どこでも使える軽さと、広々とした液晶。第13世代Core『ラプターレイク(Raptor Lake)』のハイパフォーマンス。
今回は、そんな戦闘力の高い「dynabook RZシリーズ(2023)」をご紹介します。
※店頭販売されているカタログモデルでは「dynabook R」シリーズ(R9、R8、R6)。ネットを通じてDynabookから直接買うダイレクトモデルは「dynabook RZ」と呼ばれます。当サイトでは、選べるラインナップの幅の広さと価格面から直販モデルをオススメしています。
※2023年モデルが第13世代Core『ラプターレイク(Raptor Lake)』搭載機。
2022年モデルが第12世代Core『アルダーレイク(Alder Lake)』搭載機となっていますが、掲載している写真はほとんど2022年モデルです。2023年モデルも手にしていますが外観がほとんど変わらないため2022年の写真をそのまま掲載しています。
※「dynabook RZシリーズ(2023)」は2024年度のアルパカ的新生活オススメモバイルランキング、第2位に選ばれました。動画、記事にてご紹介中です。
16:9液晶、13.3インチにはなりますが、重さ850g以下という軽さで同様の性能が手に入る「dynabook GZ/HV」シリーズもあります。
「dynabook RZ(2023)」の特長
位置付けと特長
・14インチでありながら RZ/MW が約940g
・最新の第13世代Core『ラプターレイク(Raptor Lake)』を搭載
・Low blue light が効いている目に優しい液晶
14インチでありながら RZ/LV が約940g
2022年モデルは上位機種(RZ/HV)と、下位機種(RZ/LV)に分かれてで出されていましたが、2023年モデル(RZ/MW)からは940gのモデルにまとめられました。
この重さの本体に入るバッテリー容量ではJEITA Ver.2.0計測で約20.5時間の稼働が可能です。それを実際に稼働させてみると、実働で7時間35分といったところです(2022年モデル調べ)。
ACアダプターとセットで持ち運んでも1.2kgを下ります。
この軽さは移動の多い人には一番嬉しい特長です。
※2023年モデルもほぼ変わらない重量です。
最新の第12世代Core『Alder Lake』を搭載
アルパカが調べた第12世代Core『アルダーレイク(Alder Lake)』では、激しいオフィスワーカーにもオススメできる処理能力を確認できました。2023年モデルの第13世代Core『ラプターレイク(Raptor Lake)』ですと、ざっくり1割未満で速度が向上しているとお考え下さい。
詳しくは後述しますが、今までのCoreシリーズとはかなり挙動が変わっています。
一番大きな変化は、Intel Core の苦手分野だった、ExcelやAccessなどのスプレッダーシート系の速度が劇的に上がったことです。
以下は30万行超えの Excel の関数計算をさせた時にかかった時間を計測したグラフです。
短いほど優秀ですが、モバイル向けプロセッサーとして頂点にいた Ryzen 7 5825U よりも2秒以上も早く計算を終えることができました。これは普段使いから体感して分かるほどの速度差です。
ただ、このCPUに関しては、まだ不明な点が多く、オールマイティに高い性能を発揮できるわけではないようです。
※詳しくは内部性能の項目をご覧ください。
※データを組み入れたものは、こちらにまとめて掲載されます。
Low blue light が効いている目に優しい液晶。
Low blue light の機能が効いており、ブルーライトをカットした目に優しい液晶となっています。
上の写真は、ドイツの第三者認証機関、TÜV Rheinland(テュフ・ラインランド)が定めたEyesafe 認証を取得した印です。
通常、夜間モードなどのソフトウェアでブルーライトをカットすると黄色っぽい画面になりがちですが、ハードウェアの構造から対応させることにより、色味を変えずにブルーライトを低減できます。
ただ、ALPACAが計測したところ、確かに一般のフィルムを使った時より色味は変わりませんでしたが、完全に変わらないというわけではなく、僅かですが影響は残るようです。
とはいえ、煩わしい眼鏡やフィルムを付けずに色の再現性を保ったままブルーライトを低減してくれるのですから、やはりオススメできる優れたポイントです。
※詳しくはディスプレイの項目をご覧ください。
外観について
デザイン的な特徴
「dynabook RZ」 のデザイン
2022年モデルは RZ/LV と RZ/HV で若干の違いがありますが、外観的な違いはスピーカーグリルが付いているかいないかだけです。 RZ/HV はキーボード左右に付いています。2023年モデルにはありません。
「dynabook RZ/MW(2023)」はスピーカーグリルなし。
「dynabook RZ/HV(2022)」はスピーカーグリルあり。
機体色は深みのある紺色で、ダークテックブルーの名で呼ばれています。
落ち着いた色合いで、フォーマルな場面によく似合いそうです。できれば、色のバリエーションが欲しかったところですが、この内容だと仕事用で使う人が多そうなので、そこに合わせたのかもしれません。シックな色合いが好きな人は特に気に入ると思います。
画面占有率は85%と高く、ベゼルも細めでスタイリッシュな印象です。
「dynabook RZシリーズ」は天板、底面、パームレスト側のカバー、共にマグネシウム合金を採用。剛性、軽量化に優れています。
最近は頑丈さを表すMIL規格を通すパソコンが多くなりましたが「dynabook RZシリーズ」も通しています。もっとも、通さなくてもDynabook内で相当な耐久テストはしていますので安心です。
左右から一般的な角度で見た時にはこのように。
ヒンジは180度開き切ります。ただ、タッチパネルは付いていないので、開いて回りから見やすくする、などの使い方に終始します。
その際に便利なのが、dynabook 画面回転ユーティリティと呼ばれるものです。
dynabook 画面回転ユーティリティについて
通常であれば、向かい合った相手に見せやすく画面を回転させるには、機体ごとひっくり返すか、Windowsの設定内から入って画面を逆転させる必要があります。
ですが、RZならCtrl + Alt + ↑ ↓ のコマンドだけで上下を逆にして、また戻せます。覚えておけばすぐできますので、見せたい相手がいる使い方の時にはとても便利です。
この手の機能は地味なので、あまり紹介する人がいないのですが、CPUの速度が1秒、2秒、早くなるよりも人の作業が早くなる方が高効率化しやすいので、知っておいて損はないです。
ヒンジ内側には廃熱口があります。
100%稼働を続けても機体の外側に極端に熱を持つことはなく、不快感はありません。
ヒンジ外側は余計な装飾はありません。丸みを帯びており、裏側のゴム足が引っ掛かりとなり、手に持ちやすかったです。
天板は中央にDynabookのロゴがありますが、他はなし。
こちらもすっきりしたデザインです。
裏蓋にはヒンジ側にやや高めの長いゴム足があります。キーボードの角度を良くしたり、背面に微妙な空間を造り、放熱効率を上げてくれます。
写真左下にあるのは、ドイツの認証期間、TÜV Rheinland(テュフ ラインランド)お墨付きのeyesafe がプリントされています。
裏蓋を外すと
※裏蓋を外さない人には不要なので折りたたんでいます(クリックかタップで見れます)。今回、明けたのは2022年モデル、RZ/LVの方です。
機能一覧・カメラやディスプレイ情報など
Webカメラ(約92万画素)
このカメラは顏認証には対応していません。
ディスプレイ上部のインカメラは物理シャッターが付いています。右が開け、左が閉めです。
画質はHD(720p:92万画素)となっており、一般的なWebカメラを備えています。もっとも、解像度は一般的ですが、明るめに映る良いレンズを使用しているようです。この点では、先日、レビューしたNECの「NEXTREME Carbon(2022年春)」が同じ解像度であっても、やや暗めのカメラだったので「dynabook RZシリーズ(2022)」の方が勝っている部分です。
こちらは同日の同時刻に同じライティングの中での比較です。いずれも同じ解像度ですが、けっこう違って見えるのが分かると思います。
一番明るいのは「Thinkbook gen2」のカメラですが、これは自動露出機能が働いているためで、その分、色味が薄く、ややぼやけます。
逆に「X1 Carbon 2018年(6th-Gen)」のカメラでは、比較的しっかり映るのですが、暗めになります。アルパカは個人的な用事でZoomを使う時にはこの機体でやっているのですが、いつも暗めになるのを我慢して使っています。
対する「dynabook RZシリーズ」のそれは、デフォルト設定で稼働するミーティングアシストのAIカメラエフェクターにより、明るすぎず適切な露出補正に整えてくれました。
この機能の凄いところは、昼間の窓際などを背景にした逆光の中でも、問題なく見やすくしてくれるというものです。
会社で急にWeb会議が始まって、会議室を抑えたいけどすでに埋まってた。仕方がなく、自分の机の上で始めようとしたら窓際の席だった。。なんてことはよくあるサラリーマンの日常です。
同様にマイクの雑音をカットしてくれるAIノイズキャンセラーは、ほぼ全メーカーで標準装備となりました。併せて使えば、強い味方になってくれる頼もしい機能達です。RZでは、双方共にデフォルトで設定済でしたので、買ってから設定することなく、いきなり便利に使い始められます。
接続口
左右にType-A を散らしつつ、開閉式でもLANポートを設けているのは嬉しい部分です。接続口が多いのは、多用途でマルチに使いたい人に向いています。
仕様書では、Type-A が単なるUSB3.2 Gen1 としか書いていないのですが、左右共にスリープアンドチャージに対応していますので、こちらに記載しておきます。
加えて言いますと、左側のType-A のUSB端子のみパワーオフチャージに対応していますが、出荷時では設定されていません。普段、スリープ状態で使うだけでなく、電源を完全に切っている状態でも、スマホなどに充電できるようにしたい方は、以下の「Dynabookセッティング(USB給電)について」の項目をお読み下さい。
※折りたたんでいます(クリックかタップでご覧になれます)。
Dynabookセッティング(USB給電)について
初期状態のままでも、スリープ状態にして鞄に入れておけば、スマホの充電器替わりとして使えます。どちらから挿しても問題ないので便利です。
他、Type-C はどちらもPD対応の急速充電に対応しており、ディスプレイ出力にも対応です。
三枚モニターを試してみた
テレワーク需要が増えてきた昨今、性能の良い割安ノートPCを買いつつ、3枚くらいのモニターに出力して作業環境を整えたい人は一定数、いらっしゃると思います。もちろんデスクトップもオススメですが、いざという時に動かせるようにしておくならノートPCで対応できる機種を購入しておくに越したことはありません。
アルパカが試したType-Cの変換アダプタ
エレコム製「DST-C09BK」と、GADEBAO製「GADEBAO 3-IN-1」で確認してみました。
結論、どちらでも三枚モニターの安定した動作を確認しました。
ACアダプタについて
ACアダプタの型番は「PA5352U-1ACA(リンク先は互換アダプタです)」、長さは50+180=230cm。重さは255g。
定格電力は15-65Wとなっており、メガネケーブルは国内向けの125V用です。
この型番はDynabookのType-Cで充電する最近の機体(GZ/HU 2021など)で使われている共通のものですが、他社でも同じ型番が使われています。ただ、Amazonなどで販売している互換アダプタは、基本的に45W給電のもので、Dynabookに入っているスクエア型の純正アダプタは65W~15Wです。どこにでも可変するという意味では純正が優れています(型番のリンク先は互換アダプターです)。
念のため他社製を試しましたが、18W以上であれば全て対応となります。充電時間を短くする意味では、使いやすいのは45W以上。オススメは65Wです。
「dynabook RZシリーズ(2022)」の互換アダプタ |
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使用 | PD対応 電力 |
メーカー | 商品型番 |
〇 | 18W | cheero | CHE-324 |
〇 | 20W | AUKEY | PA-F3S-WT(White)、PA-F3S-BK(Black) |
〇 | 30W | Proulx | GAN-65(White)のUSB-C2 |
〇 | 45W | Anker | PowerPort Atom III Slim (Four Ports) |
〇 | 65W | Proulx | GAN-65(White)のUSB-C1 |
※ケーブルは全て「Anker PowerLine III USB-C & USB-C 2.0 ケーブル (0.9m) 超高耐久 60W PD対応」を使用しました。
以下、単ポートで65WのPD給電に対応しているType-C充電器の代表例です。コンパクトで120gで済み、30Wと60W、Type-Aの充電口がそれぞれあるので、スマホとPCなど同時に充電できて便利です。
バッテリー
今回の計測で気づいたのですが、先にOCCTを使った後だと、自動的にバックグラウンドで動いてしまうようで、6~7%ほどバッテリーを無駄に消費していました。元々、少し厳しめに計測してはいましたので、今回から、その分を加味した時間数にしています(他記事も修正予定です)。
※駆動時間は、輝度50%、音量40%で、高パフォーマンスでの電力設定(Windows11のバランス)にて、Youtubeのライブ映像を流し続けた時のバッテリーの持続時間になります。
結論から言いますと、思ったほど、L と S のバッテリー駆動時間の差がありませんでした。Youtube再生では1時間15分くらいの差が出ますが、その範囲を許容できるのなら RZ/LV の方にして、軽さ優先でも良いかもしれません。
RZ/LV のSバッテリーについて
Youtubeの連続再生時間は、残量20%になるまでが6時間55分で、以後はデフォルト設定の節約モードに入りましたので、動きは悪くなります。そのままで稼働させると、最終8時間40分まで稼働し続けましたが、実利用として使いやすい時間を考えるなら約7時間35分までが現実的なところです(当記事の性能表についてもそのように表記しています)。
同様の説明ですが、使い方によって増加減するので、ワードやエクセル、Office系アプリを使いつつブラウジングで調べもの、という程度の軽い使い方なら+1~2割くらい伸びると思います。
お急ぎ30分チャージに対応しており、30分で40%の充電が可能です。
キーボード
同じ「dynabook RZシリーズ」であれば、キー配列やデザイン的な違いはありません。
ダイレクトは全モデルがバックライトキーボード付き。ライトの切替えは FN + Z で行えます。
右上にある電源スイッチは指紋センサーと一体型になっており、ワンアクションでログインできます。
キーピッチは縦横ともに19mm、キーストロークは1.5mmとしっかり打ち込めます。
打鍵感は良いです。深いストロークの割には、力加減は軽くてもしっかり押せます。
dynabookの場合、キー配列が素晴らしく、余計なものがない割には必要なものが適所にあります。電源ボタンがキー配列の中に入っていることはありませんし、Enter キーの横にショートカット用の特殊キーもありません。Ctrl + FN が逆になっていることもありません。Shift キーも左右それぞれの長さでバランスが取れていますし、Ctrlキーの配置も良いです。
BackSpace キーの上には Delete キーの鉄板配置で、逆T字の左右上側に空間を造ってくれているため、手元を見ないでキー配列を把握しやすいです。視線を手元に動かすことなくガンガン操作し続けられますので、出先でマウスが使えない場面でも速度を落とさず操作し続けられます。
特別なものはなにもいらず、ただノーマルであること。
それが世界標準であり、不特定大多数の人にとって最大公約数的なニーズを満たして “使いやすい” と感じさせてくれるキーボードです。ノートパソコンがdynabookから生み出され、かつてはノートPC世界シェア一位まで極めたメーカーの完成された到達点であり、原点だと思っています。
人間の指が6本になったとかがない限り、これは今後も変わらないと思います。
色んなメーカーの方が、アルパカの記事を読んで頂くようになったようなので、敢えて書きますが、迷ったときには原点に返るべきです。
キーを同じ大きさにすれば打ちやすいと、誰かが言ったからとか。そういう表面的なことではなく、その言葉の真意やキー配列の意味を紐解いていかなければ、余計なことをしてバランスを崩すばかりでしょう。
原点はここです。
その上で強いて気になる点を挙げるとするなら、もし、改良の余地があるなら、という話ですが、パイロットランプが点灯するキーが増えると、より便利になると思います。HPのENVYシリーズなどが好例で、今の時代はWeb会議が多いので、そうしたものに必要な機能がどういう状態か、一目見て分かるようになると親切設計だと思いました。
もっとも、そうしたものを取り入れて無理にコスト高になるくらいなら、このままで全く問題ないと思います。レビューだから敢えて細かく書いていますが、今の時点でも、十分、完成されている使いやすいキーボードです。
ディスプレイ:非光沢の16:10液晶 1920×1200
※液晶ディスプレイは、液晶パネルの特性や製造工程により、各製
輝度は391cd/㎡と明るく、色域はsRGBカバー率が97.4%。Adobeカバー率が75.4%。
RZ/LV も RZ/HV も同じモニター型番でした。おそらくカタログモデル含めて、全て同じモニターを採用しているのだと思います(生産状況が変われば、その限りではありません)。
赤青緑のLUT表示(別名ガンマ補正曲線)を見ると、若干、赤と緑が強めに出ています。普通に使っていて気になるほどではありませんでしたが Low blue light による影響で、青以外がやや強めに出る色味になっているようです。
もっとも、眼鏡やフィルターをかけるよりは遥かに色の正確性は高いですし、個体差レベルの誤差とも言える範囲です。
Eyesafe 認証の規定によると2022年モデルは29%以上のカット率でしたが、2023年モデル(RZ/MW)は50%までアップしたRPF® 50認証対応のEyesafe2.0認証対応となっています。細かな部分ですが、長時間の使用でも目が疲れづらいのはとても良いですね。
ディスプレイの見やすさ、視野角の広さは以下の通りです。
写真でも確認できますが、かなり斜めから見ても文字を読むことができます。これならどの角度からでも見やすく、使いやすい液晶と言えます。また、今回は縦横のアスペクト比が16:10になったことで、より表示面積が広がり見やすくなっています。
特にWEBページやExcelでの見え方が変わります。
16:10と16:9の表示の違い(ExcelやWebページなど)
以下は一般的な16:10液晶(1920×1200)と、FHDの16:9、1920×1080ドットとの見え方の違いです。
※長くなるので折りたたんでいます(クリックかタップで開けます)。
※「dynabook RZ」に限らず解像度が同じ16:10の画面であれば同じように見えます。
※フォントの大きさを125%均一での表示です。
次に画像の見やすさを確認します。
今回は、同時期にリリースされている同じ14インチ、同じ16:10液晶の「NEXTREME Carbon(2022年春)」のディスプレイ画像も比較用として掲載しておきます。見え方がけっこう違います。
正面から見た時の綺麗さは申し分なし。
ただ、斜めから見た時には少し白みがかりつつ、若干、赤味が強まります。
広視野角液晶ではありますが、IGZOやIPSではないので、Low blue light の色味への影響が少し出ているようです。
内部性能について
今回、アルパカが調べたのは「dynabook RZ(2022)」のCore i7-1260P搭載機になりますが、RZ/HVはインテル Evo プラットフォーム対応。RZLVは非対応となっており、それぞれを調べました。
Windowsの更新が入らない状態で、2022年モデルの立ち上げにかかる時間は約13.8秒ほどでした。
第12世代Core『Alder Lake』の2022年4月20日時点での状態
メモリはオンボードで交換不可ですが、いずれも最新のLPDDR5-4800対応の16GB、クアッドチャネルで早いです。後述していますが、ストレージも良いものを積んでいます。
ただ、第12世代Core『Alder Lake』や13世代Core『ラプターレイク(Raptor Lake)』は、ドライバーの更新による伸びしろが大きいようで、2024年現在ではここに記載している当時よりも、より処理能力が上がった快適な動作になっている筈です。
また、アーキテクチャが大きく変わったためだと思いますが、幾つかのベンチマークの数値が正確に出てきませんでした。
そのため、こちらでは PCMark10 は割愛します。
代わりに、CinebenchR23 やエクセルの挙動などを調べてみました。
CinebenchR23
Single Core 1534 pts、Multi Core 9015 pts(AC電源接続時、最適なパフォーマンス設定時)
dynabookが蓄積してきたノートPCに関わる冷却技術や放熱技術の集大成をエンパワーテクノロジーと呼んでいます。それらを駆使して設計された高効率稼働の結果がこちらです。
マルチコアでは Ryzen 7 5825Uには届きませんでしたが、肉薄する良い数値です。
※どちらもグラフが長いほど優秀です。
なお、13世代Coreを搭載した2023年モデルで計測したところ、このようになりました。
Single Core 1699 pts、Multi Core 8161 pts(AC電源接続時、最適なパフォーマンス設定時)
今回はCore i5-1340PのみでCore i7-1360Pまでは調べられていません。
マルチはイマイチでしたが、シングルの伸びが素晴らしく、約1700あれば、普段使いでの挙動の良さは間違いありません。これでi5ですからi7ならマルチでも12世代Coreを上回ると思います。
また、快適さを表すPCMark10ではトータルで5730となりました。
4000もあれば快適と言われるPCMark10でこの数値ですから、モバイルパソコンとしての一般的に快適な挙動は約束されています。
PassMark
ベンチマークが対応しきれていないのはともかくとして、では、実際の挙動はどうなのかが重要です。
ベンチマークに頼らない手計測による各種アプリの速度はこのようになりました。
Excel の実測時間
Excel・置換 78470件の9文字ずつの置換作業に変換した際にかかる時間を計測。
Excel・計算 128000回分のVLOOKUPと、184000回分のSUMIFS(3つの条件)を一度に計算させたときにかかった時間を計測。
※どちらもグラフが短いほど優秀です。
ご覧頂くと分かる通り、全般、好タイムを出しました。やはり実利用としての快適さは確かなもので、特にExcelの計算速度が大幅に上がったことは、多くのビジネスマンにとって恩恵をもたらすことでしょう。
ただ、全てが第11世代Core『TigerLake』を超えているわけではなく、中には、近似値か、やや劣っているものもあります。ここに掲載している中では、WordのPDF化や、PowerPointのPDF化が苦手の代表格です。
それでも旧来のプロセッサーのようにExcelが苦手というよりは、遥かに良くなったと思います。
苦手作業、得意作業がガラッと変わったというのは、まるでIntel Core ではない、他のものを調べているような錯覚を覚えました。Intel が言う10年に一度のアーキテクチャの変革というのは、あながち嘘ではないと思います。
ですが、特性が変わったことにより、苦手分野では、やはり Ryzen の最新Zen3に抜かされている部分はあるわけで、やっぱりRyzenのコスパの良さは間違いありません。
他、Adobe系の処理速度はどうなのかというと、以下の通りです。
Adobe の実測時間
Adobe lightroomclassic RAW現像 108枚のRAWデータをJpeg変換するのにかかる時間を計測。
Adobe Premiere Pro 4Kエンコード 約5分間の軽い編集動画をH264(YouTube 2160p 4K)形式に出力にかかる時間を計測。
※どちらもグラフが短いほど優秀です。
プレミア Pro のみ RZ/HV を取り逃してしまいましたが、 RZ/LV の近似値と予想します。
Core i7-1260P では、それぞれのエンコード処理でモビリティPCとしては最速となり、約5分間の軽い編集を加えた動画をH264(YouTube 2160p 4K)の書き出しをした際にかかる時間は、約11分27秒です。
これはRyzen 5 5600H + GTX1650 あたりのローエンドゲーミングの倍の時間ですが、今までは3倍以上かかっていたのが短縮されたと考えれば納得の数字です。
静止画に関してはローエンドゲーミングよりも早く処理できるようで、やはりベンチマークの数値があまりアテにはならず、個別作業によって大幅な違いが出やすいことが分かります。lightroom に関しては108枚のRAWデータをJpeg変換するのに10秒とかかりません。
この性能をオンボードのグラボなしCPU単体で、しかも軽量モデルの1kgアンダーで発揮できる、ということに意義があります。
それでいて、更新される度に数値が良くなっていくのを見ますと、プロセッサーの能力としての伸びしろは大きく、まだまだ今後に期待できます。当初、カタログモデルの R が出てきた時に調べた際にはもっと低いものでした。各種アプリが最適化されてゆけば、もっと良い動きになると予想します。
今のところはEVO対応の方がややパフォーマンスが下ることが多く、性能重視で言うならEVO非対応の RZ/LV の方がオススメ、と言えそうですが、これも記事アップ時点での話です。今後は逆転ありえます。
「dynabook RZ/LV」搭載 Core i7-1260Pの高負荷パフォーマンス推移・18秒の壁
※第12世代Core『Alder Lake』の計測となったので、PコアEコアそれぞれの最初のコアを代表的なものとして表記しました。
ダイナ W6RZLV7CAL | ||
---|---|---|
Intel Core i7-1260P 電源設定:最適なパフォーマンス時 | ||
平均 | 最高値 | |
周波数 | 1,893.2MHz | 3,591.2MHz |
電力量 | 28.2W | 63.5W |
温度 | 71.7度 | 100.0度 |
RZ/LV は100度に達する場面が7~17秒の10秒間。 RZ/HV の方だと最高98度の一瞬だけです。
最初の立ち上がりで高回転させ続けたい人にとっては RZ/LV の方が相性が良いと思います。
もっとも、どちらの場合も平均温度は70度前後に抑えられます。
この動きの変化となる時間が稼働18秒後となっており、18秒の壁で急激に電力量が絞られ、Pコア、Eコア、共に巡航速度に入ります。この電力量の推移と変化する時間は両機種で変わらず、挙動だけが変わります。
「dynabook RZ(2022)」の場合、短時間での高回転作業時には、この18秒間の内に作業を区切り、切り替えていけるよう意識すると効率良く使えそうです。
面白かったのが、電源設定によるPコア、Eコアそれぞれの挙動の違いです。
ACアダプタを繋げている最も高いパフォーマンス設定時には、どちらのコアも、400Mhz程度の差で推移していたものが、バッテリー駆動時の電源設定がバランスになると極端に乖離して1600Mhzも開きが出ます。
その分、Eコアが下がっているわけですが、そんなに下がって役目を果たせるのかと思ったのですが、裏方作業を地道に行うにはこれくらいでいい塩梅のようです。
駆動音としては、ザー…、としたファンの音がします。
おおよそ35~40dbくらいで、静かな図書館でも使える程度の音量です。
機体外側の温度推移
プロセッサー内の温度が100度に達することはあるものの、すぐに落ち着くことから、機体外側の温度は40度を超えることが、ほぼありません。あるのはディスプレイ下部のヒンジ部分だけですが、それも気になるほどの温度ではないです。
機体背面も問題ない範囲ですので、出先でも室内でも全く問題なさそうです。
室温17℃の時に計測しています。
ストレージ
RZは機種によりストレージの速さが違います。
簡単に言うと1TBならGen4で、512GBならGen3という切り分け方です。もしかしたら512GBでもGen4があるかもしれませんが、全てを調べているわけではないのではっきりとはしません。ただ、1TBがGen4というのは確かです。
そうして見ていきますと、アルパカが計測してきた中では最速クラスの良い数値を出しました。ランダムアクセスのQ1T1が今一歩ではありますが、それ補うのに十分なシーケンシャルだと思います。
512GBのGen3でも3600で遅いということはなく、実利用として大容量データを移動させる際には快適に動いてくれます。
なお、1TBのストレージで購入した場合は以下の通りです。894GBが自由に使えますので、よほどのことがなければ、すぐに使い切るようなことはなさそうです。
※初期ストレージの空容量はOSの更新やリカバリ領域などの設定により増減します。
価格とラインナップの一覧
「限定販売会場」から買うと、お安くなる機種が幾つもあります。お目あてのものがお安くなっているようでしたら、ぜひご利用下さい。
dynabook direct の会員登録+こちらの特別販売会場から買うと、さらにもう一歩お安くなります。
※当サイトでは、dynabook directの特別価格と納期情報を掲載しています。
人気機種はほぼ毎日更新中。
ご利用頂く際には最初に以下をご入力して購入サイトにログインを♪
ID :dyna204cls
PW:T8Y7GRSV
RZシリーズ 基本構成
シリーズ名 | dynabook RZシリーズ(2023) 基本構成 | |
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OS | Windows11 Home or Pro |
|
カラー | ダークテックブルー | |
CPU | Core i7-1360P Core i5-1340P |
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グラフィック | インテル Iris Xe グラフィックス(CPU内蔵) | |
メモリ | 16GB(16GB×1)/最大16GB | |
※メモリの交換・増設はできません。デュアルチャネル。 | ||
ストレージ | 512GB SSD or 1TB SSD ※PCIe Gen4 と それ以外が混在します。 |
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ディス プレイ |
14.0 型 WUXGA 高輝度 広視野角 省電力LED液晶 (Low blue light/ノングレア)1,920×1,200 ドット |
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キーボード | バックライトキーボード | |
無線 通信 |
Wi-Fi 6E(IEEE802.11ax+a/b/g/n/ac) Bluetooth Ver5.2 |
|
有線LAN | 1000Base-T (自動認識、Wake-up on LAN対応) |
|
セキュリティ | 指紋認証 | |
質量 | 約940g | |
バッテリ | 約20.5時間 (実働予想時間 7時間35分) |
|
Office | Microsoft Office Home & Business 2021 (Office搭載モデルのみ) |
|
リリース | 2023/7/20 発表 |
※バッテリーはJEITA2.0にて表示していますが、構成内容により差異が出ます。
Youtubeの連続再生時間で制限のかかる時間から現実的な実働時間を表記しています。
※このシリーズには光学ドライブが搭載していませんので、項目を割愛しています。
基本構成は全て同じで、心臓部となるプロセッサーとメモリ、ストレージが変わるだけです。
カタログモデルは最上位の R9 のみ、バックライトキーボードが付いています。その代わり、メモリ32GBまで選べるのもカタログモデルのみです。
こちらで紹介しているダイレクトでは全モデルがバックライトキーボード付きですが、メモリは16GBまでしか選べません。
現実的に考えてメモリ32GBも必要な人は写真や動画のエンコード速度を重視している人だと思いますが、一般的な用途での仕事や私用であれば、大抵は16GBあれば足ります。価格帯はまちまちですが、極端にカタログモデルが安くならない限りは基本的にダイレクトモデルがオススメです。
dynabook RZ/MW Windows11 Home
dynabook RZ/MW シリーズ 2023年春モデル |
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---|---|---|---|
OS | Windows 11 Home | ||
CPU | Core i7-1360P | Core i5-1340P | |
メモリ | 32GB(32GB×1) | 16GB(16GB×1) | |
SSD | 1TB | 512GB | |
Office なし |
特)W6RZMW7CAL | 特)W6RZMW7CBL | 特)W6RZMW5CBL |
¥170,280 ¥169,180 |
¥153,780 ¥149,380 |
¥132,880 ¥131,780 |
|
最短翌営業日出荷 | 在庫切 | 在庫切 | |
Office H & B |
特)W6RZMW7BAL | 特)W6RZMW7BBL | 特)W6RZMW5BBL |
¥223,080 ¥221,980 |
¥168,080 ¥166,980 |
¥159,280 ¥158,180 |
|
在庫切 | 最短翌営業日出荷 | 最短翌営業日出荷 | |
Office H & B (MS 365 Basic) |
特)W6RZMW7BEL | ||
¥190,080 ¥188,980 |
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最短翌営業日出荷 |
※価格は全て税込表記です。
※2024年3月29日現在での価格と納期情報にて表示しています。
※納期に関して「最短 翌営業日出荷」ができますが、型番により変わります。また、土日祝祭日と棚卸期間の営業停止日は出荷できません。ご注意下さい。
※直近の営業日カレンダーはこちら。
※「特)」のマークがあるものは特別価格となっている限定販売ページが用意されています。上段が一般の会員価格。下段が特別販売会場を経由した価格です。
dynabook RZ/MW Windows11 Pro
dynabook RZ/MW シリーズ 2023年春モデル |
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OS | Windows 11 Pro | |
CPU | Core i7-1360P | Core i5-1340P |
メモリ | 16GB | |
SSD | 512GB SSD | |
Office なし |
特)W6RZMW7RBL |
特)W6RZMW5RBL |
¥185,680 ¥184,580 |
¥169,180 ¥168,080 |
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在庫切 | 在庫切 | |
Office H & B |
特)W6RZMW7PBL |
特)W6RZMW5PBL |
¥206,580 ¥194,480 |
¥188,980 ¥187,880 |
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在庫切 | 最短翌営業日出荷 |
※価格は全て税込表記です。
※2024年3月29日現在での価格と納期情報にて表示しています。
※納期に関して「最短 翌営業日出荷」ができますが、型番により変わります。また、土日祝祭日と棚卸期間の営業停止日は出荷できません。ご注意下さい。
※直近の営業日カレンダーはこちら。
※「特)」のマークがあるものは特別価格となっている限定販売ページが用意されています。上段が一般の会員価格。下段が特別販売会場を経由した価格です。
最後に・まとめ
現状、考えられる様々な要素を詰め込んだ、非常に優れたモバイルPCです。
「dynabook RZシリーズ」の残念な点としては、
・LTEに対応していない。
・カラーリングは単色のみ。できれば明るい色合いも欲しい。
あたりだと思います。
おそらく、多くのレビュアーは 5G に非対応という部分も含むと思いますが、アルパカは5Gをオススメしていませんので、除外します。
ただ、5GはともかくLTEはあっても良いのではないかと思うところです。
逆に良い点としては、
・1kg前後の軽さでありながら14インチの16:10液晶。
・軽量ボディでありつつ最新の第12世代Core『Alder Lake』搭載機。
・接続口の多さや細かな扱いやすい便利機能(Low blue light など)がある。
の三点となりました。
便利機能は各メーカー色々ありますが、「dynabook RZシリーズ」もまた、独自の路線で使いやすいものを盛り込んでいました。
キーボードの操作性や、軽さも含めれば、今あるモバイルPCの中では、トップクラスのオススメPCです。
こちら、Youtuberのトヨさんが早くも動画で紹介して頂きました。トヨさんが紹介しているのは 2022年モデルの RZ/LV の方です。
動画の中にもありますが、トヨさんは旧VZを使っているので、ハーマンカードンの高品質な音に慣れています。カメラ機能も同様で、Surface Pro 8 を普段から使っています。高画質カメラ(1080p フル HD)や高音質スピーカーと比較されると、それらは気になる点です。
この価格帯だからもうちょっと良いもの積んでよ、という意味では同意です。ただ、音質やカメラは一般的なものを下るほどではないため、アルパカの記事では特に気になる点としては記載していません。念のため。
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