:4,763 バッテリー駆動時、高:3,078 |
|
※上記の数値は全てメモリ8GBのInspiron 7415で計測。 | ||
グラフィック | APU内蔵(AMD Radeon Graphics) | |
メモリ | 8GB(8×1)or 16GB(8×2) / 最大32GB PC4-25600(DDR4-3200) |
|
ストレージ | 512GB (M.2 2280, PCIe-NVMe) |
|
ディスプレイ | 14.0型 FHD 液晶 (1,920×1,080ドット) LEDバックライト 光沢なし WVA |
|
キーボード | 日本語 バックライトキーボード | |
セキュリティ | 指紋認証選択可 | |
無線通信 |
Wi-Fi 5 or 6 AX200 2×2 (Gig+) + Bluetooth 5
|
|
質量 | 約 1.442 kg | |
バッテリー | Youtube再生実働時間 約13時間17分 | |
リリース | 2021/4/14 |
※バッテリーは「Youtube再生実働時間」にて表示していますが、構成内容により差異が出ます。アルパカが確認した範囲での大まかな目安とお考え下さい(輝度50%、音量40%、夜間モードオフ
※このシリーズには光学ドライブと有線LANが搭載していませんので、項目を割愛しています。
価格 | キャンペーン名 | プロセッサー | メモリ | ストレージ | Office | 無線 | カラー | 発注コード |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
98,531円 | 【新生活応援・即納】プラチナ(Office H&B・ワイヤレスマウス付) | Ryzen 7 5700U | 8GB(8×1) | 512GB(PCIe) | H&B | Wifi 5 | ■ | smi104shlcaa08oh3ijp |
95,465円 | 【即納】プラチナ(Office H&B付) | Ryzen 7 5700U | 8GB(8×1) | 512GB(PCIe) | H&B | Wifi 5 | ■ | smi104shlcaa08oh3ojp |
品切れ中 |
※価格は全て税込表記です。
※2023年5月24日現在での価格にて表示しています。
※カスタム選択項目は割愛しています。Dellの場合、カスタマイズすればするほどコスパが悪くなると思った方が良く、カスタマイズしないと手に入らない内容でない限りは、こちらの初期構成のまま買うのがオススメになります。
Ryzen 7 5700Uの構成がこちらになります。
アルパカは兄弟機種の「Inspiron 14(7415)2 in 1」で計測しましたが、ベンチマークはおおよそ同じスコアと考え、そのものを記載しています。
正直なところ、Ryzen 5までであればメモリ8と16GBの違いは極端ではありませんので強くはオススメしません。ですが、Ryzen 7 5700Uの場合、PCMark10 ACあり最高:4,763(メモリ8GB)に対して、PCMark10 ACあり最高:5,369(メモリ16GB)まで上がります。
一方、新しく加わったメモリ16GBモデルが下表になります。今までは裏蓋を外して自分で入れ替えないといけなかったので面倒でしたが、ようやく最初からRyzen7のパフォーマンスを生かせる仕様として登場しました。
「Inspiron 14(5415)」シリーズのまとめ
最近は多くのメーカーで14インチが売れ筋になっていますが、このシリーズはその最前線を行く人気機種です。
Ryzen プロセッサーが入ってお値段安くて済みますので、なんといってもコスパ優良であることは誰もが認めるところでしょう。
ただ、電力設定により挙動がかなり変わること、アプリと作業内容により相性の良し悪しが分かれること、など癖のある性能をしているのも確かです。
そのため、あまり持ち運びをしない、または持ち運んだ先で固定電源を確保できる方なら、一般的な用途では十分にオススメできる良い機体です。
あと、これは2022年1月に記事の修正をしていて思ったことですが、現在、為替が円安方向に進んで1ドル=115円台です。
今の水準ならDellはこの価格帯を維持できますが、Wifi 6 搭載機がなくなったのはコスト削減のためだと思います。
この円安がどこまで進むのか分かりませんが、欲しい機種がありましたら、早めの注文がオススメです。
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