動画でイメージ伝えたい。身近な生活でそういう機会が増えています。
町内会やクラブ活動、仕事や私用で活用できる場は増えていますが、動画コンテンツを作成するにはイメージに合わせたBGMや写真、動画の素材を用意しないといけません。強い性能のPCや動画を造るスキルも必要となります。
ですが、今回ご紹介するオンラインアプリを使えば、動画編集未経験の方でも、一般的な性能のPCだけで、簡単、気軽に造れます。
今回はそんなオンライン動画作成ツール「FlexClip」をご紹介します。
動画作成例、FlexClipを使えば60分でこんな感じ
まず最初に「FlexClip」がどういうものか。以下、Youtubeにアップした動画をご覧ください。おおよそ一時間で造りました。
こちらの動画は粗削りですが、ひとまず見れるもの、という印象だと思います。
「FlexClip」での作成途中の画面をキャプチャーしたので一時間かかりましたが、そこまでしなければ30分くらいだったと思います。
「FlexClip」は簡単最速の動画編集ツール
これは動画編集に慣れているアルパカだからできたわけではありません。素材をはめ込んでいけば良いだけなので、PCの基本操作ができる方なら小学生でもできます。
仮にこれをAdobeの「premiere Pro」であったり、エディウスなどで細かく編集するならどうなるでしょうか。エンディングのBGMはより滑らかにフェードアウトされ、場面転換もきっちりとタイミングを合わせて調整され、色調の補正も入るかもしれません。動画の中に別の動画を組み入れたりできるので、グレードは一段も二段も上がるでしょう。しかし、そこにかかる時間は倍以上だと思います。もちろん編集アプリに通じている人で、相応の性能のPCを持っている場合の比較です。
しかし「FlexClip」にはそれらが不要です。
「FlexClip」は細かい編集ができません。その代わり、大した技術や高いPC性能を必要とせずに、最短時間で造ることができます。これが「FlexClip」の最大の特長であり利点です。
何事もそうですが、簡単なツールは操作が楽ですが、それだけ細かいクリエイティブワークには向きません。そのため本格的な作業を求めるクリエイターから見れば我慢できないことが多いと思います。
先の動画を見た時にどう感じたか、だと思います。
「こんな中途半端なものを造っていられるか」と思ったら「FlexClip」は向いていません。本格アプリでの編集速度を上げるよう工夫する方が良いです。逆に「これで十分じゃないか」と感じて頂けるようであれば「FlexClip」がお役に立ちます。
「FlexClip」は無料で始められる

「FlexClip」のお支払い画面例
無料で使う場合には出力できる解像度が480pまでの制限がかかること。作成できる動画の長さが60秒までという制約があります。お時間に余裕がある人なら、まずは操作性を知って頂くために無料版から初めてみるのは良いかもしれません。
有料版は3種あり、重要な部分のみ抽出すると以下のようになります。
「FlexClip」の各種プラン | |||
---|---|---|---|
無料版 | ベーシックプラン | プラスプラン | ビジネスプラン |
無料 | 月間契約1,098円 年間契約7,906円 |
月間契約2,189円 年間契約13,186円 |
月間契約3,298円 年間契約26,386円 |
480p SD画質 | 720p HD画質 | 1080p FHD画質 | 1080p FHD画質 |
最大1分 | 最大3分 | 最大10分 | 最大30分 |
ライブラリの 動画素材は1つまで |
ライブラリの 動画素材は5つまで |
ライブラリの 動画素材は5つまで |
ライブラリの 動画素材が無制限 |
※ドル円レート110円換算で計算後の価格を表記。
おそらく、30分もの長い動画を編集するようなら、編集能力の高いアプリを使う方がほとんどだと思います。かといってベーシックプランでは画質が荒すぎて、今時のPVとしては活用しずらいでしょう。
そういう意味では一番、使い勝手があるのはプラスプランです。年間契約なら月に1,000円強という金額はリーズナブルですし、仮に一ヶ月だけ緊急的に動画を造らないといけないというなら2,000円強だけで済みますので使い勝手の良い価格設定です。
※今回、アルパカはメーカーサイドよりビジネスプランのライセンスを頂けたので、そちらを使ってお試しPVを作成しています。
無料版で480pでの出力になると、どれくらい画像が荒くなるのかというのはYoutubeの再生設定を480pに落としたものでご確認頂けます。
ただ、この場合、画質はともかくとして無料版だと冒頭部分に「FlexClip」のOPムービーが数秒入りますから、学校行事や町内会用のPVを造るにしても有料版でないと使いづらいと思います。
また、無料版では「FlexClip」のオンラインライブラリに用意されている膨大な動画素材の中から、1本の動画につき1つまでしか利用できない点もご注意下さい。ご自身で用意した動画素材なら制限なく入れられますが、結局のところ制限時間1分以内という制約の中で行うことに変わりはありません。
ちなみにアルパカが作成した動画は4本のライブラリ動画素材と自分でキャプチャーした素材を組み合わせました。所要48秒の短時間PVならそれくらいで十分です。
用意されている素材がとんでもなく豊富
もう一つの特長がこれです。
「FlexClip」のコンセプトの現れだと思うのですが、映像、画像、BGMなど、最初から用意されているロイヤリティフリーの素材が大量に用意されています。「FlexClip」内で使うのであれば全て商用利用可能ですし、特殊効果や文字の類もはめ込んでいけば良いだけです。ですからユーザーは素材を用意する手間さえショートカットできます。

Flex-動画素材(ビジネス関連)の一例
例えばビジネス関連の中をのぞいてみると、上図のように短い組み合わせ用のビジネスシーンが大量に出てきます。左上にある数字を見て頂きたいのですが、素材の数が10,000点あります。おそらくカウントしきれないからこの数字になっているのであって、ビジネスシーンだけで一万点以上の素材が選べるわけです。
注意点としては、素材が全て海外系のため、映像、画像では日本人らしい人は出てきません。そうした部分にこだわらなければ見切れないほどの素材が使いたい放題です。
また、不動産のものがビジネスと被っているなどもありますので、重複している素材は多くあります。そのため、各カテゴリーごとに厳密に一万点の素材があるのかというと、そういうわけではないようです。入り口として検索しやすくまとめられている、という印象です。
これら素材のジャンル分けは以下の通りです(記事アップ時点の2021年7月時点での確認)。
動画素材の種類
画像素材の種類
音楽素材の種類
ざっと挙げただけでも上記の通り山ほどあります。
また、自分で組み上げるのではなく、すでに出来上がっている動画の素材を組み替えるだけで見栄えの良いものが出来上がります。そのためのテンプレートの種類は以下の通りです。こちらを利用する方がより簡単に造れます。
テンプレートのカテゴリー
「FlexClip」の基本画面
「FlexClip」は説明の必要がないほど直感的に操作できます。
ただ、素材を選ぼうとしても、どこからどう入るのかが分かりづらいことだけが難点でした。逆を言えば、どこになにがあるのかを把握さえしてしまえば、後はすこぶる楽です。
そこで、こちらではどこをクリック(またはタップ)すると、どの選択肢に入れるのか画面構成を中心にまとめてみました。
最初の画面選択
言語選択
最初にホーム画面上部にある言語選択で、お好みの言語を選んだ状態で「続ける」をクリックします。
編集方法の選択
日本語を選択すると、以下のような画面になります。
ここでは編集方法が「テンプレートで作成」か「新規プロジェクトを作成」かのいずれかが選べます。「テンプレートで作成」の方が簡単に造れますが、自由度は低めです。「新規プロジェクトを作成」の方が自由度はありますが、少しだけ難易度が上がります。
編集画面A 「テンプレートで作成」の場合
「テンプレートで作成」を選んだ場合、まず最初にこのようなホーム画面に入ります。
左側にあるカテゴリーから好きなカテゴリーを選び、右側に出てくるテンプレート一覧から好きなものを選びます。
マウスオーバーでプレビューを見ることができますので、それにより、いちいち画面遷移せずとも、どのような内容になっているのかを把握できます。
次に気に入ったテンプレートがあったら「カスタマイズ」をクリックして中に入ります。すると、以下のような画面になります。
これが基本的な編集を行うホーム画面です。
最左列にある「テンプレート」からテンプレート一覧。「メディア」には映像、画像の素材が。テキストで画面に文字を埋め込む種類を選択、といったところです。
画面の右上には、現在選んでいる編集部分のプレビューが出てくるプレビューウィンドウ。
最下段には簡易的ながらも、全体を通してどのように組み上げられているのか、タイムライン全般が見れます。ここで編集したい部分をクリックして、左上に出てきている赤枠内のテンプレや素材を、最下段にドラグ&ドロップすれば、好きな素材を入れられます。
例えば、テンプレではなく、動画素材や画像を選びたい、とするなら、最左列の中の「メディア」をクリックすると、以下のような画面になります。
ここで、左上にある「ストックメディア」が大量に用意されているロイヤリティフリー素材の置き場(「FlexClip」ではライブラリと呼称)に入れる入り口です。その隣にあるローカルファイルを選べば、自分のPC内(スマホやタブレット内)にある素材をアップロードして使うこともできます。
さらに隣の「収録」では、画面録画や、デバイスに接続しているカメラ機能を使った映像収録もできるようになっていますが、基本的に使うものは「ストックメディア」か「ローカルファイル」が多いと思います。
編集画面B 「新規プロジェクトを作成」の場合
テンプレートから作成するのは簡単ですが、画面の遷移方法やタイミング、音楽を選んでの組み合わせを一から行いたい方はこちらの「新規プロジェクトを作成」となります。
「新規プロジェクトを作成」を選ぶと編集モードが「ストーリーボード」と「タイムラインモード」に分かれています。どちらのモードを選んでも、以下のような画面比率を選択できます。これは「テンプレートで作成」を選んでも後から変更可能な部分です。
ストーリーボードの編集画面
基本的にストーリーボードは先に紹介している「テンプレートで作成」の時と同様の画面構成です。
単純に最初から用意されているテンプレートがなくなり、下のタイムライン部分に一から組み合わせていくことになります。
タイムラインモードの編集画面
簡易的に速攻で造りたい方はテンプレートから作成となりますが、ある程度、組み合わせる時間がある方なら、こちらの「タイムラインモード」での作成がオススメとなります。
基本的な画面構成は「テンプレートで作成」と同じですが、タイムラインがビデオのライン、音楽のラインと分かれています。他の編集アプリにあるのと近い形式なので、慣れている人にはこちらの方が扱いやすいと思います。
ただし、他の動画編集アプリのように幾重にもタイムラインを重ね合わせた表現はできません。そのため、複数の動画を細かく組み合わせるようなことはできないのでご注意下さい。それでもテンプレートにはめ込むだけとは違い、自分のタイミングで画面遷移やその遷移する内容(トランジションのこと)を選ぶことができますので、やはり自由度は各段に上がります。
今回、アルパカが使用したのもこちらの「タイムラインモード」です。組み合わせた画面の一例は以下のようになります。
幾つかの動画と、バックグラウンドとしての画面にオーバーレイ機能を組み合わせたもの。それらにテキストを乗せて、画面を遷移しています。
音楽データは画面上部にある「フェード」の項目から、フェードアウトする秒数を選べます。
このように素材をドラグ&ドロップして組み上げれば良いだけなので、非常に楽です。
ご注意 ブラウザの翻訳機能を利用する場合

最後の画面キャプチャー例(翻訳機能なし時)

最後の画面キャプチャー例(ブラウザの自動翻訳機能を使用した時)
これはどのモードで編集した場合でも共通した注意事項です。
基本的に海外の編集ツールなので、ブラウザ側で自動翻訳される機能を使った場合、編集画面内に入力した日本語テキストも翻訳されます。この時、元々が翻訳してくても良い日本語を無理やり翻訳するため、おかしな日本語になってしまうことがあります。
どこに何があるのかを確認する時にはブラウザの翻訳機能が役立ちますが、編集の最終段階で出力する時には、このブラウザの翻訳機能を切っておきましょう。
そうしないと、おかしな日本語のまま出力されてしまいます。
オンライン動画編集はパソコンにかかる負担が軽い、というのは本当? 検証してみた
「FlexClip」はオンライン編集ツールなだけにPCにかかる負担が軽いです。人によってはタブレットでもできると言いますが、タブレットはあまりオススメしません。性能にもよると思いますが、たぶん快適性は損なわれると思います。
それなりの性能を持っているPCでも編集画面で遷移する回数が多くなるとカクつきますし、オーバーライトのプレビュー再生では同様にカクカクし始めます。回線速度も関わってきますから一概に全てのPCで同じ結果になるわけではありませんが、目安、AU光の ホーム1ギガ(実測値で85Mbps)という至極一般的な固定回線下でのカクつき具合が以下の通りです。

Dell「Inspiron 5415」のRyzen 5 5500U + 8GB×1 にてバッテリー駆動時、高パフォーマンスモードにて
Ryzen 5 5500Uを搭載したDell「Inspiron 5415」にてプレビュー再生させた時に、AC電源なし時には上記のGIFにあるようなカクつきが出ます。これがAC電源接続時に最も高いパフォーマンスモードでは、もう少し滑らかにプレビュー再生して見ることができるようになります。カクつきが出るというだけで問題なく編集はできていましたので、十分使える範囲ですが、それでも快適さは損なわれてしまいます。
ここで勘違いして頂きたくないのですが、WebXPRT3での総合スコアで100前後では話にならない、ということを言いたいわけではありません。実は総合スコアでRyzen 5 5500U搭載機種のバッテリー駆動時と同様のスコアを持つAMD 3020e搭載機のNECの「N15」のAC電源接続時でも試しました。結果、AMD 3020e搭載機だと、編集画面のプレビュー再生に行きつくこともなく、ローディングで固まり先に進めない事態に。
つまり「FlexClip」の場合、WebXPRT3での総合スコアはあまり快適さを測る目安としては役に立たないようで、どちらかというと「Sales Graphs」や「Photo Enhancement」の値の方が指標としては適しているようです。
例えば「Photo Enhancement」で見た場合、Google Chromeでは以下のようになっています。能力の違いは一目瞭然ですが、およそこのグラフで11分台であれば、多少のカク付きはあるものの問題なく使用可能。5分前後なら快適と言える範囲です。
そういう意味で言うと、やはり「FlexClip」はPCにかかる負担は軽いものの、そこそこの性能を持ったPCでないと快適さは損なわれる、というのは間違いないようです。
ちなみにアルパカの作成した動画をDell「Inspiron 5415」のRyzen 5 5500U + 8GB×1 にて出力した時には、FHDの解像度、Google Chromeで
AC電源あり時、最も高いパフォーマンスモード 2分19秒
バッテリー駆動時、高パフォーマンスモード 2分29秒
という結果になりました。「FlexClip」は軽めの動画編集をする人向けなので、さして気にする方はいないと思いましたが、念のため。編集後に2~3分の出力時間は必要になります。
「FlexClip」を使用した感想・まとめ
動画編集アプリにも色々ありますが「FlexClip」は本格的な細かい編集はできないものの、手軽に高い完成度で動画を作成できます。
手軽=完成度が低いわけではない部分が重要だと思います。オリジナリティが薄くなるというだけで完成度は低くなりづらいのが、広くオススメできる理由です。素材一つ一つのクオリティが高いため、単純に組み合わせるだけでもTVに流れるような高い質の動画ができるのです。
もちろんオリジナリティを持たせたい場合には自分なりに素材を用意すれば良いだけですし、アルパカが行った程度の編集なら、タイムラインモードで問題なくできます。
PCにかかる負担は先の説明通りですが、目安としてはRyzen4000以上、Core 第8世代以降の搭載機なら、1~2分程度の動画編集をする程度は問題なくできそうです。ですが、それ以上の弱いものになると、やや辛さが出てくると思います。
いずれにしても、これだけ気軽に動画編集できるツールを抑えておくと、いざという時に役立ちます。緊急的に動画編集が必要になった際の武器として活用できる、非常に有効なオンライン動画編集ツールと言えましょう。
コメント