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パソコン選びに必要な基礎知識、ストレージ編(保存形式あれこれ)

PC知識全般

メモリ、CPUと続くならストレージも説明しないといけません。

以下、前回までの記事と併せてお読み頂けると、よりパソコン選びが自力でやりやすくなります。

細かく語れば長くなりますが、「購入に必要な知識、使う人にとって便利な知識」という点から言えば、先の2記事と同様にシンプルに説明できます。

 

 

ストレージの持つ意味とは?

まずストレージの持つ意味を、昨今のストレージ事情と併せてご説明します。

 

単純に言うとデータを保存しておくところ、一般的には倉庫、と呼ばれています。

いや、呼ばれていました。

しかし、この例えは正しくなくなってきたように思えます。

パソコンを車に例えた時、CPUが馬力を司るエンジン部分。

メモリが道幅の広さだと前回の記事で言いました。

同じ車の例に例えて倉庫と言われていたこれらは、倉庫であると同時に実は「車自体の重量も含めて計算される荷台部分」と考えられます。

倉庫であり、荷台であり、車自体の重量も含める、というのが実際の車と違うところですが、パソコンの場合、OSや各種ソフトウェアも全てストレージ内に格納されているので、そのような表現になります。

それでいて、パソコンの動作とは関係のないデータも全てストレージに内包されているので「倉庫でもあり、車自体の重量でもある」という言い方になります。

倉庫から倉庫へ荷物を運ぶ際にどれだけ早いかはメモリやCPUの頑張り次第ですが、もし、その倉庫での荷物の受け渡しがとても素早かったらどうでしょう?

また、車自体の重量も含めて計算される荷台、ということなら、荷台がとても軽くて、車体重量が軽かったらどうでしょう。

更に車を走らせるのに適した風を受け流す流線型だったら?

車は存分にその性能を発揮し、素晴らしい速度をもってドライバーに答えてくれることでしょう。

しかし勘違いしないで頂きたいのは、あくまでもストレージは荷台や倉庫の役割をしているのであって、単体では自らのアクションを起こせません。

せいぜい、運ばれてきた荷物を置いておくだけです。

あくまでも車の性能と組み合わさることによって、様々な活躍ができるという、なくてはならない名脇役の部品なのです。

 

ストレージの種類5パターンのご紹介HDD、SSD、SSHD…

ここではストレージの種類分けについて五種類をお話します。

ハードディスクドライブ(HDD)について

昔からあるスタンダードな保存形式のストレージ部品です。

今でも一部の性能表にはストレージ部分にHDDと書いてあることが多くあります。

ディスク、というくらいですからレコードのような円盤状の部品を回転させて、そこに電磁情報を読み書きして保存する構造をしています。

磁気の情報にした方が効率よく大容量を保存できるのですが、磁気から電子の情報に変換して読み込む際、磁気ヘッドと呼ばれる突起部分から情報を読み書きします。

レコードの針みたいなものですね。

ディスク内のデータがある場所にヘッドが来なければ読み込めません。

いちいちヘッドが移動するのに加えて、データを読み書きする場所までディスクを回転させなければいけない都合もあります。

読み書きの速度がディスクの回転数に依存するので、モーター駆動の限界以上の速度は出せません。

要するに遅いってことです。

加えて円盤をモーターで回転させているので、当然、モーターを動かす電力もかかり、バッテリーも余計に消費します。

ただ、昔ながらの技術なので古くから多くの工場で大量の生産ラインが稼動していることから、低価格で大容量を手に入れることができます。

「写真や音楽、動画などを大量にパソコン内に保存しておきたい」などという時には、HDDを搭載されたパソコンを選ぶと良いでしょう。

HDDの回転数について
よくHDDの仕様部分には「5400rpm」とか「7200rpm」などの表記が書かれています。これは一分間の回転数のことで、回転数が多ければ当然、その分、早くアクセスできるので読み書きも早くなります。
もっとも、早く駆動させる都合から「7200rpm」は電力が倍かかるようになり、加えて駆動音も大きくなります。
最近ではあまり「7200rpm」の数値を見なくなりましたが、値段も高くなることからメーカー側もパソコンに搭載するのを避ける傾向があるようです。

 

ソリッドステートドライブ(SSD)について

近年、出てきた技術です。

半導体に電子の情報を直接、読み書きできる技術なのですが、これによりHDDのようにモーターを入れて物理稼動をさせる必要がなくなりました。

当然、磁気ヘッドはありませんから読み書きを行う部品が保存する場所まで移動する必要もありません。

純粋に半導体素子に電子情報を読み書きできますから、電力も僅かで済みますし、速度が速いですし、物理的に動く部品ではないので、衝撃にも強い、と良いことずくめです。

あと、意外と知られていないのですが、水濡れとかにも強いです。

電気が走っている状態ならともかく、そうでないようなら水を被ってもきちんと脱水してあげればちゃんと動きます。

最近、局地的な大雨や巨大な台風、地震の津波など、様々な天災による被害で床上浸水が起きました。

そういう時、泥水をかぶったパソコンがHDDだった場合は多くがデータサルベージ(データを取り出すこと)を断念せざるをえませんでしたが、SSDは問題なく取り出せるものばかりでした。

欠点としては、容量と値段です。

SSDは値段がどうしても高くなりがちで、容量が少ないのです。

記事を書いている2018年現在、ノートパソコンならHDDで1TB(1000GB)を積載しているのが当たり前なのに、SSDは256GBを選んでも値段が2万円近く上がることが多い状態です(メーカーにより変わります)。

しかし、それを差し引いても「SSDの方がいい!」という方が増えました。

その速度を目の当たりにすれば、HDDとの違いは一目瞭然。

一度SSDの使い心地を知ると、もうHDDには戻れないと言われるほどです。

ざっくり言うとHDDの5分の1程度の時間で作業が終えることができます。

作業の内容によりかかる時間は増減しますので、この5分の1というのが常に正しい数値ではありません。

メーカーによっては「6分の1程度まで短縮できる」と声高に謳っていることもあるほどです。

ただ、数値的なものよりなにより、普段使いでの快適さがどれだけ向上するのか、が重要です。

はっきり言ってしまえば、細かいことを気にせずともSSDでさえあれば、使い勝手は良い、とだけ覚えておいて頂いても問題ありません。

※以下、接続形式と世代についての補足は細かい部分なので、速度にこだわる方でなければ読み飛ばして頂いても問題ありません。

SSDの接続形式について
念のためお伝えしておきますと、SSDはHDDとは根本的な原理が違うので、当然、接続形式も違う…と言いたいところなのですが、実は多くのメーカーは未だに同じ形式で接続しています。SATAと呼ばれる旧来の接続形式がそれに当たります。
元々、HDD時代が長かったために多くのメーカーがコストを抑えるためにSATA接続を使っており、SSDに最適化されたPCIe(ピーシーアイエクスプレスと読む)の接続形式には変えていません。
ですが、多少、速度が落ちたとしてもHDDとの違いは歴然としています。そこで、SATA接続でもSSDの恩恵は十分ある、と考えたメーカーはコストを抑えて、SSDモデルをSATA接続で売りに出している、という現状があります。
これも徐々に改善されていく筈ですが、速度にこだわるなら接続形式がPCIeを選ぶのをお勧めします。値段が安くてそこそこの使い勝手があればいい、というならSATA接続で大丈夫です。
※ちなみに「M.2」という接続形式はSATA接続の小型化されたmSATAの後継にあたり、PCIeとの互換を持っているだけでなく、SATAの限界を遥かに超えた速度まで対応しています。国内メーカーではまだ少ないですが、速度にこだわる方はM.2規格のSSD、または次世代形式と言われているNVMeを探すのも良いかもしれません。
SSDの世代について
メモリやCPUに世代があるように、SSDにも世代があります。
世代を超える毎に当然、早くなっていくのですが、2018年現在、最新は第三から第四世代にかけてです。第四は海外メーカーのDELLなどで扱い、第三世代は国内メーカーではパナソニックとVAIO。それにNECの上位機種のみの扱いとなっています。
これも計測の方法によって数値が変わるのですが、SATA接続の第一世代SSDで15秒かかる作業を、第三世代だと10秒でできると言われています(データ量が多くなると更に差が大きくなる)。
速度にこだわる方なら、上記のメーカーで探されてはいかがでしょうか。

 

ハイブリッドドライブ(SSHD)

HDDとSSDの間の子のような中間に位置しているのがハイブリッドドライブです。

あくまでも本体はHDDなので値段は抑えられるのですが、一時的に記憶しておく部分(これをキャッシュと呼びます)に小さなSSDモドキが入っており、速度を上げてくれます。

従来のHDDは長期保存の記憶もキャッシュも、同様に遅い読み込み部分でやっていました。

ですが、キャッシュだけでも早い部品を入れることにより、今まで操作していたパターンを記憶してくれて、同じ作業であればキャッシュから読み込んで早めに作業を終わらせることができます。

「普段の作業を記憶して、普段以上の速度に上げていってくれるHDD」と思ってもらえれば分かりやすいですね。

今では幾つものメーカーで選べるようになりましたが、メーカーによりどれだけ大きいキャッシュが入っているのかは変わります。

けっこう、多くのメーカーが非公開にしている部分なので、多くの作業を記憶させ続けるだけの容量があるのか? と問われると「過度な期待はしない方がいいです」としか答えられません。

それでも通常のHDDよりはよほど早くなるので、予算を抑えながら大容量と速度のいいとこ取りをしたい人にはお勧めしています。

メーカーにより謳っている短縮時間が違うのですが、ざっくり言うとSSHDは通常のHDDの半分近くの時間で作業ができます。
それでいて、価格はSSDの半分以下で1TBの大容量を組み込めることが多いです。

ただし、読み込みの速度は速くなりますが、書き込みの速度はほとんど変わりません。

また、普段の使い方を記憶してくれるのであって、普段使っていないような使い方になると、速度は通常のHDDのそれに落ちます。

例えば、ワードやエクセルなどを毎日のように使っていれば、その起動や使う速度は速くなりますが、久しぶりに年賀状を印刷しようと思って、はがき作成ソフトを立ち上げたら遅かった、という具合です。

普段使いで使い方があまり変わらない人には恩恵が多いのでお勧めの部品、とも言えます。

 

新たなる技術、オプテインメモリー(Optane Memory)

インテル社が新しく打ち出してきた、最新技術で、2018年4月に発表されました。

インテルってCPUメーカーなのにメモリー用の半導体も作るんですね、と思っていたら…なるほど。

これはインテルじゃないと造れない内容です。

今はまだ一部の外資系だけにしか投入されていませんが、今後、増えてゆくことが予想されそうなので、念のためご紹介しておきます。

一時的な記憶領域であるキャッシュを、インテルが開発したオプテインメモリーに入れることにより、二回目以降の動作を早くする、というものです。

「え? それってハイブリッドドライブと何が違うの!?」

と思っちゃいますよね。

オプテインメモリーは一度、読み込んだデータを更に加速させることができる機能を持った部品…車でいうならターボ機構のような位置づけです。

ハイブリッドドライブのようにHDDの中に入っている部品ではないので、SSDも高速化することが可能です。

それって大革命じゃないか、と思われがちですが、実は似たような技術(ISRTとか)は結構前からありました。

あるにはあったのですが、それらはSSDの一部を使ってキャッシュを高速化させる技術だったり、前述しているようなSSHDのように最初からHDDに組み込まれたものでなければいけませんでした。

つまり、コストがかかったり、一体成型の部品なので応用が効かないものだったのです。

違うのです。

今回のオプテインメモリーは外側から追加できる部品なので(対応した機体であれば)、どノーマルなHDDでも早くできる。

しかも、その速度の伸びしろが低速のSSD並みに早くなるという、柔軟な組み入れ方が可能な上に、ハイブリッドドライブを遥かに上回るハイパフォーマンスを出します。

それでもHDD本来の遅さとは比べ物にならないレベルです。

しかも、コストがかなり抑えられるらしく期待が持てます。

欠点としては第8世代以降のCPUが組み込まれていて、基盤もそれに対応したものでなければなりません。

ですので従来機やAMD製の機体には組み入れられません。

また、これも前述しているSSHDと同様なのですが、やはり読み込みが早いのですが、書き込みはある程度遅くなります。

それでも通常のHDDよりはよほど早くなるので、やはり幅広い使い勝手がありそうです。

ここから先は予想でしかありませんが、国内メーカーならパナソニックの「Let’s note」が真っ先に導入してくると思います。

パナソニックはインテル社とガッチリ提携して基盤の切り出しからCPUの最適化を行っているメーカーです(そんなことやってるメーカーは他にありません)。

となると、14インチのLVシリーズのHDDモデルあたりが恩恵を受けて、大容量を搭載しつつオプテインメモリーで低価格を実現したモデルが出るのか…?

などなど、つい面白い想像を巡らしてしまいますね。

オプテインメモリーに関する追記注意事項
この記事を書き終わった後、ちょっと危険なニュースが入ってきました。
オプテインメモリーの前身であるISRTには、元々、危険な欠点が潜んでいました。
高速化しているHDDはクラッシュしやすくなるのです。その辺りの事情もあってISRTが広がることはありませんでした。
今回のオプテインメモリは大丈夫だろう、と思っていたのですが…とある販売員から販売したオプテインメモリ装着済みのHDDが壊れたそうです。
ISRTの焼き回しの技術を使っているなら、同様の欠陥を持つ可能性もあるわけで、これを知っている現場の販売員は「しばらくは売るのを控えて様子見します」と言っていました。

修正します
2019年秋、既に国内メーカーもオプテインメモリーを導入しており、上記の展示機の破損の他に壊れた報告は受けていません。上記の例がレアケースだと考えれば、問題なく人におススメできるレベルと言えます。

 

オンラインストレージ(クラウドサービス)

前述していた4つがパソコン内に組み入れる部品であったのに対して、こちらはパソコンの外であるインターネット上にデータを置く領域を設けるサービスです。

パソコン内に組み入れるストレージは、車に例えると車を動かす速度にも深く関わってきましたが、こちらはパソコン内に組み入れられないので、直接、速度には関わっていません。

先の例にするなら、まさにクラウドサービスという通り、走っている車の遥か上。

雲の上の倉庫に荷物を預けておくようなものです。

直接、速度には関わらないと言いましたが、車の荷物が軽ければ軽いほど動きやすいのは確かなので、余計なデータを全て雲の上に預けてしまう、という意味では速度に寄与しています。

しかし、それよりも何よりも重要な特徴は安全性です。

HDDであれSSDであれ、パソコンが壊れればそれまでです。

「外付けハードディスクにバックアップをとってあるから大丈夫」

という人も少なくありませんが、では、置いてある部屋でボヤが発生して丸焼けになったら?

大きな天災が来て部屋ごと潰れてしまったら?

外付けHDDと一緒にパソコンのデータも消えてしまいます。

そんなことは滅多にないと思うかもしれませんが、HDDにはアクセス限界の回数があります。

寿命は徐々に減っているので、放っておいてもいずれは壊れるのです。

私も外付けHDDにバックアップをとっていながら痛い思いをしたことがあるので言うのですが、外付けHDDもあくまで磁気ディスクです。

衝撃や熱、水、落雷など。

思っている以上にもろいのです。

その点、オンラインストレージは唯一の例外(後述)を除けば大抵は大丈夫です。

最近では「パソコン内には大してデータを置いておかないんですよね」という方も徐々に増えてきた気がします。

こうなるとSSDとの組み合わせが相性が良く、小容量のSSDモデルで速度を上げておきつつ、必要なデータを都度インターネット上からダウンロードして使う(またはネット上で直接編集する)という使い方もしやすくなります。

こうしたインターネット上にデータを置いておく領域をオンラインストレージと呼びますが、インターネット上に置いておけばパソコン側に何があっても大丈夫ですから安心です。

ご家族の思い出の写真や仕事上の大切なデータなど、「これだけは」と思うものがあれば、クラウドサービスのご利用を考えて頂くのをお勧めしています。

ただし、クラウドサービスは維持費がかかるのが基本です。

無料で使える容量は限られている…しかし、大容量を使わないで厳選しておけば15GBくらいは無料で使えるサービスもあります。

Microsoft 365 Personal(旧Office 365 Solo)」に乗り換えるなら1TBという大容量を無料で使えるようなサービスもあります。

もし、そうしたデータの扱いに迷うようなことがあれば、是非、クラウドサービスを利用されてみてはいかがでしょうか。

唯一の例外
日本の場合、地政学的なリスクを考えるのなら北朝鮮がEMP爆弾としてミサイルを使用した時には、効果範囲にある日本のサーバーは10割近くがダウンして中のデータは失われます。
こればかりは防ぐことができません。もっとも、そのような状況が起きた時にはパソコンや外付けHDDも使い物にならなくなるので、国民全てが総デジタル難民になるようなものですから、それどころでもなくなる気がします。

 

ご自身の用途に合わせたストレージを選ぶ際のご参考にどうぞ。

  HDD SSD SSHD HDD +
Optaine
メモリ
クラウド
ストレージ
説明 磁気ディスクにデータを保存する。モーター駆動による機械式。 半導体のチップセットを用いた記憶装置。
基盤に固定されている。
ベースはHDDだが、一時記憶のキャッシュ領域にフラッシュメモリなどを用いている。 HDDとは別にインテル社の特殊なメモリを組み込みキャッシュとして使う。
追記事項参照。
インターネット上にデータを保管できるようにしたもの。
読み取り速度 × △回線速度による
書き込み速度 × × △回線速度による
OS・ソフトの起動速度 ×
容量 × △契約内容による
容量あたりの単価
割安さ
× △契約内容による
安全性 × × ×/追記あり
こんな方にお勧め 速度よりコスパ重視
何より大容量が必要な人
容量と値段は気にしない、オールマイティーに動作の早いものを求めている人 速度と容量が欲しいがコスパも重視している、バランスが欲しい人 基本的にSSHDと同じだが、更に性能とコスパを要求する人に 安全かつ、複数デバイス間で同一データを管理をしたい人
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パソコン選びのコツ

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