前回、パソコンのリサイクルに関するお話をしました。
廃品回収車に任せるのは止めて、3つのパターンから正式な処分方法を選びましょう、というもの。
ですが、どの方法を使うにせよ「データの削除はお客様の方でお願いします」と言われてしまうことが少なくありません。
この辺りの対応は窓口によってまちまちですが、配送途中の事故も可能性として考えるなら、自分の手で行っておいた方が安心できますね。
また、もう一つ厄介なのが、パソコンが壊れてしまっている場合。
データを取り出したいけど、動かないパソコンからだと取り出し方が分からない。
この場合も同様に諦めてそのまま手放すと、どこでデータを取られて悪用されるか分かったものではありません。
今回は、そのような買い替え時に役立つパソコン処分。また、壊れてしまったパソコンからのデータサルベージ方法についてご紹介します。
まずは以下の表から辿って頂き、どの方法で処分すべきか。
処分の前にデータのサルベージを行うのか。
5つのパターンに分かれて辿り着くよう、イエスノー選択肢でまとめてみました。
1.新PCにデータや設定の移行後、旧PCデータの完全破壊を
パソコンが壊れていなければ全く問題なく設定やデータを移行した後に、旧PCに残っているデータを完全削除すればOKです。
特に難しいことはありませんが、データの移行が面倒だったりします。
しかし、多くの人が壊れるまで粘って使ってしまい、壊れてから「急いで買い替えないと!」となりがちです。
そうならない為にも、5年を過ぎる前から買い替えておくことをお勧めします。
新しいパソコンの設定に関しては長くなるので割愛しますが、お勧めは以下の書籍です。
引越しソフトは移行できないアプリがあったり、クロスLANケーブルで何故か認識しなかったりと色々ありますので避けた方が無難です。
なお、データや設定の引越し後には、旧PCデータの完全破壊をしなければなりません。
→「旧PCデータの完全破壊をするには」をご参照下さい。
2.データの移行しないままストレージ内の完全破壊を
バックアップは既に取ってある、または、そもそも中に大切なデータが入っていない場合。
データの移行も必要なく、ただ単に完全削除すればいいだけですから簡単です。
→「旧PCデータの完全破壊をするには」をご参照下さい。
3.システムの修復ディスクを使って、復活できるか試してみましょう
「システムの修復ディスクって何? リカバリーディスク(回復ドライブ)のこと?」という人は多いと思います。
リカバリーディスクとは別ものです。
リカバリーディスクが中にあるデータを全て消去して工場出荷時の状態に戻す「初期化」であるのに対して、修復ディスクはデータを保持したままWindowsのシステムだけを元に戻す、まさに「システムのみを修復するためのディスク」です。
リカバリーディスクはUSBメモリなどの、様々なストレージに造ることが可能であるのに対して、修復ディスクは原則的に光学メディアでなければ造れません。
最近ではUSBメモリでも造れるようになってきたようですが、機種によっては外付けのディスクドライブが必要になります。
いずれの機種でも作り方の手順は同じです。
多くのサイトではコントロールパネルから辿った方法を案内していますが、スタートメニューの検索窓で「修復ディスク」と入れて検索かける方が手っ取り早く作成画面に辿り着けます。
※画像はWindows7のものです。
いずれ、この辺りのことも解説した記事を書こうと思っていますが、要するにWindowsを立ち上げるプログラムの経路(ブートセクタ)が、何らかの原因で破損して動かなくなっているので、それを外部メディアから強制的に立ち上げて元に戻してあげよう、という便利ディスクを作成しておくわけです。
この方法で私も随分と命拾いしたことがありますが、極力、造っておくことをお勧めします。
何しろ、リカバリーをかけるとではデータが紛失してしまいますから、たとえバックアップを取っていたとしても、データを戻して設定し直すというのに多大な時間と労力がかかります。
しかしWindowsがおかしいだけなら修復ディスクを使えば済むので楽なのです。
もし、これらのディスクを作っているようであれば、まずこれを試すべきです(作っていないようであれば、造っておくことをお勧めします)。
例え、Windowsが立ち上がらなくとも、ディスクドライブから立ち上げることが出来る可能性があるのですから。
仮に駄目なら駄目で、イエスノー選択表をもう一度上から選びなおしてみて下さい。
その時には次の可能性を模索するフェーズに移行します。
4.HDD変換アダプタとデータ復旧ソフトを使って自分でサルベージできるかもしれません。試してみましょう
ここに辿り着いた人は自分の手でデータ復旧できる可能性があります。
第一段階:旧PCからストレージを取り出し → 別PCに接続
これに関しては私が説明するよりも、以下の製品の取扱説明書に書いてあるのを見た方が分かりやすいです。
古いパソコンから取り外したストレージ(HDDまたはSSD)を接続して、別のパソコンに接続すれば、外付けストレージの位置づけとして認識し始めます。
商品ページのレビューにも書いている人がいますが、この手の製品は似たものが幾つもありますが、中には全く役に立たないどころか、逆にデータを破壊してしまうものもあります。
私も別製品で一度、システムディスクを破壊してしまったことがあるのですが、この製品に関しては失敗したことがありません。
分解したストレージをPCに繋げる製品の中では、一番お勧めできると思います(安いですしね)。
第二段階:接続してもデータを認識しなかった時に使う復元ソフト
復元ソフトも色々ありますが、お勧めの順位付けに関しては人によってかなり意見が割れます。
私は上記のファイナルデータシリーズを愛用していますが、やはり駄目なときは駄目で、これを使ってサルベージできなければ潔く諦めることにしています。
人によっては「別ソフトを使うことによって何とかなった!」ということも耳にしますので、まずはこちらを試して頂いて、ダメだった時には、他ソフトを試す、またはプロに頼むのも一手ありです。
経験則から言えば、誤って削除してしまっただけで、その後ほとんどアクセスしていないHDDであれば8~9割以上の復元が可能、というくらいです。
5.プロの復旧サービスにお任せしましょう
ここに辿り着いた人は自分の手でどうにも手に負えない状態に陥ってしまった場合です。
私もプロのサルベージセンターにデータ復旧を依頼したことがあります。
依頼した当時、私はパソコンに疎かったので、復元ソフトの存在も知らない状態でした。
数年かけて執筆した長大なレポートが紛失してしまった時には呆然としたものですが、軽度の論理障害だったようで、まったく問題なく二万円かからずに復元できた経験があります。
この値段からすれば復元ソフトは安いものですし、一度用意しておけば対応OSさえ使っていれば安心です。
一見、お得に思えるのですが、成功率から言えばプロに任せてしまうのが確実でしょう。
それに、データの消失というのは、しっかりとバックアップを取っていなかった時に起きることですから、「以後は絶対バックアップを取っておく」と固く心に誓うなら二度と起きることはないでしょう。
なら、一度きりの依頼で済ませてしまった方が良い…とも言えます。
データサルベージに関しては「ドクター・ホームネット」あたりがお勧めです。
違いを説明すると、対パソコンのトラブルがあった時の安心感は「ドクター・ホームネット」の方が上と考えた方が良いです。
データ復旧だけでなくパソコンの修理を含めて、奥の深い対応が期待できます。
パソコンが壊れても自分で手の出しようがない人は、メーカーサポートに頼りがちですが、多くの人がご存知のように、なかなか電話が繋がらないで不自由するものです。
あまつさえ、周辺機器との接続などの時に分からなくて電話すると「PC側ではなく、プリンタ側にお問い合わせ下さい」となり、プリンタ側に連絡すると「PCメーカー側に…」。
結局たらい回しで要領を得ないまま四苦八苦した経験ある人、いらっしゃいませんか?
そういう時には総合的に幅広くサポートしてくれる窓口の方が便利で、結局、どこが原因かを突き止める双方のサポートをしてくれるので安心です。
旧PCデータの完全破壊をするには
この項目を見ている人は既に古いパソコンを手放すことを決心された方ですね。
手放すといっても、メーカー側で引き取ってもらう際にもできるだけ自分でデータは削除しておきたいもの(各メーカーの連絡先など、詳しくは下記記事参照のほどを)。
肝心のデータ削除は3パターンがありますので、よく吟味してからお選び下さい。
回収業者に任せて回収(買い取って)もらう
処分法としてはもっともお勧めな方法です。
この場合、メーカー側に連絡する必要もありません。
通常、処分代がかかるところを、中には逆に買い取ってくれる業者もいるので、パソコン買い替えで傷んだ懐には嬉しいですね。
その上、以下に紹介する業者は全てデータも完全消去してくれるので「じゃあ、今までのデータ削除の方法紹介とかメーカーの連絡先一覧の記事はなんだったんだよ」とか言われそうです…。
人によっては「この手の業者に買い取ってはもらいたいけど、完全削除と公言していても信用はできない。やはり自分で削除してから出しておきたい」という人は意外と多いのです。
その用心さは歓迎されるものですし、私は応じるべきだと思って敢えて全て書いています。
その上で言うのですが、場所を固定でやっている業務である以上、廃品回収車などとは違って、信用商売です。
信用を失えば同じ場所、同じ法人名義では業務ができないでしょうから、そうして長く続けている以上、そう簡単に中のデータを抜いたりはできない筈。
そういう意味では、信用がおけると判断して以下の業者をお勧めします。
パソコン回収業者 1オススメ度★★★
パソコン回収業者 3 | オススメ度★★ |
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ジャンク品パソコン買取ドットコム
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まず一番のお勧めはパソコン買取ドットコムです。
次のパソコンはすぐにでも欲しいけど、古いパソコンを処分するのは急がない、という人は多いですね。
だったら時間をかけてでも高く売れた方がいいです。
何しろ「他より安かったら言ってくれ」と公言しているくらいですから。
量販店同士の価格競争によくある「他店より高ければ言ってくれ」と同様のことを謳っています。
見積もりだけなら身分証の提示などは不要とのことなので、まずは幾らくらいになるのか試してみてはいかがでしょうか。
パソコン回収業者 2 | オススメ度★★ |
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パソコン買取りのライズマーク![]() |
次にお勧めなのはライズマークです。
お急ぎの方や、パソコンの型番が分からない方、面倒な手続きをできるだけ短縮したいなら、こちらのライズマークの方がお勧めです。
報酬金額はパソコン買取ドットコムより少なくなりがちですが、面倒な買取手続きが簡易化されています。
パソコン買取ドットコムの最大の欠点は査定ページに入力する項目が多いということです。
途中で面倒くさくなってしまう人もいらっしゃるかもしれません。
ライズマークにはそこまで面倒な入力項目はありませんので、気軽に依頼することができます。
もちろんデータの完全削除などもセットでやってくれます。
パソコン回収業者 3 | オススメ度★★ |
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【国認定】不用PCの宅配便回収<リネットジャパン> |
最後のお勧めはリネットジャパンです。
リネットジャパンは「国認定」を掲げているくらいですから、小型家電リサイクル法に則ったリサイクル業者として正式登録を済ませています。
上のバナー広告にもそのマークが付いていますね。
当然、絶対的な信頼の元で回収業務を行っているため、安心感第一で手放すならリネットジャパン一択になります。
ただし、こちらは回収はしてはくれますが、基本的に有料となります。
時期によっては無料キャンペーンもやっているようですので、そういうのを利用して申し込んでおくのも手ですね。
分解してストレージを取り出せる場合
ストレージを取り出すことさえできれば簡単です。
SSDなら、破片が飛び散らないようにビニール袋にでも入れてから力を入れればバキっと簡単に割れますし、ハードディスクであれば、トンカチのようなものでガンガン叩いてしまう方法もあります。
中の磁性体は割れやすいディスク構造をしていますから、衝撃で割れてしまえば呼び出せません。
厳密に言えば極めてレベルの高いサルベージセンターなら、高額なコストを払って引き出せるかもしれませんが、現実的にそこまでする人はいませんのでまず安心です。
より完璧に行うなら、たがねや釘のようなもので穴を開けてしまうのが最良。
「トンカチなんて家にない。というか音を立てるような近所迷惑なことをしたくない」というなら、…これはいまいちお勧めな方法ではないのですが、電子レンジで10秒チンすればデータは呼び出せなくなります。
磁性体に書かれた磁気記録そのものを破壊するのではなく(マイクロ波では壊れない)、モーターを焼いてしまい動作させなくするのです。
もっとも、ディスク部分は生きているので、分解すればデータを拾えないことはないです…ということまでするほどマメな人がいるとは思えませんので、たぶん大丈夫でしょう。
ただし、電子レンジは中でスパークして危ないので、あまりお勧めできません。
ちなみに「磁性体っていうくらいだから強い磁石なら壊れるかも」と、いう人もいますが、これは効果がありません。
昔のフロッピーディスクならともかく、今のハードディスクは優れた耐磁性で知られていますので、長時間いくら磁石をくっつけても壊れません。
総括するに、衝撃によって壊すのが低コストで理想的ですね。
分解してストレージを取り出せない場合
Surfaceのように裏蓋を外せない機構もあれば、MACのように開けることはできても特殊なビスを使われているので、個人の装備では歯が立たないこともあります。
そもそも、機械が苦手で「裏蓋外すなんてムリムリ!」という人はこちらの方法です。
完全抹消ソフトというのを使えば、ソフト的にデータを完全に消去してくれますので、ある意味、先に説明したようなハンマーで衝撃を与えるなどして壊すよりも確実です。
くれぐれもゴミ箱を空にした程度で、データが消えるとは思わないで下さい。
慣れた人なら簡単にデータを拾うことができるのですから。
ちなみに、ターミネータシリーズは抹消ソフトの中では定番中の定番です。
扱いが簡単な上に効果的ですので、どなたにもお勧めできます。
いかがでしたでしょうか。
パソコンの買い替えは数年に一度はあるもの。
面倒なこともありますが、手順さえ分かっていればそう難しいものでもありません。
新しく快適なパソコンを手に入れるためにも、ぜひとも正しい手順で快適なデジタル環境を整えて頂けますように。
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