2023年モデルとして第13世代Core『ラプターレイク(Raptor Lake)』搭載機です。第12世代Core『アルダーレイク(Alder Lake)』を搭載した2022年モデルとの違いを含めて、それぞれをご紹介します。
※店頭販売されているカタログモデルでは「dynabook V」シリーズ(V8 及び V6など)と呼ばれ、ネットを通じてDynabookから直接買うダイレクトモデルは「dynabook VZ」シリーズと呼ばれます。当サイトでは、選べるラインナップの幅の広さと最新性能の面からダイレクトモデルをオススメしています。
※「dynabook VZ/HV(2022)」は2024年度のアルパカ的新生活オススメモバイルランキング、第3位に選ばれました。動画、記事にてご紹介中です。
※今回はマイナーチェンジということで、細かい画質の見え方や外観のデザイン的な特徴などを省いています。それらを参考にされる場合は2021年モデルのこちらの記事をどうぞ。
バックライトキーボードを省き、同じ13世代でもU プロセッサーを搭載してお値段を抑えた「dynabook VZ/MX」がリリースされました。
「VZ/HV(2022)」と「VZ/HVW(2023)」の特長
「dynabook VZシリーズ」は、軽量小型化した2in1コンパーチブルです。
重さ約979gで持ち運びやすく、片手で持ち続けても疲れません。この辺りの細かい仕様は2022年~2023年それぞれのモデルで変わりません。
リアカメラには800万画素の4Kカメラを搭載。フロントカメラの82万画素の一般的なカメラと両方を使えます。
Harman Kardon(ハーマンカードン)のスピーカーを備えており、音も良いです。
画面は非光沢のIGZO液晶(16:9)を搭載しており画質が良いです。ペンが同梱されており、傾き検知に対応してはいませんが、描き心地は優れています。ツルツル滑りすぎることなく、程よい抵抗があります。
この描き心地は2021年モデルまでと変わりません。液晶パネル含めて同じなので、打鍵感や操作性がそのままです。そのため、2022年モデルは便利アプリの「TruNote(トゥルーノート)」も同じように使えます。
ただし、この記事アップ時点での2023年モデルですと「TruNote(トゥルーノート)」が搭載されなくなりましたのでご注意下さい。
Bamboo Ink(2019モデル)の傾き検知なしタイプが使えました
初期のペンと近しい書き心地で、こちらの「Bamboo Ink(2019モデル)」が使えました。予備ペンとしてちょうど良いと思います(サイドボタンの挙動までは確認できていませんので、ご購入の際には自己責任でお願いします)。
「dynabook VZシリーズ」2021→2022
機体は前回までと変わりません。主だった変更点は以下の二点に集約されます。
・第11世代Core → 第12世代Core『アルダーレイク(Alder Lake)』へ。
・Wifi6 → Wifi6E対応になった。
・2022年モデルのみ:TruNote(トゥルーノート)
第11世代Core → 第12世代Core『アルダーレイク(Alder Lake)』へ
性能低:電力低 U < P < H 性能高:電力高
第12世代Core『アルダーレイク(Alder Lake)』はモバイル向けではUよりPが。PよりHの方が性能が高いのですが、軽量モデルになればなるほどUを搭載したモデルが多くなってきます。
TDP(熱設計消費電力) | コア数 | |
---|---|---|
Pプロセッサ (ハイスペックモバイル向け) |
28W | P-core:4 |
E-core:8 | ||
Uプロセッサ (低消費電力モバイル向け) |
15W | P-core:2 |
E-core:8 |
今回の「dynabook VZ/HV(2022)」は1kgを切っていますが、Pプロセッサーを搭載しており性能が高めです。これは「dynabook VZ/HW(2023)」も変わりません。
※詳しくは内部性能について、の項目をご覧ください。
Wifi6 → Wifi6E対応になった
Wifi6E 自体は前からありましたが、電波法の兼ね合いで日本では使えない製品ばかりでした。
「dynabook VZ/HV(2022)」及び「dynabook VZ/HW(2023)」では、そのための通信モジュールを備えているので、自然と Wifi6E が使えるようになります。
ルータ側の環境も整えられれば、という話ですが、6GHzの高周波数帯を使えるようになります。通信障害が起きることなく、使えるチャネルも5GHzまでの2つから3つとなり、実測での速度向上が望めます。
2022年モデルのバッテリー
CPUが刷新されたことで消費電力も変わる部分です。結論、前回よりも若干、短くなりましたが、ほぼ変わらずです。
Youtubeの連続再生時間は、残量20%になるまでが7時間35分で、以後はデフォルト設定の節約モードに入りましたので、動きは極端に悪くなります。そのままで稼働させると、最終9時間05分まで稼働し続けましたが、実利用として使いやすい時間を考えるなら約8時間までが現実的なところです(当記事の性能表についてもそのように表記しています)。
※輝度50%で、高パフォーマンスでの電力設定(Windows11のバランス)にて、ライブ映像を流し続けた時のバッテリーの持続時間になります。
もちろん、輝度を抑えたり、Officeワークでの軽い使い方に終始するようであれば、もっと時間数は伸びます。
充電速度は以下の通り。残量1%時に電源をオフにした後に給電開始した後の%になります。お急ぎ30分チャージの定義では40%まで充電可能ですが、実際に試してみると47%までいきました。早いです。
30分 | 60分 | |
---|---|---|
65W純正AC給電時 | 47% | 75% |
インターフェイス(接続口)
接続口は左側にThunderbolt 4 対応のType-Cが2つ。HDMIが一つ、イヤホンジャック。
右側には micro SDカードスロットとType-Aが一つ。電源ボタンは右側にあります。
このモデルをオススメしやすい特長として、接続口をあまり削減していない点です。急いで走り回っていると、急に打ち合わせが入ったり、移動しながら追加作業があったりしと、目の前でデータの受け渡しが発生することも。
そんな時、拡張アダプタがなくても対応しやすいという安心感があります。
2022年モデルのみ搭載:TruNote(トゥルーノート)
これは旧東芝が独自に開発したソフトです。
1000ページのノート1000冊分を記録できて、すぐに呼び出せるので、これ一つでノート要らずになります。
デジタルノートらしく、一度書いた文字を書き直すことなく、色や線の太さをあとから変更できたり、そのままネットでの検索に入れたりできます。
その他の特徴:AIカメラエフェクターについて
「VZシリーズ」のカメラ機能は、デフォルト設定で稼働するミーティングアシストのAIカメラエフェクターにより、明るすぎず暗すぎず適切な露出補正に整えてくれます。
この機能の凄いところは、昼間の窓際などを背景にした逆光の中でも、問題なく見やすくしてくれるというものです。
会社で急にWeb会議が始まって、会議室を抑えたいけどすでに埋まってた。仕方がなく、自分の机の上で始めようとしたら窓際の席だった。。なんてことはよくあるサラリーマンの日常です。
同様にマイクの雑音をカットしてくれるAIノイズキャンセラーは、ほぼ全メーカーで標準装備となりました。併せて使えば、強い味方になってくれる頼もしい機能達です。
「VZ/HV(2022)」では、最初から設定はされていませんでした。アプリ一覧にある “dynabook オンラインミーティングアシスト” からオンオフ設定を切り替えられますので、そちらからご設定下さい。
内部性能について
今回、アルパカが調べたのは「dynabook VZ/HV(2022)」のCore i7-1260P搭載機になります。2023年モデルの実機は調べられていませんが、他機種での挙動からして、1割弱程度の処理能力の向上があると思ってもらえると良いと思います。
Windowsの更新が入らない状態で、立ち上げにかかる時間は約13.7秒でした。
性能を調べた結果、まとめ
今回、「dynabook Vシリーズ」のカタログモデルがEVO対応でバッテリー駆動時間が22時間だったのに対し、「dynabook VZ/HV(2022)」ではEVOがない分、バッテリー駆動時間が以前と変わらずの24時間表記となりました。
どうもJEITA Ver.2.0での、この2時間分の消費電力の差がパフォーマンスに還元されているらしく、今回調べた「dynabook VZ/HV(2022)」に関しては、バッテリーが長め=ややデチューンした性能となっていました。本来ある性能を敢えて抑えてあるのは残念でしたが、それでも第12世代Core『アルダーレイク(Alder Lake)』のPプロセッサーですから、使っていて不満を感じるようなことはありません。
Cinebench R23 では、直近で調べたCore i7-1250U にやや劣るくらいで、実測での作業でも lightroom classic などでも、ほぼその通りの処理速度で並んでいました。ややデチューンしたPプロセッサーと、高めに処理させているUプロセッサーでは、このような逆転劇に。
といってもExcelやPDF化ではやはりPプロセッサーの強みが生きています。
特に第11世代CoreでのネックとなっていたExcel速度が遅かった欠点が解消されているのは大きいです。30万行の関数計算で5秒違えば、体感速度がかなり変わります。これでビジネスマンにもオススメしやすくなりました。
グラフィック性能の数値も良く、NightRaidで20000弱です。FFXIVで軽くゲームを楽しむくらいなら、設定を上げなければ問題ありません。
一番のネックはブラウジングの速度が、バッテリー駆動時に減衰することでした。
実際の挙動で試してみると、バッテリー駆動時で待ち時間が発生するというほど体感して遅いものではなく、重たいページに差し掛かった際に、若干出始める、というくらいです。特に不便に感じるほどではありませんでしたが、外出先でのネットブラウジングが命、という方は別機種の方が良いかもしれません。
逆に言えば固定電源さえあれば、電源設定を落とさなければ素晴らしい速度を維持できます。
CinebenchR23
Single Core 1621 pts
Multi Core 7150 pts
Adobe や Office の実測時間
Adobe lightroomclassic RAW現像 108枚のRAWデータをJpeg変換するのにかかる時間を計測。
Adobe Premiere Pro 4Kエンコード 約5分間の軽い編集動画をH264(YouTube 2160p 4K)形式に出力にかかる時間を計測。
※どちらもグラフが短いほど優秀です。
Excel の実測時間
Excel・計算 128000回分のVLOOKUPと、184000回分のSUMIFS(3つの条件)を一度に計算させたときにかかった時間を計測。
Powerpoint・PDF出力 50.5MBのダミー商談資料スライド200枚をPDF出力にかかる時間を計測しました。
※どちらもグラフが短いほど優秀です。
インターネットの速度(WEBXPRT3)
主要三大ブラウザ(Chrome と FireFox と Edge)で、それぞれのAC電源あり最適なパフォーマンス時と、バッテリ駆動バランス時での速度を計測しています。
180あれば遅いとは感じなくなり、200でまあまあ。250で快適。300ならタイトなレスポンスを気にする人にもオススメできる即応性が手に入ります。
固定電源あり時の速度が320~350台という素晴らしいものだった一方、バッテリー駆動時の数値が極端に下がりました。同じモバイル機で同Core i7-1260Pを搭載している「dynabook GZ/HV」がさして減衰しなかったので、設定の違いによるものだと思います。
※以下、その他計測した内容になります(クリックかタップで見れます)。
ストレージ
1TBのストレージに関してはPCIe のGen4対応となっており、ご覧の通り高速でのデータのやりとりが可能です。512GB以下ですと表記がないので、おそらく 3.0だと思いますが、それでも体感して遅いと感じることはまずないと思います。
今回の PCIe Gen4 対応に関して言えば、大容量のデータのやり取りになっても速度の減衰はありませんでした。オールマイティーに使って不便ない速度を保つことができそうです。
「VZ/HV(2022)」搭載 Core i7-1260Pの高負荷パフォーマンス推移
ダイナ W6VZHV7CBL | ||
---|---|---|
Intel Core i7-1260P 電源設定:最適なパフォーマンス時 | ||
平均 | 最高値 | |
P-core周波数 | 1,532.5MHz | 4,688.5MHz |
E-core周波数 | 1,125.4MHz | 2,793.2MHz |
電力量 | 20.3W | 61.5W |
温度 | 62.0度 | 101.0度 |
※一番高い電力設定であるWindows10の “最も高いパフォーマンス” とは、Windows11で言うところの “最適なパフォーマンス” のことです。
同様に、一つ下に落とした電力設定であるWindows10の “高パフォーマンス” とは、Windows11の “バランス” のことです。
稼働直後にピークタイムとなるスタートダッシュの挙動で、トップ1%の挙動が15秒間続きます。もっとも、最初のピーク周波数が極端に高いものの2秒と持続できずに1000MHzほど下がります。この15秒間の壁を超える際に熱が101度の最高度に達しますが、これもまた一瞬です。すぐに65度にも満たない挙動へと変わります。
高いパフォーマンスを有しているものの、強めに制限された設定です。EVOとの差を持たせるためとはいえ、制限をかけすぎていると思いますが、その分、熱量が全く溜まっていませんので、安全設計で使うことができます。長期間を使い続けてもプロセッサーを傷めずに使えそうです。
バランスにした際のバッテリー駆動時にはピーク周波数が下がる代わりに、トップ1%の周波数が22秒間も続きます。少し長めに負荷をかけ続ける作業を行う時には、あえて電力設定をバランスに落として使うのもアリだと思います。
ファンの音は体感的に35dbくらいでした。これは図書館で使うことができる範囲の駆動音ということです(アルパカの部屋は雑音だらけで計測機器を使うことができません。おおよその目安とお考え下さい)。
機体外側の温度推移
アイドル状態の際にキーボード上で40度弱、100%10分経過で34度です。熱くなるのはモニター下部のヒンジ部で40度超え程度ですから不快感はありません。
背面もおおよそ同様の温度推移です。10分稼働で36度程度ですから、膝上での作業でも問題です。
室温18度の時に調べています。
第12世代Core搭載のVZシリーズ(2022)、価格と納期の一覧
dynabook direct の会員登録+こちらの特別販売会場から買うと、さらにもう一歩お安くなります。
※当サイトでは、dynabook directの特別価格と納期情報を掲載しています。
人気機種はほぼ毎日更新中。
ご利用頂く際には最初に以下をご入力して購入サイトにログインを♪
ID :dyna204cls
PW:T8Y7GRSV
第13世代Core搭載のVZシリーズ(2023)ラインナップ一覧
VZ/HW(2023) Win11 Home エディション
2023年12月になって、遅れつつも13世代Coreが搭載のVZ/HWが発売され始めました。
VZ/HW(2023) Win11 Home | ||
---|---|---|
CPU | Core i7-1360P | Core i5-1340P |
メモリ | 32GB(32×1) | 16GB(16×1) |
※メモリの交換・増設はできません。※クアッドチャネル。 | ||
SSD | 1TB | |
Office | Microsoft Office Home & Business 2021 + Microsoft 365 Basic 1年版 | |
Office なし |
特)W6VZHW7CAL | 特)W6VZHW5CAL |
¥201,080 ¥199,980 |
¥170,280 ¥169,180 |
|
最短翌営業日出荷 | 最短翌営業日出荷 | |
Office 付き |
特)W6VZHW7BAL | 特)W6VZHW5BAL |
¥217,580 ¥216,480 |
¥192,280 ¥185,680 |
|
最短翌営業日出荷 | 最短翌営業日出荷 |
※価格は全て税込表記です。
※2024年11月23日現在での価格と納期情報にて表示しています。
※上段が通常価格、下段が「限定販売会場」を経由した特別価格となっています。
※納期に関して「最短 翌営業日出荷」ができますが、型番により変わります。また、土日祝祭日と棚卸期間の営業停止日は出荷できません。ご注意下さい。
※直近の営業日カレンダーはこちら。
※「特)」のマークがあるものは特別価格となっている限定販売ページが用意されています。
※黄色背景の価格は、特にキャンペーンで値下げしている機種になります。
最後に・まとめ
まとめますと、「VZ/HV(2022)」の残念な点としては、
・値段が高い。
・やや性能を抑えた設定。
・2023年モデルになると「True Note」がなくなった。
の三点。
逆に良い点としては、
・熱量に余裕がある安全設計。音も静か。
・やっぱり「TruNote(トゥルーノート)」が便利。
の二点となりました。
普通に使う分には全く問題ない性能ですが、少しでもハイパフォーマンスを求めている人には向かない設定です。特にバッテリ駆動時のブラウジング速度低下はネックですが、それでも重たいExcelでも処理しやすい第12世代Core Pプロセッサーを持ち運べるのは魅力的です。また、性能を抑えた分、音や熱にはかなり余裕があったため、夏場であろうとどこであっても使いやすいです。
「TruNote(トゥルーノート)」の便利さを考えれば、やはりデジタルノートとしての使い方が優れています。しかしながら、それは2022年モデルまでで、2023年モデルになってからは搭載しなくなってしまったのは、dynabookにとってもユーザー側にとっても、実に残念な部分です。
2022年モデルがやや性能を下げていた分、新たな第13世代Core『ラプターレイク(Raptor Lake)』の設定に期待していた人は少なくないと思いますが、こうなりますと二択です。
第12世代Core『アルダーレイク(Alder Lake)』での性能までで問題ないとするなら「TruNote(トゥルーノート)」を使える2022年モデルを。
第13世代Core『ラプターレイク(Raptor Lake)』で一歩、動きの良いモデルを取るなら「TruNote(トゥルーノート)」非搭載の2023年モデルを。
ちなんで言いますと、アルパカが自分で買うとするなら「TruNote(トゥルーノート)」が使える2022年モデルの方にします。特に型落ちとなった分、値段が下がりやすくなっている筈ですので、元々が高めのVZならちょうど良いくらいです。もちろん2023年モデルも普通の軽量タッチパネル機として見れば優秀です。
「TruNote(トゥルーノート)」にこだわらず、自由な使い方に活用頂くようであれば2023年モデルも良い選択肢です。
どちらにしても新生活での移動の多い方には高い人気を誇るオススメモバイルPCと言えます。
コメント
microsoft storeでTruNoteをインストールできるみたいですが、
プリインストール版とは機能が違うのでしょうか?
通りすがりの金欠さん
コメントありがとうございます!
プレミアム機能は有料でないと使えない筈ですが、基本的な機能に違いはない筈です(アルパカの知る限りでは)。
ただ、気を付けないといけないのは、低評価レビューにあるように、Windows UPdateで不具合が出たり、テンプレートが反映されなくなることがあるようです。
知る限りではプリインストール版ではそのような不具合を確認していませんので、そうした部分での差は出ると思います。