富士通(Fujitsu)ってどんなパソコンメーカー?
・造っているパソコン…デスクトップはESPRIMOシリーズ、ノートパソコンはLIFEBOOK。
・ノートPCの種類…一般サイズの15インチ ~ 13.3インチまでの小型ノートシリーズ(一部、タブレット機もありますが、当サイトでは割愛)。
・デスクトップPCの種類…小型タワー(ロープロサイズ)、デスクトップ一体型。
管理人から見たメーカーの力配分
富士通の力配分 | |
---|---|
内部性能 | 7 |
モバイル性 | 10 |
デザイン性 | 3 |
割安感 | 5 |
サポート | 3 |
保証 | 7 |
堅牢性 | 5 |
東芝を除けば、唯一、海外に通じるメーカーです。
加えて、NECがスーパーコンピューターを撤退した後には、国内で唯一開発を続けているのは富士通だけです。
富士通製(理化学研究所と共同)のスーパーコンピューター「京」は莫大なコストをかけても開発を進めており、日本の技術力を誇示するメーカーとも言えます。
元々、パソコン事業だけではなく、様々なコンピューティングデバイスを開発するメーカーなので、タブレットを含めて、多くの事業で活躍しています。
最近ではAI開発で培った技術を様々な方面で活用しようと、法人向けのサービスを展開しており、これからも活躍が期待されますね。
一方で、NEC、東芝に次いで富士通を加えて「パソコンの老舗御三家」などとも呼ばれており、長い開発の歴史も持ち合わせています。
そんな長い歴史から培われた技術と、世界の先端を行く富士通パソコンの特徴をざっとご紹介します。
富士通パソコンの特徴
特徴1 昔から変わらず深い打感
これは今も昔も変わりなくストロークが深いキーボードを造り続けています。
私が確認している限りでは、モバイルも15インチノートも全てが深く造られています。
「この打感でないと駄目」という人もおり、他社と打ち比べてから富士通がいい、という人も結構います。
キーボード選びに関しては、近くの量販店にある展示機を実際に触って確認するのが一番ですが、下記記事が参考になるかもしれません。
特徴2 ライバル意識が強くて性能、機能にとても貪欲
良くも悪くも貪欲です。
元々、富士通はNECに似せたモデルを出す傾向がありました(そういうと富士通に怒られそうですけど)。
NECは日本メーカーの標準的な機能や性能を発表していたこともあり、NECが新しい機能を追加してきたら富士通も追加するのです。
それでいて、発売時期を常にNECの後にしていたため、同じCPUにはせずにちょっと上のCPUを常に入れてくるなど(機能に関してはワンシーズン以上遅らせますが、より強い機能を盛り込むことが多い)。
後だしジャンケン戦法ですが、やり方はどうあれ「他の国内メーカーよりも性能がいいんですよ」と言える強みがあります。
もっとも、この方法が使えるのも即応して機能や性能を盛り込むことができる技術力があったればこそです。
特徴3 広い視野で見ている柔軟な思考
生産ラインが国内メーカーにしては大きいからかもしれませんが、従来の技術に拘ることがあまりありません。
これが悪い方向に働いてしまうと、他社用品で代用できない独自規格のケーブルを使ってしまい、不評を買ってしまった、という事もありました(2018年現在、こうした機種は確認されていません)。
逆にこれが良い方向に働くと、他のメーカーがどこも参戦していなかった分野に一番乗りすることにもなり、事実、VRやMRなどは国内では富士通が一番乗りしています。
元々、Windows10がウェアラブル端末に対応したOSとして開発されたこともあり、デバイスの形状に拘らない新たな製品造りにも意欲的です。
自由に動けるエンジニアリング部隊を要望を持つ法人に派遣して、直接、情報を仕入れさせているくらいです。
当たり製品を出してくる時には斬新なヒット商品を出す可能性が高いのです。
逆を言えば誰もやったことのない分野に挑んでいますから、大ハズレになる可能性もあります。
可能性が広いという意味で実に面白いメーカーですね。
特徴4 Lenovo傘下で事業を推進しています
2017年10月に、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が、レノボ傘下でPC事業を推進することを正式発表しました。
「え、それってNECと同じなの!?」と思ってしまうのですが、どうもそうではないようなのです。
これは戦略提携なのだとか。
何しろ、NECがLenovo傘下になった後では、販売時から情報を送信されるスパイソフトを仕込まれてしまった苦い歴史を持ちます。
↓NECの項参照
もし、このことをリスクだとお考えになるなら、短所として働きますし、逆にこのことで製品の品質が上がって値段が抑えられると考えるなら長所となりえる一要素です(後の欠点の中でも触れています)。
富士通パソコンの欠点
1.コールセンターが最初の一年間だけしか無料にならない、その後は一件2060円(税込)
富士通は最初の一年間という区切りをつけています。
東芝は近年になって5年間無料、と期間を区切りましたが、VAIOやNECは期間を区切らずにずっと無料です。
サポートの評判自体は悪くないのですが、やはりお金がかかるようになる期間が短いことはデメリットの一つとして挙げられます。
もっとも「購入したパソコンは一年もすればおおよその設定や使い方は把握できるでしょ」という人も多いので、そういう人は気にする部分ではないと思います。
2.納期が不安定
もっぱら富士通から直接、パソコンを購入できる富士通ウェブマート(Fujitsu WEB MART)での話ですが、出荷までに一週間かかることが多いのは他メーカーと大差はありません。
ただ、時期と機種によっては2週間越えになることもあり、納期のバラつきが気になるところです。
欲しい機種の的が絞れている状態なら、早めの注文がお勧めです。
3.富士通の専門販売員や直販の窓口が少ない
これはパソコン本体側の欠点ではありませんが、重要な部分なので念のため。
昔は専門の販売員が家電量販店のあちこちの店舗にいたのですが、今ではほとんど撤退させているようです。
直販コーナーの窓口も少ないるので、「専門の人から直接会って話を聞こう」というのが難しくなっています。
店舗側での人を増やすよりも、こうしたインターネット側での販売を促進させる方に力を注いで収益化を目指しているようです。
4.Lenovo傘下、というリスク
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の齋藤邦彰社長曰く、
「(前略)これは、レノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータ(NEC PC)の関係とは異なる部分でもあります。この2社は、レノボNECホールディングスのもとに、それぞれの会社が存在し、パートナー戦略などについても共同で展開する形が多いのですが、FCCLの場合は、レノボ・グループ・リミテッドが出資をすることになり、NECレノボ・ジャパングループとは独立した組織体制となります。(中略)
例えるのならば、自動車メーカーのフォルクスワーゲングループのように、フォルクスワーゲンのほかに、アウディやポルシェといった異なるブランドも存在し、それぞれのカスタマーベースを維持しながら、それぞれのカスタマーに向けて、独自性の強いクルマを投入しています。
しかし、その一方で、バックエンドでは共通の部品を使用し、調達メリットを享受していることも想定されます。独自性を維持しながら、バックエンドはつながっている部分があるという仕組みは、似ているのではないでしょうか」
という話です。
ここで一番気になるところは、「Lenovoに指示命令権があるのか?」という部分です。
株式の51%をLenovo側で取得することになる以上、議決権は向こう側の筈です。
※NECの時にも書きましたが、生産拠点がどこかではなくどこが資本を握っているか(命令権を持っているか)が重要です。
ですから「ないよ」と言えないでしょうが、「部品供給の利はあっても富士通らしさが損なわれない」とも言っています。
最初にそういう取り決めをしているからでしょうが、そういう意味ではNECとは少し違った内容になりそうです。
事実、提携してから一年以上が経ちましたが、特に富士通らしさは損なわれていません(NECの時には直後から構造が変わっていきました)。
最終チェックを富士通の工場で行うならハード的には問題なし、と考えるべきでしょうか。
問題はソフトです。
幾ら議決権や命令権があろうと、違法性の高いソフトを見つけたら拒否する筈です。
法の上に成り立っている組織なのですから。
また、富士通の技術者集団の目をそうそう誤魔化せるとも思えないのです。
今のところ富士通製で怪しい話は一切、聞いていません。
富士通もNECの時の前例を知っているわけですから、わざわざ同じ轍を踏むような選択はしないはずです。
もちろん、最終判断は皆様の自己責任であることは変わりありませんが、この状況と今の様子なら問題ないであろうと考えています。
同一ベンダーの部品を全くの別会社が使用することは少なくありません。
むしろ、そうしないと効率良く製造できないので、表向きの機体の造りだけで「●●製」と謳っているようなこともあります。
成熟産業だけにバラバラだった部品規格が統一した流通に編纂されているわけです。
戦争でも起きない限り、中国、韓国、台湾のパーツ供給ルートに近い日本も影響を受けてしまうのは自然の流れなのでしょう。
とはいえ、技術力を持った日本のPC御三家「NEC、富士通、東芝」が単独でのシェア争いから姿を消しまったのは、寂しさを感じてしまいます。
富士通パソコンの得意分野
1.13.3インチの世界最軽量モデルがある
まず筆頭にあげられる特徴がこれです。
「ウルトラブック」という規格が出始めたのは2006年から。
当時から、デバイスの小型化は進んでいましたが、やがて、2012年に頂点に立つべく出してきたNECのZシリーズが出てきました(今のハイブリッドZEROの前身です)。
それを追随してUHシリーズを極限まで薄く使いやすくしたのが、現行のUHシリーズとなりました。
2012年当時は800gを下ったZが凄い、と言っていたものですが2017年に打ち出した富士通の「LIFEBOOK UH75/B3」は750gを下り、とうとう今のUH(WU2/C3)は700gを下りました。
12.1インチあたりでのDVDドライブ付き世界最軽量はパナソニックの「Let’s note(レッツノート)」で決まりです。
しかし、ドライブの使用頻度が少なくなってきた現代では、13インチにインチアップしつつ軽量化したモデルを選びたくもの。
もちろん、軽さだけで使いやすさが決まるわけではありませんが、やはり軽さが武器であることには違いありません。
軽さに対する技術力を持っていることは富士通の立派な特徴の一つです。
2. 東芝を除けば、唯一、海外でも通じる国際メーカー
知名度は東芝には及びませんが、それでも海外の一部の人にはよく知られています。
海外に修理サービスセンターやヘルプデスクを配置しており、東芝のように国内に送らずとも修理が可能です(ノートPCのみ。デスク不可)。
修理サービスセンターが近場にあれば持ち込み修理さえ可能です。
一番近い修理サービスセンターに送れれば良いので東芝よりは対応が早そうです。
ただし、地域によっては送料が発生しやすく、富士通からの手配ではなくユーザー側から送らないといけない手間もかかります。
対応地域はとヘルプデスクのサービス拠点はこの四箇所です。
地域 | サービス拠点 |
---|---|
ヨーロッパ・中東・アフリカ地域およびインド | Fujitsu Technology Solutions(ドイツ) |
北米地域 | Fujitsu America, Inc.(アメリカ) |
アジア・パシフィック地域 | Fujitsu Business Technologies Asia Pacific Limited(香港) |
オーストラリアおよびニュージーランド | Fujitsu Australia Limited(オーストラリア) |
↓対象国と受付窓口の連絡先
これら4つのヘルプデスクには、それぞれ英語及び現地語で対応しているヘルプデスクが用意されています。
仮に海外からでも日本語での対応を望むのであれば、日本語受付窓口が用意されているのですが、日本のセンターを経由、翻訳してから一番近いサービス拠点に連絡してくれる、という伝言ゲームのようなサービスですので、時間と手間がかかります。
加えて国際電話料金はユーザー側が持つ必要もあるので、電話をかける前にそのことを意識しておいた方がいいです。
海外での対応は広く用意されていても、料金や手間がかかりやすいのが富士通。
一方、料金や手間は発生しずらのですが、修理場所や地域が限られていて料金が発生せずとも時間がかかりそうなのが東芝、といった違いです。
3.AMD社のCPU(APU)を積載できるノウハウと生産ラインを持っている
国内メーカーで唯一、最初からAMD製のCPU(APU)の組み入れられる生産ラインを持っているメーカーです。
大半はインテル製ですし、AMDは下位モデルにしか使われることはないのですが、AMDのCPU(APU)はインテル製のものに比べてコストが安いことで知られています。
Lenovo傘下になった時点からAMD製CPU(APU)を入れたNECは、相応の性能を入れてきているのですが、価格設定が高くなることが多く、値段が落ち着くまでまだ時間がかかりそうです。
一方で、富士通はAMDの生産ラインをずっと以前より持っており、下位モデルのみに絞られますがAMD製のチップを入れることで、値段を抑えたモデルを販売できています。
4.特化したモデルからバランスの取れたモデルまで幅広いラインナップ
元々、取引先となる各法人それぞれの要望をヒアリングして、別々の用途に最適化された開発をしているくらいですから、考え方も柔軟です。
割安感はあまりありませんが、幅広いラインナップから選べるという意味では、国内メーカーでは随一ではないでしょうか。
5. 生産組み立ては全て「Made in Japan」
ノートパソコンに関しては島根の島根富士通で、デスクトップパソコンに関しては福島県の富士通アイソテックで「Made in Japan」を掲げながら生産を行っています。
福島県と聞くと、例の東日本大震災を思い出してしまう人もいるかもしれません。
あの時、被災した工場が完全にストップした後、デスクトップの生産を止めるのかと思いきや、一時的に島根富士通側に部品を寄せて、島根富士通でノートPCも造っていた、という経緯もあります。
信じられるでしょうか。「元々、そういう構想もあった」とは聞いていましたが、それにしたって急遽ノートの生産ラインからデスクを出せと言われてそう簡単にできるものでもないでしょう。
確かに、その時の生産台数は落ちていましたが、それでも出荷を止めなかったのは、まさに「匠の技」があったからです。他メーカーではこんな曲芸、なかなかできません。
そういう意味で1台ごとに異なる仕様、異なるモデルのPCを効率を落とさず生産できる、という点では、おそらく海外メーカーでも叶わないでしょう。
材料さえあれば全てを国内で完結できる、その技があるという強みは、製品のラインナップの強みにも直結する強い特徴です。
でも…お高いんでしょう?
富士通の場合、割安かどうかと聞かれれば「割安ではない」という答えになります。
とはいってもパナソニックやVAIOに比べればよほど安いので、できるだけ値段を抑えて高品質を手に入れるなら富士通、という選択肢になってきます。
少々、認識が違っていたようです。割安ではないと思っていましたが、会員登録した後のクーポンを適用させた値段を見て驚きました。
通常割引では18%だったものが登録して22%になるならやった方がいいですね。
しかも登録時に入力する内容が少ないので東芝並みに簡単でした。
(NECは登録内容がたくさんある割には1%しか変わらないので、登録なしでお勧めしちゃいますけど…こっちは絶対した方がいいです)。
例えばこういう一台です。
最軽量も選べましたが、敢えて通常の軽量モデル構成にしました。
価格を抑える為ですが、それでも「約747g~約934g」程度ですから、軽さとしては問題ないでしょう。
その代わり、バッテリーを大容量にしているので、額面上で24時間。
実働時間では17時間以上といったところでしょうか。
長時間、外で使う人にとっては十二分に役立ちそうな一台と言えます。
CPUもi5-8265U、メモリ8GBで、作動領域、パワー共に問題なし。
SSDは通常のsata接続なので、速度はVAIOやパナソニックのハイスピードSSDには及びませんが、速度にこだわらない人なら、この値段でこの内容でまったく文句なしにお勧めできます。
900g前後の軽さなら、普通に考えれば18万円くらいになっててもおかしくありません…。
あ、あと、富士通WEB MARTで買う場合は3年間のメーカー保証も最初から付いてくるというのもありまして…(もし外して一年にしたら更に上記価格から5000円ほど安くなります)。
それがこれ? 誰が割高ですって!?(笑)
この記事を書いた後でも様々な組み合わせを試していくと、やはり富士通がモバイルに強いメーカーであることが良く分かります。
他社と比較すると、軽さだけでなく値段もモバイルの方が割安になっています。
逆に15インチは割高になるのですが、その分、幅の広い選択肢が用意されている感じです。いずれその辺りもまとめてご紹介したいと思います。
この機種の唯一の難点は本体側にRGB(ミニD-SUB15ピン)端子がないことでしょうか。
そこで、RGB(ミニD-SUB15ピン)を繋げられる「VGA変換ケーブル」を付属でチョイスしてみました。
HDMIから変換して接続できるようになります。
念のため、接続口は以下の画像を見て貰えれば分かりやすいかと(これは他社の接続口です)。
RGB(ミニD-SUB15ピン)をしょっちゅう使う人なら他メーカーの軽量モデルもお勧めです。
しかし、そうでないようなら、この辺りの機種でまったく問題ないでしょう。
他の機種に関しての購入窓口はこちらからどうぞ↓
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