いつでもどこでもインターネットさえ繋がっていれば、ネット上に置いてあるデータにアクセスしてパソコンやスマホにダウンロードしたり、直接編集出来るものもある…。
その特性上、雲のように例えられるオンラインストレージはクラウドサービスという二つ名で呼ばれるようになりました。
様々なクラウドサービスが提供され始めてからもう12年。
それまでは企業が大金を投じて社内の独自ネットワークと自社サーバーを立てて扱うのがセオリーでした。
今では個人が喫茶店から、コーヒーを飲みながらタブレット端末一枚で気軽にクラウド上の情報を操作するのはもちろん。在宅勤務でTeamsやZoomと連携させながら使う人も増えました。
歴史の浅い業界ですが、その進化は恐ろしく早いです。
そんなクラウドサービスが浸透していく中、個人レベルで使いやすい今が旬なクラウドサービスとは一体どんなものか。
あなたのデジタルライフをより快適なものにできそうな代表的なクラウドサービスを集めてみました。
Dropbox
痒いところに手が届く、シームレス化した元祖クラウドサービス
Plus 1TB 1,340円/月
※税込金額です。
代表的なオンラインストレージで、紹介した人もされた人も0.5GBずつ上限が増える仕組みです。
しかし、他と比べると「え、無料で2GBしかないの? それ困るよ」と思った人も多いでしょう。
Dropboxの凄いところは容量ではなく、その使い勝手の良さです。
OSが違っても跨いでデータのやり取りができますし、手持ちのデバイス複数台で一通り同期し続けてくれるので、わざわざログインしなくてもどこからでもアクセスしやすい点。
自動バックアップを取る設定ができるので、「このフォルダの中は常にバックアップしておきたい」という時に便利という点。
加えてバックアップを取ったバージョン履歴(これをヒストリカルデータと言います)が見れるので、「うわ、しまった! 今日間違えて上書き保存しちゃった」という時にも昨日のデータに遡って復活できる点。
共有リンク機能でURLを作成しておけば、メールに添付できないような大容量のデータでも簡単に送れる(相手にダウンロード権限を与える方法)ができる点。
つまりこれは、送信した後で「あ、いかんいかん、ココ直さんといかんかった」とかいう時も、相手がデータをダウンロードする前だったら間に合っちゃったりします。
…などなど。改めて上げていくと細かい配慮が凄い。核心を突いているというか、まさに痒いところに手が届くストレージサービスです。
仕事で使うなら、一歩上いく Dropbox Bisiness
OneDrive(旧SkyDrive)
基本プラン 100GB 224円/月
Microsoft 365 Personal 1TB 12,984円/年(月割り計算で1,082円)
※365サービスはなくなりました。
※「旧Office365 Solo」は「Microsoft 365 Personal」に名称が変わりました。
※税込金額です。
Google同様、企業体力がもの言うマイクロソフト社が提供するクラウドサービスです。
「フリープランで5GBしか使えないのか…」と考えがちですが、多くの人はOfficeソフトを使いますから、これによってプレミアムプランにある1TBがタダで使えるようになります。
いわゆる「Microsoft 365 Personal」の契約を続けている限り1TBが使えるので、永年ずっとOfficeを使うと思うのであれば「OneDrive」を使わない手はありません。
月間契約なら、月間1,284円で常に最新のOfficeがフルで使いたい放題 + 1TBも大容量クラウドが使えるようになるので、元々Officeは生活から切り離せないという人にとっては何かとお得なことばかりです。
ただし「Microsoft 365 Personal」ではなく、パソコンに最初から入っていたOfficeの永続ライセンス版を使っていた場合は、元々がOfficeソフトが使える状態なので、1TBのオンラインストレージを使うためだけに月間1,284円で使うようなことになります。
月額で1,284円というのは、他のストレージサービスと比べると悪くない値段ではありますが、激安というわけではありません。「OneDrive」は1TBとセットでOfficeソフトが一通り使えるところにこそ意味があります。
Officeを関係なしに考えた場合、使い勝手の良い細やかなサービスでは一歩上を行く「Google Drive」が2TBでほぼ同額。「Dropbox」が1,000円で1TBですが、検索システムや履歴データを遡る機能など、使いやすさから考えれば「OneDrive」は負けてしまいます。
では、純粋にクラウドサービスとして見た時、使いどころがないのかというと、そんなことはなく、「OneDrive」は倉庫代わりとなる使い方が適しています。
というのも「OneDrive」にデータをアップロードしていたものが、途中で契約切れを起こした場合、それまでのデータは保持され、それ以上アップロードすることができなくなるだけです。
サーバー上に残されているクラウド領域からダウンロードすることはできるので、最初の一ヶ月間だけを契約し、その間にご家族の写真や、絶対になくしてはいけない仕事上のデータなどを入れておきます。
一通り入れ終わった後で契約を解除すれば、ずっと無料で1TBを保存し続けることのできるオンライン倉庫として活用できる、というわけです。
これは、Microsoftが方針転換しない限りは継続されますから、普段は他のクラウドサービスを使いつつ、「OneDrive」は倉庫として併用、というのもできますね。
Google Drive(Google One)
クラウドだけじゃない、スケジュール管理を含めた総合アプリ
100GB 275円/月
200GB 418円/月
2TB 1,430円/月
10TB 14,300円/月
ただし、幾つかの注意点があります。下記『Amazon Photos と Google Photo 2つのサービスを比べてみると…?』をご参照下さい。
検索とアンドロイドの大家であるGoogleが提供するオンラインサービスです。
Googleアカウントに紐づいているので、Gmailを使い始めた人は自動的に15GBが無料で使える仕組みです。
15GBもの容量を無料で配給しちゃうあたりはGoogleの企業体力がどれだけ凄いか、と感じるところですね。
Gmailは誰でも気軽に取得できるのに加えて転送システム、条件設定付きのフィルタリング機能などを早くから取り入れていたので、これまた使いやすいメールサービスです。
フリーメールでありながらスケジュール管理用にもなるGoogleカレンダーは本当に便利で、アルパカは変則的な仕事の予定や記念日を忘れないようリマインドメール(設定したタイミングで自分にメールを送れる)を使いまくっています。
また、仕事上のデータで「これだけは失いたくない」というPC内の作業フォルダを丸ごと常にバックアップさせ続けられるのもお勧めの使い方です。
その場合、PCに「バックアップと同期」のアプリケーションをインストールする必要があります。無料で簡単にできるので、クラウドサービスを使い慣れていない人にもお勧めです。
以下、その設定方法などをまとめた記事です。
これらの幅広いサービスはDropboxのきめ細かさとは別の意味で実に素晴らしいサービスと言えます。
シームレスな扱いやすさでいうなら「Dropbox」の方が一歩上を行く気はしますが、それを補ってあまりある他のアプリ機能が充実しているのが良いです。
以前にあった欠点であるMicrosoft Officeとの親和性も問題なくなって久しいです。
詳細は後述しますが、スマホで写真を多く撮る人はGoogle Photoとの同期設定もお勧め。
自動バックアップ設定をしていると、ことごとく写真をクラウド保存してくれるだけでなく、整理整頓も非常に楽チンな検索機能を使えるのも凄いところです。
スマホで写真を多く撮る人でありながらGoogleアカウントをお持ちであれば、Google Driveと合わせて併用するのもいいですね。
「取っておかないといけない重要なデータはあるけど、それほど多くないんだよ」という人は無料版の15GBで済ませてしまうのも十分アリです。
Box for G Suite という考え方
Amazon Drive
100GB 279円/月
1TB 1,430円/月
2TB 2,860円/月
※Amazon Photosはプライム会員なら自動的に無制限。
※税込金額です。
ネット販売の大手Amazonが手がけるオンラインストレージです。
2016年1月に始まったばかりでクラウドサービスとしては後発になりますが、その分、よく考えられた他にはないサービスを組み立てています。
容量からすれば「100GBで279円、1TBで1430円だとちょっと高いなぁ」と思ってしまうのですが、その使い勝手の良さは定評があります。
さすがに更新される度にバージョン履歴を残しておく機能はありませんが、共有リンク機能でURLを作成して相手にダウンロードしてもらう機能なんかはちゃんと用意されていますね。
また、これらのサービスはあくまでも一般的なデータ(写真や音楽、動画など)を保存できる「Amazon Drive」に的を絞ったものです。
何よりお勧めなのがプライム会員に向けたもう一つのサービス「Amazon Photos」です。
元々、プライム会員を維持するのに年間4,900円(税込)がかかるのですが、その特典として「Amazon Photos」は写真でさえあれば、容量無制限で幾らでも画像をアップし放題です。写真を無制限で(しかも圧縮がかかることもなく)、幾らでも入れられるのは「Amazon Photos」くらいのものです。
写真を大量の外付けHDDに入れておくよりよほど経済的ですし、何より安心感があります。
元々、Amazonで買い物が多い方。写真を趣味で大量のRAWデータの置き場に困っていた方。
既にプライム会員の方はぜひご活用を。
会員登録していない人は、こちらの「プライム会員」のリンクからどうぞ。
Amazon Photos と Google Photo 2つのサービスを比べてみると?
よくパソコンを販売していると「写真が趣味でさ。この間も北海道のラベンダー畑を撮ってきたんだよ」とか「袋田の滝をだね…」などという方(大抵、渋いおじ様)がいます。
観光好きな私とも話が合って盛り上がるのはいいのですが、写真をどこに保存しておくかという話になると「やっぱり大容量のRAWデータは圧縮して割安な外付けハードディスクですかね」というところに落ち着いていました…このサービスが出るまでは。
こういう場合、今では断然「Amazon Photos」をお勧めしてます。
RAWデータの場合、1枚で25MBまでになることが多く、複雑な被写体だと30MBに迫ることもあります。
仮に30MBだったとして100枚も撮れば3000MB=3GB。
写真好きな人なら分かると思いますが、1000枚単位なんて一度の短旅行ですぐです。
たった年間4,900円(税込)で容量を気にせず写真をアップし放題なんて…趣味の人だけでなく、プロのカメラマンにもお勧めしたいサービスです。
唯一の難点を挙げるとすれば、検索機能の弱さでしょうか。
これもバージョンアップしていればいずれは改善されると思いますが、Amazon PhotosではGoogle Photoのように撮影した日付、場所、人物、その他諸々の情報で検索をかけることができません。
写真の名前で検索をかけることはできるので、写真の名前に場所や日付などの情報を分かりやすく入力しておく必要があります。
逆にGoogle Photoではそれを行う必要なく、全自動で記録してくれて検索をかけられるので管理が非常に楽です。
一方、Amazon Photosが優れている点は「どんな写真であっても写真でさえあれば問題なくそのまま保存してくれるところ」です。
Google Photoの場合「高画質」設定にした場合の時だけ自動アップロードしてくれますが、それ以外の写真は通常のGoogle Drive側の容量に入ります。
この設定の時に限り上限を気にしないといけません。
加えて高画質設定だったり一眼レフの大きなRAWデータは、圧縮形式に切り替わります。
圧縮形式といっても解凍すれば元に戻るとかではなく、普通にリサイズされます。不可逆圧縮というのですね。
「え!? 勝手にデータサイズを変えないでよ!」と文句が出てきそうですが、これも無料でのサービスのこと。
上限なしだと、この点は避けられないようです。
もっとも、一般の人に見てもらう分には全く画質の違いが分かりづらいような、効率的な圧縮です。
「拡大してポスターにしたい」などの時は別ですが、ブログにアップする時などはリサイズしてからアップロードする人も多いので、それらの人にとっては逆に作業の効率化をしてくれるとも言えます。また、普段からスマホでの写真をアップしている人は気づくかもしれませんが、Google Photoの方がデータのアップロードが早くてスムーズです。
Amazon Photosは大容量に対応しているものの、Google Photoより少し時間がかかります。ですので、大量のRAWデータを抱えている人は、それらをいったんプールしておくローカルストレージを用意しておき、休日の時間のある時にでも整理しながらAmazon Photosにアップすれば良いのです。
違いをまとめると以下のようになります。
スマホで普段から気軽に写真を撮る人(画素数を気にせず楽な管理がしたい人)はGoogle Photo。
画質を落とさず高解像度の写真を保存したい(ただし名前付けで管理ができる人)はAmazon Photos。
iCloud Drive
50GBプラン 50GB 143円/月
200GBプラン 200GB 440円/月
2TBプラン 2TB 1,430円/月
※税込金額です。
Appleが提供するオンラインストレージです。
Apple ID でサインインできるので、Macユーザーなら誰しも使ったことがあるのではないでしょうか。
やはりAppleが提供するサービスだけあってMac OSと相性が良く、iPod touch、iPhone、またはiPadなど、全てのMac OSと同期させてiCloud上にバックアップが取れるのが嬉しいですね。
まずiPhoneの買い替えの際にはiCloudからダウンロードしてしまえば良いわけですし、画像や仕事上のファイルをiCloud上にアップする時などタイムラグがほとんどなく使用できます。
Windows用のiCloudも用意されているのでWindowsでももちろん使一通りうことができます。
ただ、クラウド上のアクセスをする際にWindowsからだとワンテンポ遅れるのがネックです。
とはいえ、一般に使う人にとって気になるほどではなく、「スマホはiPhoneだけどPCはWindows」という人はかなりの割合がいます。
使用頻度の激しい人だとWindowsでの使用を控える人もいますが、基本的には「バリバリ仕事で使う人」または「とにかくMac好き」でなければ気になるほどではないようです。
Firestorage


ライト会員 5GB 1,037円/月
正会員 10GB 2,085円/月
※税込金額です。
容量だけ見れば非常に少ないストレージサービスですが、その分、登録なしでだれでも大容量のファイル送受信がしやすい機能で広く活用されています。
特に10M以上となるとメールで送るには大きいですし、かといってDropboxのアカウントを持っていない人の間で、わざわざアカウント登録をするのも面倒です。
そんな人は、気軽に使えてすぐに送れる「Firestorage」を重宝することでしょう。
ダウンロード用のURLにパスワードを設定しておくこともできますし、最短、一時間だけ限定でのダウンロード用URLを発行することもできます。
こうした受け渡しサービスに特化した使い勝手から、非会員も多く使う「Firestorage」ですが、登録した会員でも似たように使う人が基本です。
逆に「ずっとオンラインストレージで溜めておきたい」とする人には不向きです。
上手に活用すれば、他のクラウドサービスにはない便利さを持つのが「Firestorage」なのです。
この記事を書いていて色々と気づかされたことがあります。
様々な特色あるクラウドサービスがありますが、これらの草分け的なサービスは2008年頃のSugarSync(シュガーシンク)から始まりました。
2011年、ギズモード (最新テクノロジーに関連するニュースを扱うテクノロジーメディアサイト)は、Dropboxを含めた幾つものクラウドサービスを比較した結果、SugarSyncが最も優れていると高く評価しました。
しかし、この世界も日進月歩です。
既にSugarSyncのできることはほとんどGoogle Driveもできるようになったと言っても過言ではありません。
2012年では完全にSugarSyncの機能が勝っていましたが、今ではローカル環境下にあるフォルダ内にあるツリー構造を丸ごとバックアップ取れるようになりましたし、提供する容量もGoogle Driveの方が多くなりました。
しかし、未だにSugarSyncを活用している企業は多く、特に世界レベルでは根強い人気があるようです。
一つには分かりやすく、直感的な操作性があるからでしょう。
先に幅広いユーザーに慣れてもらっているという一番乗りの利点もあると思います。
しかし、他のクラウドサービスのように「ここでないと出来ない」というサービスが見当たらない気がしました。
私の調べが足りないだけかもしれませんが、そうした事情もありSugarSyncの項目は割愛させて頂きました。
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