→ → モバイル機ならバランスの取れた dynabook GZシリーズが売れてます ← ←

Orbital2のレビュー、クリップスタジオで絵を描いてみました

前回までの記事3本で、「Orbital2」のご紹介と設定内容をお伝えしました。

今回はその設定を使用して、さっそく描いてみましたので、使用感などをレビューします。

描いたのはこちら(↓)

 

描き始める前に

アルパカ

以前からこのサイトのマスコットキャラのようなものを描きたいと思っていました。

アルパカもいいんですけどね。

あれは管理人のイメージなので、作者ばかりが出るのもどうかと思いまして…

一昔前は、作者がマンガにやたら出てくると「ネタ切れだから要注意」なんて編集者さん達が言っていたそうです。

というわけで、別キャラで。

描くだけだとつまらないので、キャラクターに「Orbital2」の説明をさせてみました。

服飾の資料集めや、キャライメージを練りこむ下準備は一週間くらい前から仕事の合間に。

ちなみに私の場合、資料集めには2時間くらい、キャライメージの練り込みにはだいたい1時間くらいかかります。

使うソフトは「CLIP STUDIO(クリップスタジオ)」。

国内のデジ絵描き達にとっては、もっとも親しみのあるソフトだと思います。

個人的に、「これからデジ絵を描きたい」という人には、「CLIP STUDIO(クリップスタジオ)」をお勧めしています。

なんといっても、お絵かきソフトの国内シェア一位ですから、分からないことが出てきた時、ネットで検索すればすぐに情報が出てくる安心感があります。

 

「Orbital2」を使ってイラストを描いてみた

細かく文章で説明していくと、どうやっても伝わりづらいでしょうから、今回は動画にしてみました。

ある程度、描き慣れている方であれば大体分かると思います。

基本的に前回紹介した記事

の設定を使って描いています。

構図決め&ラフ開始

まずは色分けした下書きレイヤーを作成し、マーカー系ツールを使って大まかに描き始めます。

この辺りはごく普通の描き始めなので、デバイスはほとんど関係ありません。

ひたすら構図を練ってラフっていきます。

ラフが終わりましたら、追加カラーセットからペン入れの基本色となる焦げ茶色を選んで、Gペンで描き始めます。

色を選ぶショートカットがあれば良かったのですけどね。

残念ながらクリスタには選色コマンドが用意されていませんので、この辺りはペン先でカラーパレットから選びます。

そして、クリっとスティックを回してブラシサイズを調整。

サイズは12pxで丁度いいくらいでしょうか。

ベクターレイヤーに書き込み開始。

ちなみに、画面には出していませんが、ウィンドウ外に色々な写真を出しています。

資料が充実している時は、いきなりベクターへ下書きのようなペン入れを始めますが、資料がない場合はラスターから細かく書き込むこともあります。

 

下書きというかペン入れというか

下書きであり、ペン入れでもある、という自分でもよく分からない内にこのような描き方になってしまいました。

要するに大幅な変更が入らなければ、ベクターの微調整機能が優れているので、それに頼って描き始めてしまった方が楽なのです。

この際、使用する修正コマンドは「Orbital2」にプロファイルされています。

実際に見て下さい。

まずは描き始めです。

ざざっと描いていくと、線がクロスしていきますが、お構いなしに描いていきます。

その上で

消しゴムツール → 交点まで線を消す

または、

ペンつまみツール → 位置を調整

を繰り返していきます。

この時点ではみ出ていたり、余計な線が多くなりました。

消しゴムツール「交点まで消す」を標準で使えるよう設定しているので、オービタルリングから上のフリックで呼び出して、正しい線のみを残すように消していきます。

はみ出たところもワンアクションで簡単に消せるのはデジタルならでは。

やはり便利ですね。

こんな感じです。

ペン入れツールのフリックメニューには、左右の反転コマンドを入れていますので、そのまま反転させてバランスを見ます。

紙に描いていた頃のクセなのですが、裏返して見ると、バランスが変な場合はよくあります。

問題ないと判断したら次の線の描きに入ります。

動画を見ると分かりますが、バランスがおかしいと感じたら、左右を反転させたまま修正用の線を引いたり、線つまみで微調整に入ったりを繰り返していきます。

このイラストを描き始めた段階でも、まだプロファイルは完成していません。

「使いながら調整していく」というカスタマイズの楽しさがここにあるのです。

当初は線つまみが右上にありましたが、ペン入れ終了段階では右下になっています。

また、線つまみのサブツールの並びも、描き始めた時点では「両端固定」を一番上にしていましたが、途中で「片方が自由」を一番上にしました。

「片方が自由」の方が遥かに使用頻度が高かったためです。

こうしてプロファイルは、常に使いやすいよう組み変えることが出来ます、最新状態の設定は前回の記事「 “Orbital2(オービタル2)”のクリップスタジオ用設定 by アルパカ」に随時、追記修正していきますので、似たような描き方で使ってみたい人は、ご参考にぜひどうぞ。

また、ペン入れまでの修正でよく使うのが、範囲選択の「投げなわツール」です。

私自身が予想していたよりも多く使うことが分かったので、今回のイラストを描き終えた段階で、より使いやすい場所に変更しようか迷っています。

今回はキャラの左手を大きく描きすぎたと思ったので、全体的に小さくしました。

線の強弱や長い短い、場所の移動…くらいまでは線つまみで何とかなるのですが、複数の線を一度に移動したり拡大縮小を行うならば、範囲選択で一度にやる方が楽です。

特に手のような複雑に入り組んだ線の場合はなおさらです。

そこで、下図のように投げ縄ツールで手を囲い、

縮小します。

この時、Ctrlキーを押しながら制御点をドラッグ&ドロップすると、歪ませることができます。

フラットリングにスイッチ設定しているCtrlキーが役立つ場面です。

もっとも、大きさを調整した後で、さらに修正して描き足すことは多々あります。

「下書きのようなペン入れのような」と先に書いた通りで、うまく描けなかったら、失敗したレイヤーの濃度を下げ、その上に別のレイヤーを重ねれば下書きになります。

うまく描けたら、多少修正するくらいで、そのままペン入れレイヤーにします。

「どんなに失敗してもやり直せる」のがデジタルの良いところで、このようにざっくばらんな描き方でも大丈夫です。

ただ、あくまでも、何度もやり直せるツールであって、これは加工や修正する技術です。

画力が上がるわけではありませんので、やはり、紙ベースでのデッサン力は必要不可欠だと思い知らされます…描くたびに。

 

さて、この段階のレイヤーを、ちゃんとした滑らかな線にしたい際、多用するのが「曲線ツール」です。

これも独自の方法なので、他のデジ絵師さんと話をしていると驚かれることがあります。

人間である以上、滑らかな線をペンタブレット上で描くには角度が決まっています。

特に苦手な角度は引きづらいものです。

しかし、曲線ツールを使えばキャンパスを回転させる必要なく、滑らかな線を引くことができますし、確定させる前のプレビュー状態(ペンをペンタブから離す前)では、どのように引けるのかを確認できるので、正確に狙った線や引きやすいという利点があります。

この方法では、線の “入り” と “抜き” を調整することで、ペンで普通に線を引いたように強弱をつけることができます。

強弱をつける前

強弱をつけた後

これで人の手が描いたような感触が出ました。

さらに線がクロスしたところを短く描き足して墨溜りでも作れば、アナログで描いたような温かみのある味が出せます。

さて、ここからが本題です。

曲線ツールを呼び出した後で、交点までを引いては余分な線を消す、という作業を繰り返していくと、たまに “入り” や “抜き” を止めておきたいことが出てきます。

例えば、髪の毛を描いている時に、滑らかな線を引けるのは良いですが、余計な線を消そうとすると、他の髪の毛や顔の線まで消えてしまいそうな時です。

細かくレイヤー分けすればいいという発想もありますが、線の一本一本でそんなことはしてられません。

ならば、 “入り” または “抜き” のどちらかをオフにして、消す必要のない箇所を始点または終点として線を引けば良いのです。

これだけで、消す必要がなくなりますので早くて便利になりましたが、いちいちツールプロパティパレットにポインターを移動させて切り替えるのは面倒すぎます。

そこでショートカット設定を使おうとしますが…ここで従来の左手用キーボードだと「どっちがどっちか」を忘れがちになり、結局、従来通りのポインター操作に頼ることに。

記憶力次第かもしれませんが、少なからず似たような経験がある人は少なくないと思います。

Orbital2」はフラットリング側でのフリックメニュー操作の一覧が画面上に出ますので、「どっちがどっちだっけ?」という迷いがなくなります。

カーソルを中心としてフリックメニューが出せる

スティックの回転機能が強いデバイス、という部分が目立っていますが、機能の一覧がペン先となるカーソルの周りに出るだけでも地味に便利です。

なにしろ、描いている視線をほとんど移動させずに選べるのですから、手を止めることなく描き続けられます。

そうして修正を加えていったものがこちらになります。

修正前

修正後

胸も膨らみを持たせたりとか、位置の修正を入れながら、滑らかな線に直しつつ進みます。

お腹周りも、イメージに合わせてへこませたり。

顔のラインも膨らみを持たせた滑らかな曲線で引き直します。

頭や髪の毛の線も同様です。

こうして修正しては引き直し、を繰り返していくと…

途中経過でこんな感じです。

ちなみに、手の指など複雑で描くのが難しい部位に関しては、曲線ツールだと時間がかかりすぎてしまうので、通常のGペンなどで、少しずつ描いていったりします。

 

注意:左手用キーボードの最大の欠点

さて、ここで「曲線ツールって便利だ!」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、この描き方には欠点があります。

実は、私はペンタブレットを使うのが、あまり得意ではありません。

元々、板タブを使うのが苦手だったのですが、私が描き始めた時代には「XP-Penのような、中華製の安価液タブはまだ出回っていませんでした。

そのため、曲線ツール(またはパスツール)と相性の良い左手用キーボードを多用して描く方法に辿り着いたのです。

しかし、この描き方はペンタブレットで普通に線を引く人たちに比べて、やや時間がかかりますし、何より、身体にかかる負担が大きいという欠点がありました。

左手用キーボードユニットはキーを押し込むことを基本操作とするので、押し込んだまま他のキーを押す。

または、連打が基本となります。

曲線ツールに限った話ではなく、左手用キーボードを多用する人であれば、これが元で腱鞘炎になる人も少なくないのです。

私も水疱瘡により左腕を壊してしまった経験があります。

皮膚に水膨れのような発疹と痛み、高熱を発するあれです。

あまり知られていないのですが、水疱瘡というのは神経根(しんけいこん)の奥深くに潜伏するウィルスで、症状が完全に現れなくなったとしても、完治はしません。

神経の奥深くで眠っているような状態になるだけです。

過度なストレスや疲労による抵抗力の低下などが原因でウィルスが活動を活発化させてしまうので、身体の一部分だけを過剰に使い続けると再発することがあるのです。

特に、私の左腕は深刻でした。

最初はチクチクした痛みだったものが、指を動かすだけでも激痛に変わっていきました。

良くなかったのは、それでも時間がないからと痛みを堪えたまま描き続けてしまったことです。

とうとう身動きがとれなくなるほどになり、ようやくの思いで病院に行くと開口一番。

医者「左腕ばかり多く使いましたね?」

左腕を中心に出た発疹は首元まで広がり、激痛で机に座っているのも難しい状態になっていました。

寝る間も惜しんで描き続けた結果、会社を休まなければならないことになってしまったのです。

無理はしすぎるものではありません。

これは「Orbital2」を開発した(株)BRAIN MAGIC社に聞いたのですが、もともと、このデバイスを造るきっかけになったのは、開発者自身が絵を描いており、腱鞘炎で苦しんだ経緯からだと聞きました。

私も絵を描くことが好きなので良く分かるのですが、描くのが好きな人は異常なほど長時間を集中して描き続けられるものです。

種類は違えど、同じように痛い思いをしてきたからこそ、同じ失敗を他の人に味わってほしくはないのです。

腕にかかる負担を減らすために作られたデバイス。

それでいて使いづらいものなら、お勧めまではできませんが、使いやすければ願ったり叶ったりです。

これが「Orbital2」をお勧めする大きな理由であり、安心して使い続けられる理由でもあります。

逆を言えば、左手用キーボードには、これらのリスクが付きまとうことを覚えておかなければいけません。

 

 

他キャラと小物を追加

服飾を付け加えていきます。

コルセットの紐を左右に通しますが、描いている途中で分かりづらくなったので、別レイヤーで色分けして間違えないように。

もちろん、その上から結び目なども別レイヤーで重ねます。

この時にも役立つのが曲線ツールで、左右の穴を始点と終点で結ぶように。

途中、白抜きのようになっている線が消えかかっているような感じは、左右から中央に向かって線を引いているためです。

胸のふくらみに関して、レースのひらひらを上に付けます。

また、先ほどの結び目を他の部分と被らないよう、白抜きの下地レイヤーをセットに配置。

この時、イラスト全体を黄色で覆う下地レイヤーも作っておきます。

これにより、白い色でもどこまで塗っているのか。

塗り残しがないのか、なども分かるようになります。

黄色を選んだのは、焦げ茶となっているペン入れの色との違いで見やすくするためです。

他にも挙げれば色々あるのですが、今回はイラスト講座をするわけではなく、あくまでも「Orbital2」のレビューが目的ですから、先に進みましょう。

右側のイラスト二枚分に入ります。

パソコンを前に作業している図なので、ラフの時点でパソコンの3Dオブジェクトをダウンロード。

無料があれば良かったのですが、良さそうなのは有料にしかなかったので100円払って購入しました。

本来なら、売れ筋のお勧めパソコンを描いておきたいところですが、とてもそこまでの体力と時間がありませんでした。

オブジェクトの角度を合わせて、右側二体のイラストも先ほどと同様の方法でペン入れまでを終わらせます。

ひとまず、ここまでで以下のようにまとまりました。

動画を見て頂くと分かりますが、本来、このまま着色に入る予定でしたが、扉用の絵を描かないといけないと思い、急きょ追加して描き始めました。

一度に複数枚描いてしまった方が楽ですからね。

また、小物の追加をしていく際に、腕章やWindowsマーク、髪飾りなどを追加していきます。

当初は普通のヘアピン案だったのですが、友人に指摘されてしまい、あれこれ悩んだ末、描いていたパソコンのUSB接続端子に目が行きました。

「これいいな」

即決まりです。

他、あれこれ試行錯誤しています。

イヤリングをUSBメモリにしてみようかとか、メガネっ娘にしてみようかとか、スカートをチェック柄付きにしてみようかとか…全てボツったので動画ではカットしています。

 

 

着色~仕上げまで

下地となる色を塗っていき、その上から濃い色を重ねていく作業です。

いつもはアニメ塗りでぱぱっと済ませてしまうことが多いのですが、今回は練習がてら不透明水彩に挑戦します。

髪の毛の着色なんかでは、やはり曲線ツールが便利です。

そのように始めて、不透明水彩で色を伸ばすように濃い部分を広げていきます。

下レイヤーでクリッピングという至極一般的な塗り方です。

色トレスで線の色を周囲に合わせて馴染ませた後、ところによってエアブラシでグラデーションをかけながら、ハイライトを入れていくのとセットで、ペン入れした線の抜きも入れていきます。

この手の作業でツールを選ぶ時にフリックメニューから選べるのがやりやすかったです。

最初のとっつきづらさはあるかもしれませんが(何しろ、フリックでツールを選択するデバイスというのは滅多にない)、慣れてさえしまえばエアブラシからペン、ペンからエアブラシを切り替えるのが直観的に素早くできるのがいいですね。

同様に透明色との切り替えをフリックでできるようにしておいたので、塗っては消して、がやりやすかったです。

あと、思ったのが、濃度調節です。

私は仕上げの時にしか濃度調節機能を使いませんが、人によっては着色時やペン入れの時から微妙な色合いの変化を持たせたい人もいると思います。

そういう人にとっては回転機能が最大の武器となる相性の良い作業です。

 

さて、仕上げです。

当初A4で描き始めた原稿ですが、今回はWEB記事に掲載するものだったので、原稿を縦長にして、その分、コマ割りを入れて空間に余裕を持たせました。

空いた部分には背景にオブジェクトを配置。

全体的にホワッっとした雰囲気や透明感を出すために濃度薄めの白いエアブラシを全体的にかけて、色調を整えます。

右側2カットのジャケットの色も周囲とのコントラストを考えて…コルク枠を付けて、完成です。

 

感想とまとめ

絵描きの技術としては基本的なことしか書いていませんので、目新しく語れることはあまりありません。

ここまで使っていて気になったのは、想像以上に左下のShiftキーの長押しがやりづらいこと。

もちろん、これも慣れの問題でもあるので、描き終わる頃には薬指で押せるようになっていましたが、手の位置が少し動くので、長い目で見た時のタイムロスを避けたいのであれば配置を考えた方が良い気もします。

また、着色のフリックメニューとペン入れのフリックメニューを押し間違えてしまうことが多いのが課題として残りました。

特に疲れが溜まっている時にはどうもダメですね。

いっそ二つのフリックメニューを対極的な位置に離した方が、分かりやすくて良いかもしれません。

あるいは作業に応じた複数のプロファイルを設定するのも手です。

下書き~ペン入れまでのプロファイルと、着色用のプロファイル等です。

分けてしまえば複数のコマンドを一度に組み合わせる必要がないので、当然、左下にあるShiftキーも押しやすい位置に移動できます。

もし、そうする際には、押しづらい左下は設定しないデッドスペースにする。

または描くのとは別のコマンド「画像の書き出しやプロファイルの切り替えなど」にして、時折しか使わない機能に割り当ててしまう方が良いようにも思えました。

もっとも、その場合にはプロファイルを切り替えるたびに頭も切り替えなければならないので、使いこなす人間側の能力も求められる筈です。

総括します。

Orbital2」は実戦で十分に役立つデバイスとして活用できます。

自分に適したプロファイル設定を見つけることさえできれば、最強のツールたりえるでしょう。

問題は設定をどうするか。

私自身も自分に合う設定を模索する考察は続いていますが、ひとまず今回はここまでです。

 

アルパカ

いずれ、Excelや動画の編集時にも使えそうなプロファイルがまとまりましたら公開したいと思います。

 

コメント